サモン
「査問ですかこれは?!私は王国のために若く貴重な人生を尽くしているのですよ!」
「座りなさい」
あちきに命令すな!
椅子を投げようと持ち上げ・・・られず、疲れて座る。
「はぁ~~~~・・・お茶」
目の前の白人イケオジが顎をシャクるとあたしより・・・あちきより豪奢な誂えのドレスを着た侍従が部屋の外へと消える。
「なぜ王都より・・・どちらへ向かわれるおつもりであそばしたのですか」
「はぁ?何言ってるかわかんないわね。それより、お茶つったらマジでお茶だけ・・・てことはないでしょうねココ」
片手を机に乗せ指でトントン叩きながら聖堂の貧しさを当てこすってみるが、おじはどこ吹く風・・・て感じ。
「直截に問います。水晶球には何が映っていたのですか」
「なんも映ってないわよ。疑うなら自分でみればいーんじゃない?」
「占いの巫女姫としての矜持はないのですか」
「フッ・・・あんたさぁ、二年前にあちきが太子の墜死占った時どーなったか知んないの?w」
「・・・なるほど」
あたしが犯人にされかけたんだよ・・・めたくそ美少年だったから絶対殺すわけにいかんて四六時中付きまとってたからな。
「あんなんもうゴメンだからぁ、もうあんたらが見て判断しなよ」
「・・・」
まぁ、結像およびポジネガ逆転全球映像なんて目で見て脳処理できんのはトンボくらいやろ・・・あちきはVRヘッドセット被ったみたいにわかるけど。
巻き戻し再生やマルチアングルで映像内のすべてのアセットを鑑賞できたりもする。
たとえば、女蹴って逃げた男のブツは真っ黒(穿いてなかった・・・///)だったとか女もスカートの下は丸出し(きたねえな・・・)だったとか・・・あれ?何故女の股になんのときめきもないんだ?おかしいやろ事件やぞコレぇええええ!!!
「顔色がお悪いようですな」
「・・・ちょっと恐ろしい事実に気づいてしまったのです」
「ほう・・・それは、例えば王都が沈むような何かですか?」
「プッ、・・・そんなw・・・ありえませんわ」
あ、笑っちったwww
気づかれたなこりゃ・・・・・
「なるほど。では精々我々も備えるとしましょう」
おじは満足げに笑み、立ちあがり部屋を去った。
入れ違いにティーセットを持ったさっきの女が入ってくる。
うーん、美女やの~~~くそが。
薄い笑みにも届かないやわらかな顔で花びらを模したカップへ茶を注いでいる。
茶しかねーわ・・・イギリスかここは。
いや、イギリスいったことないけど。
つーかあちき関東から出たのて・・・ナンシーゴンリのライブで九州へ飛んだくらいか・・・一回しかなかったwww
アツアツのお茶を頂く。
薄いカップの、なめらかでいて軽く儚い口当たり。
果物のような甘い芳香が鼻を抜け、ほどよく温かい液体が滑らかに喉を降りてゆく。
あー、しゃ~わせ・・・・・・
このまま椅子ごと倒れたり、喉を抑え立ち上がったりしたらおもろいかな、などという稚気も起こらず、そのまましばし茶を愉しんだ。
そのうちに女騎士が迎えに来て、一緒に聖堂へ戻ろうと部屋を出る折りに美しい侍従から問われた。
「・・・王都は、あぶのうございますか」
「うん」
あ、と失敗した後味で城を後にしたのだった・・・
そいやラブホじゃない城て初めて入ったwww
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