ナニをしにきたナニ

意外にも語彙は前世一般常識なりに持つが要領の得ない説明を辛抱強く聞き、わかったのは曖昧とした以下の次第であった。


王国の汚点・・・クラブ巫女姫(本番もあるよ!)であるあちきを消そうと(まだ処女やねんぞ!)甚だ醜悪な性的加虐趣味を持つこの二人に処女と命まで含めた値段で売られたらしい。


らしい、ですまん。

主語もなくてすまん・・・誰が、てわからんのよ。


ちな命よか処女代のが高かった・・・んー、そんないいモノか??


王族の誰か、あるいは公候外戚含めた世襲官僚・・・そう、行政はシンプルに縦割りで各省庁が実務を差配してる、のどこかの一派、或いは誰か個人のただの暇つぶし・・・


「とかく、そちら・・・災難であったのう」


あちきと同じ王国の面汚しとして捨て駒・・・いやゲームじゃなくて汚物処理か。


「何卒姫殿下のお力添えを頂きたくお願い申し上げます!」


むくつけき大男どもがガバー!とゲザる。

情けを見せると食い気味にすがってくるこの感じ・・・まあせんのないことよ。


つか金払った、罠にかけられた、家も財産も失って死ぬしかない・・・てめたくそかわいそうやん。。。


「わたしの力など無いのですよ。あるのはこのいきそびれた体だけ・・・ですからお二方共にこの身で我欲を果たされ今生との別れ慰みにするがよろしかろう」


めんどくせえな、もう脱ぐか・・・


埃除けにかむっているショールを床へ落とすと、それだけは、何卒お平らに、とテンパってた二人の男が声を止めガン見してきた。


「え?どしたん??」


あ、のじゃ言葉忘れて素で問うてしまった。


「な、なんという愛らしさ・・・」


「稚い美しさとはこれ程までに神々しいものであったか・・・」


なにロリコン仲間みたいなこと言ってんだこいつら。

え?あちきってそこまで幼児体形なの??



「われら二人、死地にあり天命を知りました」


「これより家も財もすてこの体一つ!御身に尽くすことをお許しください」


は?

持参金も無しに臭いおっさん二人養えって??


どこまで面の皮厚いねんこの二人・・・ん?



「そうか、殊勝である。そちら二人、わらわの侍従として召し上げようぞ・・・早速であるが、命を言い渡す」


おっさんズは喜色に晴れわたる面を再度伏せ、あちきの言葉を待つ。


・・・なんかうらやましい。

俺も美少女に仕えたかった・・・



「今日明日の両日を用い旅支度を整えよ。金物かかわらず我の名で果て限りなく借入を行え。できる限り静かに・・・な。この点を再重視し、その限りに置いて最大の準備をせよ。明後日薄暮を待たずにこの国を出る」


「脱出の人数はいかほど」


「フ、姫様は危機とは言っておらぬぞ。先走るな・・・しかし、五人までなら今日当日支度がそろいますれば」


えー!なんだよさっきのぐだぐだレポートとは全然違ってめたくそ使えそうじゃんこいつら。


「ほう、頼りになるのう。スヴェトラセルフィマ次第であるが、お前たちを含め四人を予定している・・・戻ったか」


また音立てずドア開けて入ってきよった・・・


「・・・?姫様、この有様は」


「スヴェトラセルフィマ、明朝薄暮のうちに王都を離れる」


いぶかしむ女騎士の顔を前に息を吸い込む。





「・・・・・神妙に聞くがよい。この王国は滅亡する!」





ΩΩΩ<





翌朝準備を終え闇の中息を殺していたあちきら三人は、スヴェトラセルフィマの合流と共に捕縛され収監された。



彼女の所属は近衛連隊であったが、家は内向きの警察機構といえる神殿騎士団だった・・・





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る