ある美容師の偏った、シャンプー論

この話は、ある美容師の偏った考えに対し、衝撃を受けたので、書き綴ろうと思った次第です。


 現在、わたしは究極の癒しを求めてシャンプーをするシャンプーマンですが、お客様の疲れを癒し、非日常的な時間を提供することを目指していました。


 ですが、とんでもない美容師が現れたのです!


 その彼は、うちの店のスタッフではありません。年齢は30過ぎ、優しい物腰、綺麗な声、オシャレな服装。


 いかにも美容師さん!という感じでカットとパーマのメニューで来店されました。


 オーナーの知り合いということで、何度か来店されていたのですが、今回、わたしがカット以外に入ることになったのです。


 オーナーの話によると、彼はすでに独立していて、一人ですべての施術を行なっています。だから、自分自身の髪は、どこかの美容室に行くしかないですよね。それで、知り合いである、うちの店に来店したということです。


 どんな、美容師なのか。やはり、気になりますよね、同業者って……そして、わたしクラスになると、事前に調査しておきます。


 オーナーは言います……彼は変態だと……


 変態?天才じゃなくて?……いや、天才でもある、しかし……天才が霞むほど、変態だと……。


 変態美容師……それはいったい……


 そして、彼の施術中に質問しました。⚪︎⚪︎さんの美容師のこだわりってなんですか?


「僕はね、シャンプーでとにかくお客様を癒して、気持ちよくなってもらうように努力してるんだよ」


 なっ!同じ……だと……!


 わたしは、勝手に勝負をするように、⚪︎⚪︎さんのシャンプーに挑む!


 どうだ!これが今のわたしだ!


 さぁ、あなたに、このシャンプーが出来るか!負けました、君のシャンプーには勝てない……そう言ってもらうんだ!


 その時、衝撃の一言が彼の口から飛び出す!


「ふぅ〜ん、君ってそういう、S⚪︎X するんだ」


 ……は?なんの話?


「それってどういう……」


「え?シャンプーって、S⚪︎X と同じだよ」


「えぇぇ!なんですかそれ!?」


「僕はね、お客様をシャンプーするとき、そういう気持ちでやってるよ。だからシャンプーしてもらうと、その人が、どういう、S⚪︎X をするのか分かるんだよ」


「な……」

 

 なんじゃそりゃ〜!とんでもない、ど変態じゃないか!しかも、なんだ!この堂々とした佇まい……まったくもって、自分自身に疑いを抱いていない!


 わたしと同類と思っていたが……まさかそんな風にシャンプーを極めようとしている人間がいるとは……


「人間はね、何歳になってもヨシヨシしてもらいたいもんなんだ。僕はトリートメントのとき、お客さんにヨシヨシしてあげてるよ」


「……」


 とんでもない変態美容師を目の当たりにし、わたしはオーナーに言いました。


 すっごい変態美容師で、セクハラ美容師でしたよ!


「ん?まぁ……お前も似たようなもんだ」


 違うわ!

 

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