第13話 宝探しは唐突に(1)
七時間の授業が終わり、放課後。今日の授業はほとんどがシラバスを見ながら、年間の授業計画についてざっと説明されるだけだったのだが、六限の古典だけはしっかり授業が行われた。
修行をした僧でさえ暇なときは料理をするのだ。もうこれ、料理は
荷物をまとめ、あくびをかみ殺しながら教室を出た。料理部の活動場所である調理室は特別棟に位置している。
教室棟を出て特別棟へ。階段を上がり、調理室の引き戸へと手をかけた。
一般教室の二倍以上はある空間。業務用の冷蔵庫と、ミステリードラマで死体を冷凍保存するときに使うような冷凍庫。壁一面の食器棚。
調理台はあわせて十台。部屋の中央にはテーブルと
「お、
「星宮はいつも行動が早いな」
「うち、担任がテキトーな人だから
俺はなんとなくで星宮の向かいの席に腰掛ける。
七時間授業の後でさして時間がないので、俺から話を切り出すことにした。
「さて、それじゃどうやって部員集めるかを――」
「私思ったんだよねー。作戦会議もいいけどさ、今日は宝探しでもしてみない?」
星宮が俺の発言を
「宝探し?」
「昔は料理部あったっていったじゃん。その時の
なるほど。調理室を使うのは調理実習の授業のみ。進学校である
すなわち、あまり人の手が届いておらず、昔の状態のまま残っている可能性があるわけだ。なにそれ、ちょっとテンション上がる。この世のすべてがそこに置いてあるのかもしれない。欲しけりゃくれてやるってやつ? もしかして海賊王になれるやつ?
星宮は立ち上がると業務用冷蔵庫の前に立ち、冷蔵庫のドアをバンとはたいた。
「今日はとりあえず、二人で冷蔵庫と冷凍庫を
「おー」
俺と星宮の宝探しが幕を開けた。
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