第12話 春もつとめて(2)
ちゃりちゃりとタイヤのチェーンを鳴らしてやってきたバスに乗り換えてさらに二十分。ようやく
バスを降りるなり、星宮は両手を天に伸ばして少しばかりのけぞった。発育のいい女子なら胸元が強調されるのだろうが、残念ながら星宮のささやかな胸にはそのポテンシャルがなかった。
「
「まだ何も言ってねえよ」
星宮、わんちゃんエスパー説が浮上。明日から頭にアルミホイル巻いて登校しようかしら……。というかBなんすね……。Bはあるんすね……。意外と
俺と星宮はクラスが違うため、昇降口で靴を
「他の部活は今日から活動があるらしいけど、私たちはどうなるのかね」
再び合流すると、星宮がシューズを履きながら俺に尋ねる。
俺たちはまだ、部活が成立しているかどうかすらも知らないのだ。確認しないことにはどうも立ち行かない。
「行くか、職員室」
「おけけけ!」
まさか自分から進んで職員室に向かうことになるとは……。
◆◇◆◇◆
「
「おはざす」
職員室に着くなり川瀬先生の元へ向かう。川瀬先生はパソコンをカタカタカッターン! と
「お前らはちゃんとあいさつができねぇのか」
川瀬先生は
「部活の件、どうなったんすか」
俺が簡潔に問うと、川瀬先生は「ああ、それか」と椅子を回して体をこちらに向けた。
「部室は調理室を使っていいそうだ」
さっすが~、仕事だけはできる男~(仮)。
川瀬先生の返答を聞いて、俺と星宮はグータッチを決める。
それを見て川瀬先生はにへっと口角を上げた。
「喜ぶのは早いぞ。条件付きなんだよ」
「条件?」
星宮が小首を
「部員は最低四人。つまりあと二人入部希望者を集められたら、晴れて部活成立だ。タイムリミットは四月いっぱい。それまでに集めてくれ。」
ものすごくハードル高いことを
星宮はともかく、俺の人望が残念すぎて入部希望者なんて見込めない。
ほとんどの女子は俺と目が合うと「げっ」って言うんだぜ。ちなみに目の前でえんがちょされたことも、塩
「普通に無理だろ」
言うと、隣の星宮が俺の背中をばしばしと叩いた。
「
相変わらずプラス思考だなー。まじプラスチック。星宮のこと
「あ、でもせんせ。一応聞いとくけど、それまでに部員が集まらなかったら?」
「即、廃部☆」
川瀬先生は笑顔で親指で首を切った。
俺は普段あまり使わない表情筋をフル活用して無言で不満を申すと、先生はため息をひとつ吐いて、がくっと体を脱力させる。
「これでも俺は
「とりあえず今日の活動は作戦会議をぶちかましますとしますか」
星宮が俺のことを
「そうだな。それじゃ、放課後調理室で」
俺も肘でつつき返す。
「おう! また後でな、相棒!」
俺と星宮は
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