第5話 貸出?


名前:アルク


種族:人間


性別:男性


年齢:25


レベル☆:【2】


職業:釣り師


※↓レベルに応じた数値が決まっているため表示簡略化


攻撃力:レベル相当


防御力:レベル相当


保有魔力:レベル相当


※↓スキル数が多いため表示数制限中


スキル:鑑定LV5(釣果取得)、魔力射出LV7(釣果取得)、水中呼吸LV10(釣果取得・限界値)、周辺察知LV10(釣果取得・限界値)、長の威厳LV10(釣果取得・限界値)、貸出権限LV10(釣果取得・限界値)、飛翔術LV3 (釣果取得)、全属性耐性LV5(釣果取得)、限界突破LV10(限界値)、拳闘術LV10、etc……。


釣り師職限定スキル:釣り師、疑似餌化LV5、釣り竿・錘強化LV5、釣り師の感LV5、魚図鑑LV5、釣果取得LV5


魔法:全属性初級から最上級





「やっぱり何度見てもレベル2。……まさかステータス画面を見ても強さがよく分からないなんて思わなかったわ」


「……。そうか。そうだな。考えればレベル【2】の表記だと分かりにくい。それにそれだけではなくて――」



「弱い。普通ならそう思うわね。……ねえ、これっていったいどういう仕組みなの?」



「そうだな……。口で言うよりも表示を変えて見せてやったほうがい――」




 ガタンッ!




「いったあ……。な、なに!? もう! これだからオンボロ馬車なんて嫌だったのよ!」


「……。早く退いてもらってもいいか?」



 アルクのステータスを見ることに意識を集中していると馬車は急ブレーキ。


 それでもって不意を突かれたせいで踏ん張りが利かなくなった私はアルクの胸の中にダイブ。



 男の人の匂いと引き締まった筋肉の触感を味わう羽目に……。


 そう、案外嫌じゃないな、なんて思ってないんだから!



「ご、ごめんなさい! でも、ほら、あなただって若い女性とぴったりなんてラッキーだったでしょ?」


「若、い?」


「……ねえ、このままこの鳩尾に一発決めてもいいかしら?」


「別に構わないが……。できればその一発は外の連中に食らわせてやって欲しいな」


「そ、その言い方……。もしかして急ブレーキの原因って馬車の故障とかじゃ、ない?」


「まぁ、見ればわかる」



 アルクの視線を辿って私はゆっくりと、おどろおどろしく窓の外を見る。



 だってここ最近のモンスターの目撃情報、それに馬車みたいな大きい獲物を狙うような存在なんてあれしか考えられないから。



「――がぁ?」


「ひ、ひぃっ!!」


「や、やっぱり……。でもまさかこんなところまでドラゴン種が出てくるなんて……。しかも気配を全然感じなかった。これが翼竜ってやつなのね」


「正式にはレッドワイバーン、レベルは215でドラゴン種ではなく『ドラゴン擬き種』。いわゆる進化前の種族だろう」



 視界に映ったのは馬をその大きな足で踏みつけ、中を探るように頭を馬車に押し当てるモンスターの姿。



 私の鑑定スキルでもその名前は『レッドワイバーン』って表示されてて、案の定レベル差があるから読み取れる情報はそれくらい。



 いつもだったら逃げる、その一択しかない相手と状況ね。



「でも今日からはあなたがいるんですもの。勿論余裕よね?」


「ああ。問題な――」




「あ、あんた! 男の、ブロンズ冒険者! レベル2なんだろ!? 早く逃げろ!」



 早速外に出ようとすると、腰が抜けてしまった様子を見せる御者のお兄さんが必死な形相で逃げるよう指示を飛ばした。




 冒険者と違ってレベルも低いでしょうに、立派だわ。早く助けてあげないと――



「そうか、そうだな。ここで俺が戦うわけにはいかないな」



 ……ん? アルク、こいつ何言ってんの? いくら目立つのが嫌だからってありえないんですけど!



「いやいや、あなたこの状況で――」


「プラチナ級冒険者の方! お願いです! 助けてください!」



 やば、最悪の流れきた。


 レッドワイバーン、レベル215なんでしょ?


 そんなの私が倒せるわけないじゃないでしょうがあっ!! っていいたいけど言えないの辛すぎるわよ!



「え、ええっとお……。少々お待ちを。……。……。……。ね、ねえ! 私が倒すなんて無理なのわかってるでしょ! な、なんとかしてよ! あーもう! レベル2がどうのこうのなんかデカい声で言わなきゃよかったあっ!」


「俺は戦えない」


「ちょっ!? じゃあ私が死んでもいいっての!? 見殺しにするっての!?」


「聞け。確かに俺は戦えない。だが、お前は戦える。つまりは……」


「つまりは?」


「お前には今日のこの場から最高の道化を演じてもらうということだ。だが安心しろ、誰もいないような場所であれば当然俺が戦う。これは変わらな――」




「――う、うわあああああああああああああっ! も、もう駄目だ! く、食われるっ!」




「というわけで早く外に出ろ」


「ちょ、ちょっと待って! ほ、本当に大丈夫なんでしょうね!? 実は殺気のは何かの間違い。マジのレベル2で……逃げるなんてことないわよね!?」


「いいから早く出ろ。御者が死ぬぞ」


「……。あ、ああもう! いいわ! やってやるわよ! 自分で決めたこと、乗りかかった船なんだから! レッドワイバーン! わ、私が相手よ!」



 開き直って勢いよく外に出た。


 すると、おかしなくらいレッドワイバーンは御者を無視して私に牙を向けた。



 急すぎてナイフを取り出す暇だってない。



 そんなテンパった私のとった行動は……。



「とりゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」



 へっぴり腰のアッパー。


 こんなの効かないって分かってるのに……なにやってのよ! 私の馬鹿っ!




「――『貸出権限:50分の1攻撃』」




 もう駄目だって思った時、私の背中に大きくて温かくてごつごつした手の触れる感触が広がった。



 そして……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る