縹渺と【第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト】

夜船ヒトヨ

縹渺と【第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト二十首連作】

五月闇縹緲とゆくワイルド・ヘーヤ


あゝ熱砂焦がれるほどに月が嗤って


来たれ君灼けるばかりの街路の末に


水中花死線その後晴れもなく


放たれよ舞台にきしり花柘榴


狂うのはまずは脳髄夜光虫


白桜忌禽のひとみが様を見ている


帰路はない行方すらない夏燕


花うつぎ投げかけられるプシュケーのこと


睡蓮へ一つとなえよ〈憐れみよあれ〉


五月雨や押し流されよ半神のゆめ


語れ夜黒南風のほか宿命のほか


青葉木菟砕けてしまう写真すら


ひとつ断ちふたつ捨てては芥子の花


酢漿よ末路の街で踊っていたい


いちはつや無惨な舞台に朝日などない


病葉のことばみしりと肺の中


末は闇なくしたものは花茨


ほとときず帰還不能の点はどこ


炎熱よあるべきはここ醒めずの悪夢

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縹渺と【第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト】 夜船ヒトヨ @MsBakeandAbel007

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