第7話 異変

「はぁ、はぁ、はぁ……」


今までにないくらい全力で走った。

口の中に血の味が広がる。

でもそれは、さほど辛くはなかった。

鳩尾みぞおち殴られて喀血かっけつしたときの方がよっぽど辛かったし。


それはそうと、なんとか、あの熊から逃げ切った……!!

「死ぬかと思ったぁ…はぁ…はぁ」


ここでもまたライターが活躍した。

ここの生物はどうやら火を一度も見たことがないらしく、ライターを小枝に点火して振り回した結果、だいぶ怯んでくれたので、なんとか逃げ切れた…

ただ、乱用したのでライターあと10日分しかないが……

大型の野生動物から逃げきった俺の勇気、本当に褒めてほしい。



……あれ?なんか地面に草が生えてない……?




俺はふっと目線を上にあげるとなんと、

そこは密林ではなかった。

空が見える広めの人工道に出ていたのだ…!!


「ッッしゃぁ!!」


俺は久しぶりに顔から笑みが溢れた。

あそこで死んだぶりかもしれない、ウン。


ここなら、人が通るはずだ。

人がいたら片っ端から話していこう…。

よかった…。あとライター10日しか持たなさそうだが、これならなんとか大丈夫そうだ…。




この5日間いろんなことがありすぎた。

疲れが溜まっていたのか、俺は道の端切り株横で眠ってしまった。




ここで寝てしまい、後に後悔することをまだ咲夜は知らない。

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