第6話 迷子 後

立派な迷子になってから―――はや5日経った。


狩りは順調。自分でびっくりするほど元気である。

ちなみに1日目に見つけた歩くきのこは無抵抗で弱かったので捕まえて調理して食べたが、エリンギのような味がして、普通に美味しかった。


4日前、自分で「いる場所を見失わない程度で」と決めて動いてたのに気がついたら未踏の地に足を踏み入れてしまっていた。

さらに濃厚な迷子になってしまった。

自分で言うけど、



おまえもしかしてバカだろ……。



自分に絶望である。


それでも新しい水源を見つけ、いたって健康なので、

自分はもしかしたら森での生活能力が高いかもしれない。なんて2日前までは呑気に考えていたが、忘れてはいけないことが1つある。

ライターが持つのは多く見積もってもあと15日程である。

最初は1ヶ月くらい使えると思っていたが、このサバイバル生活では思っていた以上に火を使うことが多かったのだ。

最初は料理だけだと思っていたが、動物への威嚇等、結構沢山使うのだ。


……本当にやばいかもしれない。


生きて帰れる気がしない……。

ライターが切れてしまうとできなくなってしまうものが一気に増える。そうなったらどうやってこの森で生活してくのか…。

そんなことを考えていたら、さっきまでの元気が消え失せ、その場にへたり込んでしまった。






………なんで一回死んだのにまた、地獄のような目に合わなきゃいけないんだろうか。



もう死のうか…と思っても、この世界じゃ持っている道具が少なすぎて楽に死ねない…苦しむだけだ。





…生きていくしかないな……



と、もやもやと考えている時だった。









さきから、どうも背後に嫌な気配がする……

背中に嫌な冷や汗をダラダラとかく


俺は恐る恐る後ろを向いた。



あまりの恐怖に声が、でた。



「ヒィッッッ!!」

そこには俺が知っている熊の倍近く大きい熊のような怪物が

こちらを見ていた。

赤く血走った目が、こちらを睨んでいた。


額から出ている角が血まみれで恐ろしい。

「グルォァァァ……」

完全に俺を狙っている。


やばい…

どうしよう、食われる…怖い!!

逃げなければ…死ぬ!

「…っ!!」

やばい、やばい腰が……立ち上がれないっ…!


落ち着くんだ…落ち着け自分!


「…すぅ…」


………ヤンキーだった俺がこんなんで怖がってたらだめだ…弱気になるな…!!相手は武器を持ってない!まだ距離がある…!

逃げてからその後のことは考えろ!!



俺は強引に自分に言い聞かせた



俺は腕に力を込めて立ち上がり、気合と勇気を振り絞って一心不乱にその場から逃げた。

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