第2話 諦め 後

目を覚ました、が現実世界だった。


まあ、そんなに簡単に現実世界から逃げれるもんならすでに逃げてるわ…。



…今日は抗争の日だ。しかも相手校は強豪で、人数は倍以上である。命知らずの部下が勝手に喧嘩を売った。

…俺を殺す気か…。まぁ俺のところは少数精鋭だから大丈夫とは思いたいが…。


ああ、本当に面倒くさい。


授業差し置いて、死と隣り合わせの殴り合いなんか1ミリもしたくねぇわ…。

まだ「クラス全員からガン無視6時間耐久」の方がマシだわ。


…うぅ言っている自分が苦しくなってきた…


しかし立場が立場(番長)なので逃げることは許されない!!






……今だけは弱音を言わせてください。

だぁぁあ!!無理だよ!!!なんでこんな不幸被らなきゃいけないんだよ!!!下手こいたら警察沙汰なんだよッッッ!!!行きたくねぇぇぇえ!!!


……憂鬱だ。







今日も両親は大声で喧嘩していたが、抗争のことで頭いっぱいでもうそれどころではなかった。

喧嘩して家壊れてももう知らねぇ……

部屋に掛けてある特攻服を急いで着て、俺は家をあとにした。









抗争中。


「蓮!8割ほど雑魚を抑えました!」

「…はぁ、あと残り僅かだな。気ぃ抜かねぇように。俺は相手の頭倒してくる。」

俺は部下が気を抜かないように少し睨みを効かせた。

「…はいぃ!!」

…相変わらず怖がりすぎだ…。

てか、相手校意外と弱い。頭以外がむっちゃ弱い。他の雑魚は部下にまかせて俺は主格の奴らの方へ向かうことにした。

最初は殺し合いくらい激しい戦いになると思ったが、思った以上にあっさりで怪我は追わなかった。

…よかった、やっと終わる。

そう、立ち止まって体勢を整えたときだった。




「ッ蓮!!あたm―ッッ!!!」



ゴンッッッ!!























………は??



今、頭殴られた……?

気づいたら床に倒れていた。一瞬のことだった。

しかも倒れた衝撃で後頭部から血が溢れ出ている。

どくどく、止まらない。






   



大量の出血で目が黒白チカチカ、する














…………。



















目が、霞んできた


体は重くてほとんど動かない




 


死ぬときって、案外あっさりなんだな







痛みは麻痺してしまってわからない



なんだか無性に笑えてきた






でも、涙も出てきた



この涙はいったいなんだろうか…

この世の未練……なの、か?










 


 ……ああ、一度だけでも、いいから、愛されて、みたかった、なぁ



目尻が熱くなり、さらに視界がぼやけた



ああ、未練だったんだな…もう諦めた…はず、なのになぁ……、、現世では人に愛されることは許されてなかったようだ。




もう、今度こそすべてを諦めて、手放そう。














「もう、この人生、あきら、めた」






最後の力を振り絞って俺は涙を拭った







意識は深い闇の中へと沈んでいった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る