#2 2日目
午前8時。
昨夜はゲームに熱中したせいで少し睡眠のリズムが崩れてしまった。
身体を起き上がらせ、顔を洗って朝食を摂る。
「あ〜、これが待ち遠しかった」
ゲームを立ち上げると耳触りの良い明るい音楽が脳を刺激した。
早速アバターを選択して続きから始める。
アバター情報は昨夜から何も変わっていない。
今日の目標は1層突破だ。あわよくば更に突破したい。
セーフティゾーンから離れると小鬼が現れた。
今回は前と違って武器を石のナイフから小鬼の棍棒に変更している。
「ぉお〜、こりゃいい。やっぱりリーチは大事だよ~」
ヒットアンドアウェイで棍棒を振るい、難なく倒すことができた。
装備ひとつ変わるだけ成長が実感できるのは楽しい。
それから小鬼を倒し続けること1時間。
――新たなレイヤーを獲得しました。詳細はターミナルでご確認ください。
画面上部にアナウンスが表示される。
「新たなレイヤー? レイヤーレイヤーっと……これか」
・レイヤークラスシステム
ひとつだけ装着可能なアバター強化要素。
全クラス共通の特徴として基礎能力に倍率がかかる。
※倍率はクラスごとに異なる。
各クラスには上位クラスが存在する。
一定の条件を満たすことで獲得することができる。
セーフティゾーンに戻り、ターミナルからレイヤークラスメニューを選択する。
New!! の文字の横にクラス名が表記されている、
・小鬼殺し
レイヤー効果:小鬼に与えるダメージが50%増加する。
取得条件:小鬼を1時間以内に10体倒す。
レイヤー補正
筋力:2%
精神:1%
器用:1%
気力:0%
魔力:0%
――レイヤークラス:小鬼殺しを装着しますか?
――Yes/No
確認する限りデメリットはなさそうだ。
マニュアルにもレイヤークラスの変更にコストが必要になる説明は書いていない。
――Yes
――基礎ステータス『器用』の有効化を確認しました。
〈アバター情報〉
レイヤー:小鬼殺し Lv.1
レイヤー効果:小鬼に与えるダメージが50%増加する。
生命:健康
筋力:100(107)
精神:100(101)
器用:100(101)
気力:封印
魔力:封印
スキルスロット1:空き
スキルスロット2:空き
スキルスロット3:空き
装備スロット1:簡素な布服(上下セット)
装備スロット2:藁の靴
装備スロット3:小鬼の棍棒
装備スロット4:空き
「補正は微々たる数値だけどレイヤー効果は凄まじいな。50%増加なら複数相手にしても切り抜けられそうだ」
アバター情報更新後、意気揚々と小鬼狩りへ。
小鬼1体に数分かかっていたところがレイヤーのおかげで1分未満になった。
3体に囲まれて少し焦ったものの、敵の攻撃順をよく見れば十分対処可能だ。
小鬼を5体倒したところでレイヤーレベルが上昇し、各基礎ステータスにかかる補正値も増加した。
1%は2%になり、2%は4%になった。
ここでひとつ気になったのがレベルアップで初期値と同値の補正値が加算されていくのか、倍々になるのか。
疑問を解決するために草原を走り回って小鬼を狩っていく。
「おっしレベルアップ」
レイヤーレベルが3になった。
補正値を確認すると2%は3%になり、4%は6%になっていた。
「初期値と同じ補正値がレベルアップごとに加算されていくわけか」
疑問も晴れたところで短期目標としてレイヤーレベルを5まで上げることにした。
今のペースで狩り続ければ1時間足らずで5になるだろうと考え、ひたすら小鬼を追い回す。
もはや1体目の大苦戦を懐かしく思ってしまう。
予想通り1時間足らずでレイヤーレベルが5になった。
武器と合わせて筋力も15%補正され、115だ。ここまで上がると体感で分かる程度には戦闘に影響を与えている。
この調子で次はレイヤーレベル10を目指していく。
ここまでやっておいて気になるのは2層に行くためにはどうすればいいのか。
この疑問に関してはすでに分かっている。
セーフティゾーンを出てずっと向こう側に祠のようなものがある。おそらくそこが2層へと繋がる鍵のはずだ。
ならさっさと向かえばいいのではないかと思うが、そうはいかない。
マニュアルに各層のボスを倒して駆け上がろうと書いてある。つまりあそこに行けば十中八九ボス戦になるわけだ。
小鬼を延々と狩り続けること2時間経過。
無傷で戦闘を終えられる程度にプレイヤースキルも身についてきた。
レイヤーレベルが10になったところで一息つき、一度セーフティゾーンに戻ることにした。
コーヒーをすすりながらドロップしたアイテムを精査する。
「同じ武器で補正値が違うこともあるんだな」
〈アイテム情報〉
小鬼の棍棒
属性:打
補正:筋力5%
〈アイテム情報〉
小鬼の棍棒
属性:打
補正:筋力10%
こういったランダム要素は好きな人はとことんハマる。
ちなみに俺はハマる側だ。
「ふう~……少し休憩するか」
目薬を差し、目の周りを揉みほぐす。
少しの間だけベッドで仰向けになる。
興奮状態の脳を落ち着かせながら、ゆっくりとボス戦の準備について思考を巡らせることにした。
Rebuild:Dungeon~ゲームが現実となる~ 深空 秋都 @Akito_Shinku
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