第28話 イケオジの杞憂

イケオジについて行くと小さな個室に着いた。


「単刀直入に言おう。お前何者だ。モンスターの類か?」


どうやら知能を持った人型モンスターだと思っているらしい。


「ただの人間だけど?」


馬鹿馬鹿しい。この俺の見た目は怪しくとも人間のそれだぞ?イケオジじゃ無かったら失礼過ぎて一発入れてたわ。


「なら何故それ程までのマナを持っている。人間は突然変異以外マナを扱う事はできないし、マナ自体持ってない。モンスターと人の境界線はそこだ。」


「なら恐らく私が突然変異の個体なだけですよ?ご用はそれだけで?」


「いやそんな筈はない。基本的にマナを持った人間は全て国で管理され、国の帳簿に載っている筈だ。そこまで多くのマナを保有しているのなら尚更。微弱なマナなら国が見逃したり無視したりする事もあるがお前のは死線を潜り抜けて来た奴なら誰でも分かる程度には保有している。それを国の機関が見逃すなどあり得ない話だ。だからこそ聞いているのだ。お前が何者で人類の敵になる者かどうかを。」


ふーむ。凄く深刻そうな顔をしている。傭兵の胴元がこんなにまともだとは思わなかったから少し驚いた。

それはそれとして俺は人類の敵になどなるつもりはない。記憶持ち越して転生したとは言えチート能力だなんだと持ち合わせていないのだから創作の様に俺TUEEEができる訳じゃ無い。これは現実で現実はそんなに甘く無いのだから。


「私はただの人間ですし、少なくとも今は人類の敵なんて大層な者になろうとは思ってませんよ。人間かどうかを疑うのなら確かめてみればいい。」


「どうやって?」


うーわ。こっちを試す様な視線気持ち悪!折角のイケオジが変態ジジイの視線を出してるのが更に気持ち悪さを助長させてる。


「要するに召喚された悪魔かなんかだと思ってるんでしょ。ならお祓いでもなんでも試してみればいいでしょ。多分貴方は教会やらなんやらにパイプを持ってるでしょうしそう難しい事じゃ無い。」


「良いだろう…。」


あ、完全にイケオジに戻った。


「暫く待ってろ。」


「はいはい。」


これで人類の敵認定される可能性が1%でも減るなら万々歳。そうでなくとも傭兵という戦力が俺の討伐に派遣されなくなる又はしにくくなる可能性もある。今回の話はどう転ぼうと俺に不利益はない。


「それにしても普通の人間はマナ持ちじゃ無いって事は魔法は限られた人間しか使えないタイプか。それで俺には一応その最低条件は満たしていると…。あー、魔法に使うエネルギー源がマナじゃない可能性もあるから一概にも言えないか。でも多分変な翻訳された事はないから魔法に使うエネルギー源だとは思うんだけどなあー。」


こればかりはこの世界の常識を何も知らない俺がいくら考えても答えは出ない。


「…待てよ。あのおばあちゃん生活魔法がどうとか言ってたよな?仮に魔法がマナを源として行使される現象とするならばあのおばあちゃんは何者?」


ここでの用事が終わったらあの場所に早急に向かう必要がありそうだ。

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