2話目-私と親友-

私と愛が出会ったのは大学生一回生のときだ。

お互いになんの打ち合わせもしていないのに同じ講義ばかり取っていたようで、平日は毎日顔を合わせた。


私も愛も浪人しており、現役で合格した子たちになんとなく負い目があって友だちが少なかった。

なので私たちはすぐに親友になった。


そのうち休日に互いの作りすぎた料理を渡しあったり、講義終わりに一緒に買い物に行ったり仲良く過ごしていた。


愛とはいろんなことを話した。

講義の内容、休日の過ごし方、そして愛の彼氏のこと。


愛は彼氏の話をするとき、すごく嬉しそうだった。

前の休み、彼氏と一緒に動物園に行った

先月はカフェデートをした

などニコニコしながら話してくれた。


私はそんな愛の笑顔を見ているのが何より幸せだったし、私も彼氏を作ろうと燃えたものだ。


でも、幸せだったのも一回生の間だけだった。


私の通うT大は2回生から同じ大学の違うキャンパスへ移動する学部がいくつかある。


愛の彼氏は移動組だったため、必然的に二人は遠距離恋愛になった。


最初の頃は彼氏と会える機会が減って寂しいなんて泣き事をいっていたけれど、時間が経つにつれ、愛は泣き事をいう元気すらなくなっていった。


彼氏と連絡が取れない。

もしかしたら浮気してるかもしれない。

この間、知らない女の人と写ってる写真をSNSで見た。

など、愛は段々追い詰められているようだった。


私は毎回、気にする必要はないといった言葉をかけていた。

この言葉にはあまり効果がなかったことはこの後わかることになる。


3回生になった愛は傍目から見て限界だった。

2回生で取るはずの単位もいくつか落としており、どう見ても勉学に身が入っていなかった。

そして徐々に私とも口を聞いてくれなくなっていた。


愛には他にも友だちがいたらしいのだが、その友だちともあまり話していない様子だった。


中学・高校の同級生はほとんどが4回生になっているか、

既に働いていたので愛は孤独を感じていたのかもしれない。


そして、その年の5月、愛は帰省中の実家の玄関で首を吊ったらしい。

私がそれを聞いたのは連休明けしばらくしてからだ。

どうやらT大の3回生が自殺したらしいという噂を聞き、最近姿を見ない愛に連絡をとったところ愛が自殺したことがわかった。


愛は私になんの相談もせずに命を絶った。

私は親友として何もしてあげられなかったことで自分を責めた。

そのせいか私の精神は不安定となり、今は大学に行くこともできなくなっていた。

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