第4話

毎日書こうと息巻いてたのは数日だけ。

まぁ、これが私というもんだ。仕方ない。

この日記を楽しみにする人もいないので、プレッシャーなんてのもない訳で。

それはそれで寂しいか。


休憩時間に本でも読もうと思ってたのに、デスクに忘れてきた。

だからクロッキー日記を書けるんだけども。


今はモリバコーヒーという喫茶店にきてコーヒーを飲んでいる。

どでかいドリッパーがついてきて、カップの上に置くだけで本格コーヒーが飲める、と言うのがウリらしい。

正直要らない。

ドリッパーはまさか自分が運ばれるとは思ってないような設計で、お湯がなみなみと入ってると重心が高く不安定だ。

カップよりも大きいから邪魔だし。

という訳で、ドリッパーのつかない普通のブレンドを頼むのが吉だ。


と、打ってたら隣の客がスマホ置いて出て行った。

「すみません!」

声をかけても止まってくれない。

「ちょっと!!」

とまらない。お前だよ!

ようやく異変に気づいたのか振り返ってくれた。

私が手にしてるスマホを見て、瞬時に理解してくれたらしく、

「ありがとうございます!」

と男性にしては可愛い笑顔で受け取ってくれた。


また徳を積んだ。

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クロッキー日記 たこはる @tako_haru

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