裏レッスン2:誰もお前を愛さない

あーひどい目に遭った。

まさか誰もちゃんと壁塗って無くて海岸から帰れなくなるとは。俺としたことが。

それだけならまだしもまさか誰も処理してなかった大型に邪魔されて主要な道が全部塞がってるとは思わなかった。俺が必至でカタパットとトウとテツキュウを3体ずつ駆逐している間にヘビーが一体はともかくと見逃したテツバンと誘導に失敗したボマーが暴れてるとも思わなかった。

…しかももう弾が届く範囲まで戻ってきたのに、気づかぬ間に俺のせいにされて3人ともに見向きもされず、一切復活させてもらえないとは思わなかったな。マジで。当然そんな奴らは時間切れすべきだろうよ。巻き込まないで欲しいけどな。

一回、死んで暗転が解けてからようやくボムが飛んできたな。タイミングが全く合って無い上にそれ以降何も飛んでこないからどう考えても生きてると思った状態での嫌がらせだが。それとも海岸に遠征に行く事自体が悪だと思ってるのか?海岸にしか湧かない奴が大量に湧いたのに?まあ、ここはミスプレイで焦って投げた事にしてやらなくもない。エモートが無いから分かんねえけど。あったら暴言吐かれてるだろうからそれもどうでもいい。ナイス連打してるのも、煽りじゃなくて位置を確認させてくれてるんだろう。多分。


んなワケなくねえ?


俺は海岸に留まるつもりなんざなかった、海岸にいて遠隔攻撃してくるやべーやつらを駆逐したらさっさと帰ろうと思ってスペシャルもちゃんと二個とも吐いたのだ。実際、秒数にしたら20秒も経っていない早業だ。倒すと追加で湧くのもなんとなくわかるが、それで納品できない大型が湧くんじゃしょうがない。正真正銘のクソ湧きだ。道中ボマーを一体とテツバンが自分狙いじゃなかったからスルーしたが、この武器じゃそもそもボマーの背に届かない、火力はあるからテツキュウをしばきに行くのが大正解だ。テツバンだって普通に考えたら3人居ればすぐに解体してイルカ玉にできるはずだ。このままじゃ最低もう一人はやってきてテツキュウの置いた砲台に処理したイルカ玉を詰め込まねばノルマ達成に間に合う筈もない。なんで俺が出さなきゃ足りない玉を納品だけしまくって仕事した顔で居るんだ?

だから野良は信用ならない。当然だ。…でも人手は絶対に必要だ。


このゲームに必要なのは仕事量であって信頼関係とかじゃない。野良でボイスチャットなんざ怖くて繋げる訳もないからディスコードのアカウントとかも必要ない。どうせ暴言厨に出くわしてこいつはこれまでどんだけ甘やかされて生きて来たんだろうと痛感する羽目になる。別のゲームでもう何度もやったのだからこのゲームが例外であるはずはない。罪のない子供の割合はちょびっと多いかもしれないが。

そして最大限効率の良い行いをしてやってもこいつらは逆恨みしかしてこない。無知ならせめて無知なりに有識者を敬おうとか知らない事を尊重しようとかしてほしいものだ。まあキッズはしょうがないか。野良マッチングでその素性を知る由もないが。とかくそういったストレスが大いにたまる。

その結果得られるのは実績ではなく、敗北と総プレイ時間だけだ。たまに多少の鱗も得られるがこのバイト、そもそも報酬が大したことない。ゲーム的にはこのPvE自体がエンドコンテンツで、一切やらなくてもPvPの方に影響する事はほとんどない。じゃあなんでやりたかったのかって?楽しそうだったもの。多少使った事の無い武器を試すとか腕を磨くだとか、対人前のウォーミングアップにはちょうどいいしな。


今続ける理由は単純で、ただ初心者の頃に助けてくれた熟練者がとても輝いて見えたからだ。自分がそれくらい上手くなれば、大層恰好が付くだろうと意気込んで、今はそれが呪いとなって辞める理由を失っている。実績的には伝説を越えて達人になったが、(この逆張りクッションが必要な理由は適当に察してくれ)実際にはもっともっと巧い奴が何人も居て、もっと何時間も夢中になって(前述のしょうもない連中の事は気にせず固定パーティを組んで)遊んでるのが普通に実態だ。正直、羨ましいとは思うが嫉妬できるほど傲慢じゃあない。口下手で社会不適合者で軽度の障害があって勿論友達もいないし、家族でフルパを組むには全員の時間が足りない。漫画は漫画だ、現実的じゃない。


だから俺にとってはこのPvEのモードはつまらないし、リアルはこのゲームより更につまらない。生きるのに金が要るなんてのは小学生越えて幼稚園の時点で理解していたが、その為に働くという行いがここまで無遠慮で無整備な状態だとは到底想定し得なかったのだ。アルバイトの時点でそうなのだから、8時間の正社員はきっと気が狂っているに違いない。パワハラがないなら案外天国なのかもしれないが、少なくともそういう所に就職できる人材は俺より就職活動を頑張って会社を選んだとか、学生の頃にちゃんと資格を取って用意していたからだ。後は運だ。人間不信でニート志望になった俺にはアルバイト、それも薄いグレーみたいな企業が相応しい。まあたまたま初回で受かった所が真っ黒だった訳ではあるのだが。俺には幸運もない。今生きているから悪運が強いなんてのは自分より下の奴を見て安心するようなクズによるメリーバッドな妄想で、若者を騙して何がしたいかなんてのは想像しなくても分かるほど鬱屈した火を見るより明らかな現実で、その方が自分が楽になるとか、難しい仕組みを知らなくてわざわざ作らなくても弱者をいたぶっていれば仕事をした気になれるとか、やらなくても自分には利権で金が入って来るとかそういう理由でしかない。長々と気分の悪くなる文章を読んでくれてありがとう。こういう小説もどきを読んでいるだけで実感を得られたなら実情を籠めて書いた甲斐があるというものだ。まあ、多少嘘も混ぜて書いてるから、作者はこの状態よりは比較的マシだとでも思っててくれ。


さて、随分話が逸れてしまったな。攻略情報だ。

といっても、題が示す通り一人で出来る事に絞ったものだ。


勿論壁は塗ってるよな?塗らない奴には俺は本気で人権が無いと思ってる。

どんな武器でも最低限の塗り性能があるのだから、普段見えづらい海岸寄りの壁であるほどしっかり塗るべきなのは何か考える前にすぐ気づくはずだ。

そして塗った後はすぐ開始地点の高所か、予告を見て干潟に移動する。そうすればどんな特殊ウェーブが来ても必ずあわてずに対応できるからだ。

例えば戦車が列を成して襲ってくるだとか、劇中の光るアブが囮役にしようとたかって来るとかな。難関ウェーブの対応箇所が共通認識として周知されているのは事実だが、俺は正直これも信用ならないと思ってる。

どういう事かと言えば、必ず知らない初心者が一人は紛れ込んでくるので、開始時に集合!とやってもその意図や温度感を理解出来なくて当たり前なのだ。

当然ウェーブが始まって手遅れになってからそいつは自殺志願者並の簡単さで浮輪になる。助けてやって始めて仕事を開始するが、慌ててるから大抵あわてて強力なスペシャルを間違った方法で投げ捨てるように使う。もしくは当たらない弾を乱射しながらもう一回浮輪になる。何のために助けたと思ってるんだ一体。落ち着け。

幾ら有名人が周知を徹底しても、ここが変わらないんじゃ共通認識にはなりえない。というか、なってない。多少ランクが上がっても新ステージの対応場所を知らない、なんてのは良くある事だ。劇中で起こった通りの筋書きだな。

ではどうやって場所を決めたらいいのか、それは個人の腕前にかかっている。

要するに運だ。よく分かってる奴を見つけてそいつと一緒の部屋で回すこったな。

~完~

…これじゃ流石に味気ないので一つだけコツを伝授しよう。それも、重大な。

ステージには必ず塗れる壁が用意されている、そして、大抵高台がある。

どんなに小さくても、段差があると雑魚はそこを登って来れない。これを考えると簡単に集合すべき場所を割り出す事ができる。特に、開始地点の近くにはほぼ必ずある。ここが分かっていれば高台の形状ですぐに見分けがつく。あっちの高台は納品がしづらいとか、こっちの高台は横から回り込んでくる可能性があるからちょっと難易度があがるな、とかもしくは段差が大きな塗れる壁で構成されてるから、ここに張り付いてセミみたいになれば暫く時間を稼いで納品する時間を稼げるなー、とか。むしろ候補が複数ある時の方が面倒だ。経験者同士で意見が分かれてしまった時が一番救い様のない結末になる。

要するに雑魚の波が一か所に集中すれば対応しやすいのだ。ローラーが居れば更に話が速いのだが、これは責任を背負わせすぎてると正直思う。金が混ざってくると場所によってはローラーだけでは対応しきれないのもポイントの一つで、結局全員の火力が必須なのだ。壁に張り付いてる間も可能なら自衛でボムを落としたりするといい。操作を誤って落ちたら元も子も無いが、慣れればできるはずだ。(じゃあその失敗経験を何処で積めばいいのかって?準備時間も別に塗れる壁はあるだろ?)その自信がないなら確かに張り付いてる方が邪魔にならなくてマシだ。ただし、そうした時点で一人分火力を失っている事は努々忘れる事のないように。

最悪満潮などで壁が無い事もあるが、この場合も納品箱に近ければ全く問題ない。処理をしながら、波の切れ目を待ってその瞬間にインクを補給しながらずばずばと納品するのだ。これで必ずノルマに間に合わせる事ができる。ステージによっては箱から更に引き代があるからもう少し安定するはずだ。

もう一つはヒカリの予告があった時点で何処に居ようとカモンを連打する事だ。場合によっては何言ってんだこいつみたいな白い眼で見られるかもしれないが、通りすがりにそんな事を思われてもどうでもいい。それより重要な事実として、これで必ず自分の位置は報せる事ができる。集合場所が分かってるやつなら尚更正しい位置に移動しようという考えが強くなるはずだ。カモンの言い合いになるかもしれない。そうなると好都合だ、前述の初心者でも経験者が二人でカモンを言い合っていれば何かを察する事ができる可能性が高くなる。少なくとも、”温度感”の問題だけは解決できるのだ。”あなた一人で”。そしてその経験者の誘導する位置に自分が行けば何も問題がなくなる。3人目が明後日の場所で言いだしても最早気にする必要もない。(勝手に倒れろ)

最後にコツではないが助言を一つ言うとすれば、あなたはスペシャルを使い切っても問題ない。むしろ他の三人で計3倍も余っているのに使う意識が全くない方が問題で、特に状況を長めに解決して納品時間を作れるカニや全員を安全に蘇生して立て直せる元気玉とソナーを持った人はかなりの重責を覚悟せねばならない。サメとかレーザーも上手く照準すれば立て直す補助になる。ちょっともったいないが…そして味方が使ってくれなかったらそれも運だ。そこは仕方ない。そう言ったメンタル面の方が大事だと私は思う。


だから、味方を見捨てる必要がある。これは何も特殊ウェーブに限った話じゃあない。

よく考えたら海岸とかいう危険地帯で何度も倒れる初心者を何度も手間をかけて助けてやるより、他の三人で出来る事を割り切ってやった方が実はちゃんとこなせる確率は非常に高い。(当然、皆で海岸に遠征へ出かける必要はあるだろうが)冒頭のいじめが発生するのも道徳的には決して無視できないが、現に風潮としてという事は別に個人でどうしようも出来る事ではない。だったら、気にしないのが一番の解決策だ。

なんなら自分が気づかずに加害者側に回っている事に気づいて絶望してもなんら不思議な事ではないのだ。いじめとはそういうものだ。何の脈絡もなく単に人が複数いるから自然発生する”愚かな”行為で何も間違いではない。異物を排斥する、生物の本能なのだから。本気で対策したいなら補助金出して転校だので当人たちを物理的に遠ざけてやる以外の解決策を俺は一切信用していない。大人は汚い。集団の方が基本は強い。というより、自分が生きる事に必死で後続に目をかけてやることがそもそもかなり難しいだけなのかもしれない。教師の仕事内容を見て目を疑ったものだ。これは”間違った使命感”が無くては決して達成できないだろうと、そう…思った。日に2時間ぐらい立ちっぱなしで色んな意味で暴れる生徒を暴力無しでなだめて、更に実際には10時間ぐらい趣味の時間を捧げて教育プログラムを用意するなど正気の沙汰ではない。マニュアルを用意してやってなだめるのはせめて事務員さんとかを追加で雇うべきだが、公立と私立以外で金が無い理由も追加で理解出来てしまう。本当に働き者だ…おっとまた話が逸れてしまった。僕の悪い癖(〇京さん)。


基本事項として味方を蘇生するのは手間がかからない状況なら即座に行うべきだ。射程の短い武器を持ってるからって、壁越しにボムを投げるのは推奨しない。インクの消費が大きいからだ。そんな事より人が一人居ない分、よりしっかりと足場を確保して、まず自分が生存していなければすーぐ共倒れになる。昔の海軍の救命訓練では実際に「気絶するまで待ってから助けてやれ、そうしないとパニックで暴れて泳げるお前まで沈めて来るぞ」という血も涙もない実体験のみで構成された手法を教えていたそうだが、このゲームでもそれが通用すると思って良い。まず自分の命を大事にするのだ。優先順位で行くなら0だ。基本的すぎて誰も意識してないまであるかもな。もしくはもう無意識でできるようになってるんだ。おめでとう、君は立派な上級者だ。少なくとも俺はそういう奴に憧れてこのゲームを始めた。謙遜は不要だ…


あと、ノルマを達成したら速攻で壁塗りに戻るべきだ。

ノルマを超過しまくって役に立つ事など称号目的のビッグなイベント以外では不要だ。と、私は思う。固定パーティを組めないなら、野良では報酬目的の奴も居るのだからまず納品のノルマ達成を第一に考えるのが共通認識として健全だ。

だから考えの違いこそあるかもしれないが、ノルマ達成後も油断せずに、クソ湧きした瞬間スペシャルは撃つべきだしもう持ってないならさっさとその場を見捨てて逃げた方が正直生存率は高い。何も海岸沿いをパルクールする必要はないが(湧き場に近くて危険でもあるし)一旦処理に時間のかかる大型を全て無視して距離を離すというのは雑魚を処理できる武器なら割と取りうる手段の一つとして候補に挙がってくるものだ。普段登らない高台や柱が立ってるならその上に逃げるのも全然アリだ。ミサイルやレーザーに照準されてたらそれもちょっと厳しいが。

あとは個人技を磨くのみ。それ以外の解決手段など存在しない。…友達が居ないなら。

以上でレッスン2を終了する。

ちなみにここに書かれている事がコンマの察した事実で、オクは表の内容をやっかみながらも伝えようと頑張っている。そういう事にした。ではまた。

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