邂逅

…という話を妹にした。あくまできれいごとの方を。

だが、この妹は正直言って贔屓目抜きで天才だ。俺の言った所をすぐにこなせるだけじゃない。自分で”それに沿った新しい定石”を見つけ始める。

これは一個ずつが革新的で、正直一人で環境を変えたいのかと言いたくなる。

こんなの公式戦でだって見た事ない。(勿論ガッツリ贔屓目が入っている上に野試合なのだから当然である)


買ってあげてからそろそろ一週間がたつ。実は今だに回想の最中にある。

イルカモン(忠告するようだが、決してサー〇ンランではない。)もそこそこに、

ヒーローになるモードの方は当然のように一日でクリアしやがった。

中学生の夏休みかと言いたい。

まあバイトしてない大学生だから同じようなものか。(おい)

妹と楽しくイルカをしばこうと思っていたのだが、(ゲーム内ではこれもバイトと称されている。ややこしい。)こうなると少しぐらい組んで対人もしてみたいというものだ。


その時私は魅せられてしまった。


キル武器を持っているとはいえ、残り30秒手前で華麗に4キルを決め、試合を勝たせるそのプレイングに。

だからかもしれない。

”綺麗ごとじゃない方”の理屈がまろび出て、自我を出してしまったのは。

うっかり隙があったものだから、自分語りのようにして武勇伝を聞かせてしまったのは。


俺の名前はオク。元プロの、現ただのニートだ。

(ちなみに設定上の話であって、作者は元プロですらない。現実って悲しいね。)

妹を…この確実にプロ入りできる逸材をどうしようか、絶賛悩んでいるところだ。


母さんは今はかなり一般主婦寄りだが、一時期アイドルのおっかけをしてて相当の家財をつぎこんでいる。一回友達とサークルを組んで同人誌に挑戦してみた事もあるらしい。本人は黒歴史だと思っててひた隠しにしているが流石に物置にあったら分かる。TRPGっていうごっこ遊びが好きらしいが、友達が遠くに引っ越してからはやってないとかなんとか。(この話もスピンオフとかできたらいいな。)

父さんは、それを支えて余りある財力をもったサラリーマンで、昔は相当のオタクだったらしいが今はずっと仕事で家にほとんどいない。居る時は教訓がましい昔の戦争の話ばかりしている。休日はネットでミリタリーのオタク専用の掲示板に居る時もあって、その時のハンドル・ネームはメッサー趣味人だ。もう少しなんとかならんかったのか。(作者はミリオタではないため、そもそもこの辺が限界である。)

俺はこの家族が好きだし、未来は明るいと思っている。

親戚のおかしな奴とか、ボケちまった爺さんも居たがそれももう過去の話だ。

俺はバイトに行ける。バイトに行けるから行かないんだ。

俺は異常者じゃない。俺は異常者じゃない。俺は異常者じゃない。俺は異常者じゃない。俺は異常者じゃない。俺は異常者じゃない。俺は異常者じゃ…ない。





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