01 彼女に、そして俺に何が起こったか
俺は学校ではいわゆるモブキャラの類に属する。
だが「
性癖はメガネ・ピチ服・巨乳好きでドMのいたって健全な男子高校生だ。
そんな俺が彼女、
鈴木はいつでもピチピチのジャージを上着にしている。
目も覚めるようなブルーで、袖に二本の白いラインが入っている。
一本でも三本でもなく二本なところが高評価だ。
そして乳がでかい。
何カップあるんだ?
来ているジャージが悲鳴を挙げているように見える。
下は紺色のブルマ、こちらも両サイドのラインは白で、数は二本だ。
うむ、非常にいい。
制服を買う金がないわけではないと悪友からは聞いているが、なぜあんなかっこうを?
わからん、だがそんなことはどうでもいい。
俺にとって、ドストライクだからだ。
髪の毛は少し青みがかっていて、ほとんど顔を隠している。
その下からは昭和のおっさんがつけていそうな縁の厚いメガネ。
あれ、べっこうとか言うやつじゃね?
なんか知らんが高級品だとか。
雰囲気からクラスではいわゆる「陰キャ」のレッテルを貼られている。
しかしこのように、鈴木は見事に俺の嗜好条件を満たしてくれているわけだ。
スポーティーな見てくれと、暗い性格を醸し出すそのギャップが実にいい。
これで萌えるなというほうが無理だ。
なにせナリがあんなだから、ヤバいやつだと思われて、攻撃の対象にはなっていないようだ。
神は俺を祝福している。
けっこう勇気がいったけど、今日の下校中にタイミングを見て、俺は彼女に告ることにした。
それなのに、おいおい、これ、ヤバくないか……?
「鈴木、お前、生意気なんだよ」
「こんなエロいかっこうしやがって」
「求めてるってことだろ? いくらなんでもわかるぜ」
「なあ、頼むよ。俺らのこと、慰めてくんね?」
商店街にさしかかったとき、学校でも有名な不良数人が絡んできて、鈴木はあっという間に路地裏の中へと連れ込まれた。
影から聞き耳を立てていると、そんな言葉をやつらは口にしている。
ど、どうしよう……
警察?
いや、さすがに間に合わないだろ?
誰か人を呼ぶか?
いや、何か誤解でも呼んだ日には、俺の平穏な高校生活に支障をきたしてしまう可能性がある。
くそっ、俺なんかが相手になるはずないが、無茶苦茶に暴れまわればなんとかなるかも。
それに、ここで彼女を助ければ、俺は一躍ヒーローになれる。
ポイントも一気にアップして、告白の成功率も上がるだろう。
ハイリスク・ハイリターンではあるが、イチかバチか、よし……
「おい、お前ら! いいかげんに……」
そこには廃棄された布団のように寝そべる不良たち。
その中心には鈴木理子が……
「鬼神くん……」
「え、あ、こっ、これ、どういう……」
彼女は姿勢を落とし、なにやら格闘技の「構え」を取っている。
「見ちゃったのね……」
「え、え……?」
鈴木は構えを解き、ゆっくりとこちらへやってくる。
「ごめんなさい、鬼神くん。見られちゃったからには、こうするしかないの」
「うぐっ……!」
彼女の手が俺の首根っこに食らいついた。
くっ、苦しい……
なにこれ?
これじゃ俺、死ぬ……
「ごめんなさい、鬼神くん、死んで……」
首にかかる力が一気に強くなった。
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