02 俺は殺されずに済んだが、彼女と諸事情がね……

「ごめんなさい、鬼神おにがみくん、死んで……」


 俺の首に食い込んだ手の力が、一気に強くなった。


「あ……」


 苦しい、死ぬ……


「待ちな、理子りこ


「――っ!?」


 首から圧迫が消えた。


 そして次に、俺はコンクリートの上に転がっていた。


「げほっ、げほ……」


 苦しい、息をしなきゃ。


 すう、はあ、すう、はあ……


 うん、かなり楽になってきたぞ。


冬真とうまくん、なんで止めたの?」


「これ以上死体の数を増やされたら困る、それだけだ」


 あいつは隣のクラスの刀子冬真かたなご とうま……


 鈴木のことを知ってるのか?


「鬼神くんはわたしが戦うところを見てしまった、だから始末する。それがわれわれのルールのはずよ?」


「閣下のお達しでもか?」


「――っ!」


 なんだこいつら?


 いったいなんのことを言ってるんだ?


 さっぱりわけがわからんぞ。


鬼神柊夜おにがみ しゅうやは生かし、俺のところに連れてこい。それが閣下のご意志だ」


「なにそれ、わけわかんない……」


 刀子がこっちに近づいてくる。


 な、何をする気だ……?


「立て、鬼神」


「えっ?」


 彼は俺に肩を貸し、そっと立たせてくれた。


「あ、ありがとう、刀子……」


「ふん……」


 鈴木は憮然と鼻息をついた。


「鬼神、ちょっとツラぁ貸せ」


「は?」


「いいから、俺たちについてこい」


「は、はあ」


「ちょっと待って」


 なんだ?


 鈴木がまた俺のほうに寄ってきて――


「むぐっ!?」


 いきなりキスされたんですけど……

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