第7話 【神様ポイント】それすなわちGP
ロンド少年の長い一日はようやく終わったらしい。せっかく初めて力を与えたんだ、彼には頑張ってほしい。まだまだそのスキルは進化の余地を残しているしフレアとともに成長していってくれ。というか、人間たちよ、どうか絶滅しないでくれ。神様からのお願いだよ。
≪随分人間を贔屓にされてるんですね?≫
「それはそうだろ、今はなんでか神様なんかやっているけど元々は普通の人だったんだから」
当たり前のように会話をしている相手はなんとあのウィンドウさんだ。こんな普通に話せるんだったら精神が崩壊しかけた時になぜ応答してくれなかったのか。それを聞いた時のなんとも冷たい返しを忘れることはないが今はいいか。
≪さて、先ほども説明しましたがロンドからの信仰が生まれたことによりGPが増えました。貴方にとっては初めての信者となるので初回特典として通常よりも多めに入ってきていますね≫
このGPというのは【神様ポイント】というものの通称らしく、管理する世界で自身を信仰する者が増えるとその量や質によって加算されるのだそうだ。今後はこれを使って神の力を行使していくらしい。じゃあ、今まではどうやって神の力を使っていたのか?それはこの少しずつ強くなっていっていた周囲を照らす光がGPであり、心が狂うほどの時間を経て少しずつ溜まったそれを使っていたらしい。
≪今までは時間経過によるGP増加で世界創世、ロンドへのスキル付与などをしてきました。しかし、時間経過で溜まる量など微々たるもの。今後は信者を増やしていかねばこの世界は発展しません≫
「GPを素に神の力を使って信仰を得る、そして集まったGPで更に世界を発展させる。そういうサイクルなわけだよな」
≪そうです。私は今まで多くの世界が生まれ、そして消滅していく姿を見てきました。その原因となる核は信仰が正しく創造神に渡らなかったことだと言えます。そのためGPを集められなかった神たちは世界を満足に発達させることが出来ずに、生み出した世界もろとも消滅しました。それを避けるために貴方は上手く神の力を使い、信仰をコントロールする必要があります≫
最初にこの話を聞いたときは、創造神ごと世界が消滅することに怯えたもんだが、最高な世界にすると決意したからには全力を尽くさなくてはならない。精神崩壊一歩手前だったことを振り返ると消滅は同じようなものだし、怖くはないかなと感じている。
そして、ここからが重要だ。今手持ちのGPでなにができるのか?選択肢は多くない。新たにスキルを一人に付与するか、か弱い使徒を誕生させるか。このくらいしかできないらしい。
「なんというかさ、結構世知辛いよなぁ~神様なのに何でもできるわけじゃないし。まあ、限られた範囲の中で頑張らないといけないって言うのはロンド少年達も同じではあるから文句は言えないけど」
≪はい、文句を言っていないでさっさと次どのように行動するのか考えたほうがよろしいかと≫
相変わらず冷たい返しだ。でも、確かにその通りで、やりたいことは沢山あるのだから立ち止まっている暇はない。
俺が本当に恐れるのは消滅などではない。自分の創りあげた世界がなんの面白味もなく、見ている側もそこで生きる側も退屈することが最大のバッドエンドだ。ダンジョン攻略、秘密結社の暗躍、受け継がれる血。そんなドキドキするワードが実際にある世界を見てみたい。
本当に幸せな世界というのがなにかなんて分からないが、俺が神なのだから俺が考え付くものは必ず実現させてやる。
「よし、まずはロンド少年のいる村からの信仰を得たいが...」
≪十中八九、このままだとあの村は滅びるでしょうね≫
そう、村人達も異変には気づいているようだが、かなりまずい状況になっている。そう遠くないうちに魔物の集団があの村を食料を得るために襲撃するだろう。食料というのが何を指すのかは考えるのも馬鹿馬鹿しいほどに明確だ。
ひとまずこっちが打てる手は多くないし、ロンド少年だってまだ人類の希望足り得る強さは無い。それにあの村の精神的支柱は今のところあの人っぽいしなぁ。今はこれが最善だと信じよう。
「ウィンドウさん!GPの使い道決めたよ!」
≪はい、決めたのであれば早く教えてもらっていいですか? あぁそれと前回は初めてのまともな世界への干渉だったこともあり、少々精霊に手を貸しましたがもうそのようなことは出来ませんからね≫
「分かってるよ、なんだかんだ優しいよねウィンドウさんって」
本当は、初のスキル付与がスムーズにいかず、タイミングを見て、ホブゴブリンと戦いが始まる前に覚醒するはずだったロンド少年が死にかけたから咄嗟に行動したんだろうが、それは口に出さないほうがいいだろう。
そもそも力の覚醒はギリギリじゃないと嫌だと駄々をこねたのは俺なのだが、尻拭いをしてくれたウィンドウさんには本当に感謝しかない。結果として最高のタイミングになったしな。
「そういえば、もう普通に話せるようになったのにいつまでもウィンドウさん呼びはなんか気まずいよね」
≪はあぁ? そんなことよりも、早く次GPをどう使うのか教えていただきたいのですが。本当は思いついていないなんてことはないですよね?≫
いきなり話を変えたから怒られてしまったが、ただの無機質なウィンドウではないのだから呼び名くらいあったほうが便利だと思う。それに俺からしたら唯一話せる友人ポジだからな。
「いやいや、それはちゃんと考えてるって! ウィンドウだから、ウィドウってのはどう? いい名前だと思うんだけど」
≪とても安直な名前ありがとうございます。ではこれからはウィドウとお呼びください≫
言葉にトゲは依然として残っているが、否定もされないし案外悪くない反応だ。
「あれ? もっと気に入ってもらえると思ったんだけどな~でも悪くない名前だよね、よろしくウィドウさん!」
≪はい、この世界をともに発展させて参りましょう。では、話を戻してもよろしいですか?≫
「うん! 次はね、あの人にこのスキルを与えることにするよ。」
≪かしこまりました、良い判断だと思います≫
やはり、案外呼び名を決めたのは良かったのかもしれない。ウィドウさんにお褒めの言葉を預かってしまった。
一先ず人間の絶滅ルートは避けなければならない、ウィドウさんと二人三脚で頑張っていこう。
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