第3話 スキル創造と付与

 意識がなくなる感覚というのを久しぶりに味わったと思ったらなんか世界が随分と進化を遂げていました。

 

 うん、なんで?よく分からないけど、人間みたいなのが普通に生活してるし、よくみたらエルフみたいなのとか、ドワーフみたいなやつとかが当たり前に存在しておる。しかしあれだな、時代的にはまだ発展してなさそうだし古代ってところかな。人間を見てみるとまだ国と言えるほど大きくはないし小さな集落がいくつも点在してるって感じだな。それに別種族同士はまだ出会っていないようだ。


 ふう、まあでも人間がいるってのはいいな。見ていてシンプルに楽しい。俺の世界も育ってきた感じがする。


 だが、そうも言ってられなさそうな気配がプンプン漂っている。なぜなら人間さんめちゃ弱いのだ。この世界にはエルフやドワーフがいる。これは実にファンタジーでいいと思うのだが魔物も存在している。それがつまり何を示すのかというと。


「ザシュ! ぐわぁぁぁぁ!」 


 魔物に当たり前のように人間さんは殺されていくのだ。この時代にはまともな武器なんてなさそうだし、ましてや国のような機能や数もなく集落程度の人数しかいないのだ物量作戦も取れやしない。今俺は人間のある集落を見ているがウィンドウの目の前でまた人間が魔物に殺された。どうやら集落を襲おうとした蜘蛛型の魔物に立ち向かって殺されたみたいだ。そして少し時間が経って、結構な被害を出しながらも蜘蛛の魔物は討伐されたようだ。


 うん、まずくないか?人間絶滅しそうなんですけど。なんか魔法が使えるようになったとかウィンドウで言っていなかったか?現にエルフやドワーフはそれらしいもの使ってるし。なんで人間は魔法を使わないのかよく分からないがこのままだと本当に遠からず人間が滅亡しそうでやばいな......


≪権能【スキル創造】・【スキル付与】が解放されました≫


 なんだなんだ?【スキル創造】に【スキル付与】?なんというか随分とまた突然に現れたな。なんとなくどういう能力なのかは名前で分かるが説明が欲しいな。だがこれで人間滅亡ルートは回避できるかもしれないな。


 「お~い、この能力について説明とかありませんかねぇ?」


 既にこのウィンドウさんが音声に反応することは判明しているのだ。説明を求めようじゃないか。


≪スキル創造はあなたの思い浮かべた力がスキルとなって創りあげられます。スキル付与はその名のとおり創りあげたスキルを世界の住人に与えられます。ただし、現状では創造できるスキルは一つのみで与えられるのも一人のみです。≫


 ほう、思い浮かべるだけでいいのか?なんというか最強ツヨツヨチート能力とかを人間に与えたら一気に勢力図が変わったりするんだろうか。う~んそういうのはなんかつまらないんだよなぁ。こう、俺が求めるのは本人とともに成長する¥!みたいな力なのだ。それに、いきなりとんでもない力なんか与えたら調子に乗って悪役みたいな奴になるかもしれないしな。よし!どんなスキルを創るかは決めたぞ!


 あとはどんなやつにこの記念すべきスキルを与えるかだが、ここは慎重にならないとだな。最初は弱いとはいえこのスキルは成長していくのだまともな精神をもったやつを選ばないと魔王にでもなってしまうかもしれない。


 おっ、良い感じの少年を見つけた。神様なのにこの少年の過去を覗いたりすることすらできないが、毎日農作業の手伝いが終わった後に欠かさず剣の修業をしているみたいだ。それに妹らしき女の子にはとてもやさしく接している。妹想いのいいお兄ちゃんだ。いずれ魔物と戦うことも想定して努力しているのもポイントが高い。そしてなんといってもこの世界で初めてスキルを神から与えられるのだ主人公ともいえる存在は正義感のある少年と相場は決まっているのだ。


 待ってろよ少年、今は魔物にやられ放題のつまらねぇ世界かもしれないけどそんなのは今日で終わりだ。


 俺の力ではまだ一人の少年に力を与えることくらいしかできないけど、絶対この世界を面白く創りあげてやるぜ!


「スキル付与!!!」


≪対象○○○にスキルを付与します≫























――――――――――


 ロンドは森の中を走っていた。いつも通り農作業をしていると村の中が騒がしくなり大人たちが武器を持って北の門のほうに向かっていったのだ。何事かと思い、話を聞くと北門に魔物が襲い掛かってきて門番たちが応戦しているらしい。この世界では人間は無力だ。ゴブリン一匹をとっても体の基本スペックが異なり、身長130センチほどの奴らが大人と同じくらいには強いのだ。そんな世界だというのに魔物によっては魔法という力を使ってまともな武器も人外の能力も持たない人間を簡単に殺してしまう。


 この世界はクソだとロンドは両親が殺されてからというもの、常に思い続けていたが今回は体長二メートルにもなるデカい狼が襲ってきた。すでに討伐は完了したが死傷者は多く出た。そのせいで村にある傷薬がなくなったのだ。ロンドは大人が止めるのも聞かずに森の中を走って傷薬の素材となる薬草の群生地へと向かっていた。


 村の周りはあまり魔物は寄り付かないが、森の中はそうではない。そんなことは分かっているロンドだったが、今は緊急事態だ。13歳になったロンドは毎日剣を振って努力していたのもありゴブリン一匹くらいなら倒せると確信していたのもあり、早急に薬草を村に届けることを選択したのだった。

 

「急げ、早く薬草を村に持って帰らないとせっかくあの狼を倒したのに傷が悪化して死んじゃうかもしれない!」

 

――ガサガサッ――


「ん?なんだっ!」


 ロンドが前方を見ると二匹のゴブリンと目が合った。


「やべっ!これはまずいな」


 ロンドは一対一であればゴブリンを倒す自信があったが、二体同時となると不味い。しかしゴブリンは既にこちらに気づいて汚い声を声を上げながら距離を詰めてきている。初の実戦に体が少し竦むが逃げきれなさそうだ。


「逃げてもあっちのほうが足は速いだろうし、一か八か戦うしかないか」

「それに、いずれこいつらよりも強い魔物と戦わないといけないときが来るんだ。」


 ロンドは両親が死んで幼い妹だけは守ると決めた時から毎日剣を振り続けていた。そしてその剣を実際に振る時が来たのだ。覚悟は決まった。震えはない。


「よっしゃあ!かかってこいやゴブ野郎共!お前らを倒して人間は弱くねぇってことを見せつけてやるぜ!」










――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 みなさんどうも、いやまだスキル来ないんか~いという感じですがロンドくんはゴブリンに勝てるのか?!いつスキルは使えるようになるのか?!というかなんのスキルなのか?!今後もお楽しみに~


 もっと読みたい!面白かった!早く続きを書け!等思われた方は是非とも作品のフォロー、レビュー、星の評価、いいねなどなどお願いいたします。大変励みになります!それではまた次の話で!

 

 



 

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