第2話 なるほどなるほど、よく分かりませんな

≪新世界創造中≫

 ウィンドウの文字がそう変化してから数日が経っている、だがそんなことは気にならない。なぜならウィンドウには現在進行形で丸い惑星に緑が育っていっているからだ。まだこの世界にはゆっくりと範囲を広げる緑と海くらいしかない。大陸は六つに分かれている。

 

 楽しい、楽しすぎる。


 すべてが停滞した世界に一年もいたのだ、なにが起こっているのかはさっぱり分からないが変化があるだけ気分は爽快である。 しかし、なぜ急に世界を創造なんてことになっているのか。特に操作することもないから少し考えてみるとするか。


 まずはこの世界を創造するということについてだ、創造というのだからそれをしている俺は創造神とでもいうべきか、はっはっはなんだか偉くなった気分だな。

 そしてこの何もない空間、俺が創造神だというのならここは神界だ。なんにもないけどね、神界なのに......

 そんで最後に半径一メートルを照らす光、これは神気的なものなんだろうか思い返してみるとこの範囲が広くなってからウィンドウは現れたんだったな。しかし、信仰によって神は強くなるんじゃないのか?俺は何もしてなかったのに育ったのには何か理由があるんだろうか、う~ん分からん。ログインボーナスみたいなもんかね。

 ふむふむこれらから考えるに、俺はこの神界で神気が一定量に達したから新しい世界を創る創造神になりました。ってところかな?


「意味わかんね~」


 本当に意味が分からないが、まあ誰に言うわけでもないんだ。恥ずかしい妄想だったとしてもそれはそれでいいだろう。


≪世界が生命体の住める状態にまで育ちました≫


 ふむ、世界が生命体の住める状態にまで育ったらしい。脳内でオウムが鳴いているがこれはどうしたらいいんだろうか。こっちから干渉できるようなことなんて今のところ何もないんだが。


≪初の生命体を創造しましょう≫


うん、なんというかこのウィンドウは不親切だと思う。もっとゲームみたいに選択肢が出てきたりしないのか、どうやって創造をするんだよ。そんでもってどうやってその意思を伝えるのだ、とりあえず声に出してみるか?


「かっこいいドラゴンをいっちょお願いしま~す」


≪了解しました、世界で初めての生命体としてドラゴンを創造します≫


 おお、いけたのか音声入力対応してたのねこのウィンドウ。ん?というか了解しましたってどういうことだ?ウィンドウには意志でもあるのか?ならなんで俺がこんな状態にあるのか聞けたりするかもしれないな。

 そんなことを考えていたらドラゴンさんが生まれたようだ。生まれ方はなんというか、画面内の空間に卵型の物体が現れたと思ったらそこからパラパラ殻が割れて生まれた。


「おぉ~可愛いな」


 そう言葉が漏れてしまうくらいには可愛かった。なにせ自分以外の生命体を久しぶりに見たのだ。しかもそれは自分が創り出した存在だという。この真っ黒なちびドラゴンはもはや俺の息子と言ってもいいだろう。


 数日が経った、あれからあのちびドラはその影を残すことなく大きな龍へと成長を遂げていた。そして驚くことに自分の殻から五体のちびドラを生み出していた。赤・青・緑・茶・白となんとも個性の分かれたちびドラたちも数日後には大きく育っていた。この世界に黒のちびドラしかいなかったときはどうやって繁殖とかするんだろうと思っていたがとんでもパワーで解決らしい。異世界って感じだな。


 ただ、ドラゴンを生み出してからというものウィンドウさんの反応が全くない。俺には自分の力の使い方なんて分からないしそもそも何をしたらいいのかも分からない。急に音沙汰がなくなるのはやめてほしいものだ。


≪原始龍の成長に伴い世界にマナが生まれました≫

≪マナが生まれたことにより、魔法の行使が可能になりました≫


 うん、また突然現れました。しっかし、マナね。魔法を使うための素ってところかな。でも、だったらなんでそれ以前に殻からちびドラは生まれたんだろう?神様が創った殻だからなのか?分からないことだらけだがこの世界に変化が生まれたんだしなんでもいいか。


≪生命体の創造とマナの発生おめでとうございます≫

≪これより世界の時間を千年進行させます≫


 え、なんか急展開なんですけど。というか強制ですか、そうですか。

 おぉ、映像がなんか早送りになっていってるな。そして、目がちょっと霞んできた。頭もなんだか重いし前後左右も分からないような......バタンッッ!!!


 そして俺は突然意識不明になり倒れた。
























 目覚めたら画面の中の世界で人やエルフにドワーフその他どこかでみたような様々な生き物が普通に集団で生活を営んでいた。まだ国と呼べるほどのレベルじゃないし技術なんかもほとんどないように見える。時代的には古代ってところか。


 



 うん......なにがどうなった????






______________________________________


 というわけで第二話です。ようやく主人公以外の生命体が出てきました。とはいえ未だ誰にも名前すらない状態なのですが( ´∀` )次話から主人公のできることであったりが少しずつ分かって世界に干渉していくことになります。お楽しみに~





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る