第2話 銀河鉄道建設公団の誠意

【前回第1話のあらすじ】

銀河鉄道建設用トラックビームが、うっかり地球に直撃。地球爆散。全人類が無事死亡。このトラックビームを発射したのは誰だぁ!お前かぁ異星人!謝罪と賠償を要求する!


★★★

そんなこんなで。

銀河鉄道建設公団のエージェントに対して、小一時間問い詰めてみた。


【現状復旧について】

Q「とりあえず生き返らせてほしいんですが?」

A「賠償交渉妥結後、爆散前の地球に復旧させていただきます。」

Q「その、トラックビームとやらが地球に命中する前に戻すと?」

A「地球時間で1太陽日前の段階に戻させていただきます。」

Q「戻すって・・・そんな簡単に言うけどさ、時間遡行タイムリープ的なアレか?」

A「方法はお教えできませんが、時間を巻き戻して『無かったこと』にします。」

Q「するってぇとなにかい?今おまえさんと話してるこの俺、『家ごと宇宙空間に吹っ飛ばされて死んだ俺』はここで消滅して、『平凡でショボい日常を送る昨日の俺』がショボい人生を昨日の時点から再スタートする、と?」

A「・・・」


【賠償について】

Q「賠償って言うけどさぁ。全人類どころか地球上の全生命が死んでんねんで?」

A「心よりお詫び申し上げます。」

Q「業務上過失致死どころか、危険運転致死傷罪だろこれ!暴走トラック重過失!」

A「誠に申し訳!(土下座)」

Q「宇宙事故調査局の人呼んで!銀河法の関連条文出して!国際宇宙弁護士呼んで!」

A「申し訳!(五体投地)」

Q「ゴメンで済んだら宇宙警察は要らんのじゃぁ!誠意!誠意見せろやぁ!」


★★★


俺の人格と見た目をコピーした「銀河鉄道建設公団」のエージェント君(誰に似たのか慇懃無礼な態度でムカつく)と小一時間グダグダ口論した結果。


なるほど、だいたいわかった!


銀河法の業務上過失致死に対する「損害賠償」規定は極めて単純。

①事故る前まで時計の針を戻して「無かったコト」にしろ。証拠隠滅!ヨシ!

②被害者に規定額の賠償金を銀河ドル建てで支払え。札束でひっぱたけ!


んで、銀河ドル渡されても地球じゃ使えないので、条例で運用方法を規定してる。

①被害者本人の人格クローンを交渉人として対応させる。

②クローン交渉人が賠償金額相当の賠償内容を提示し同意を得る。


・・・なるほど、わからん!


★★★

とりあえず思考停止することにした。


Q「チート能力くれ!」

A「骨格から改造すれば運動能力チートできますが、それじゃもう人間卒業ですよ?」

Q「魔法!スキル!」

A「異世界じゃないんですよ?現実ですよ?大丈夫ですか?」

Q「イケメンにしてくれ!」

A「整形は可能ですが、普通に稼いで普通に整形手術したほうがいいですよ?」

Q「カネくれ!」

A「全人類が賠償受け取ってるので、既存通貨はたぶんすごいインフレで紙屑になってますよ?金銀プラチナ、貴金属類も全部二束三文ですね。」

Q「銀河鉄道やらタイムリープやら実現できる宇宙のオーバーテクノロジー的アイテムをくれ!」

A「残高が不足しています。」


チックショー!

夢も希望もねぇなぁおい!


★★★


次回に続く!





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