第7話 賑やかなランチタイム
「「おかえりなさい」」
教室に残ってた実莉と花蓮ちゃんが笑顔でおかえりを言ってくれた。
あれ?なんだか花蓮ちゃん、さっきよりのびのびした表情だ。少しだけ気を許してくれたのかな?
「で、瑠奈、何か収穫はあったの?」
実莉が聞いてきた。あっ、そうだ!
「あのね!顧問になってくれる先生が見つかったよ!なんと!なんとあの人がなってくれるの!その名もズバリ!」
「教頭がなってくれるんだってー」
ああああああああ!
「なんで言っちゃうのささつきぃ!」
私が叫ぶと、颯姫は「だってー」と言う。
「だってもなにもないよぉ!」
「だって、瑠奈、勿体ぶりすぎなんだもん。言いたいなら早く言いなよ」
……だって。
「だって、勿体ぶるでしょ!教頭先生がなってくれるんだよ?めちゃくちゃすごいじゃん!」
「でも、やることはいっぱいあるんだからそんな所で時間使わなくていいでしょ」
と私たちが言い争いをしていると。
「はいはい、わかったわ。教頭先生が顧問なんてすごいことねー」
と実莉が言ってきた。棒読みで。
せめてもうちょっと感情込めてくれないかな。棒読み感丸出しすぎてへこむよぉ。
私がそう思ってたら。
花蓮ちゃんが「あの!」と手を挙げて言った。
「あの、これ仕上げません?私、そろそろお腹すいたんですけど」
あっ。
そうだった。今日は入学式で午前中だけ。私たちはお昼ご飯食べて話し合いしよ、と昨日のうちに連絡取ってたんだけど、花蓮ちゃんは入学式だけの予定だったもんね。この話もこんな長引くなんて思ってなかっただろうし。
「ごめん花蓮ちゃん!花蓮ちゃん、お弁当持ってきてなかったよね……あっ!ていうかこんなに残る予定なかったよね?あ、親御さんは大丈夫?」
私が慌てて言うと、花蓮ちゃんは「親の方は大丈夫です 」と言った。
「うち、お母さんもお父さんも仕事が休めなくて、今日一人で来たので」
お父さんもお母さんも仕事か……
せっかくの入学式なのになぁ。
「花蓮、あたしたちのご飯食べる?あたしたち、元々残るつもりでお弁当持ってきたからさ」
花蓮ちゃんの言葉を聞いて、颯姫が言う。 そっか、その手があったよね!
「私もあげるよ!今日サンドイッチにしたから食べやすいし!お腹すいちゃいけないし、皆でシェアできるようにいっぱい持って来たんだ!」
「私もパンにしたからあげるわよ」
私たちが揃って言うと、「え、ええ……」と困る花蓮ちゃん。そんな花蓮ちゃんに「いいからいいから〜。あたしは普通のお弁当だけど、プチトマトとかおむすびとかならあげれるし!」と言う颯姫。
「じゃ、じゃあ、いただきます……」
遠慮がちに言う花蓮ちゃんに
「「「どーぞ!」」」
と私たちは声を揃えて言った。
「いつ食べる?ていうか、もういい時間だし、今食べちゃおっか?」
颯姫の言葉を聞いて、なんとなく教室の時計を見上げると……
わっ。もう12時過ぎてたんだ!どうりで頭が働かないはずだよー。
そう思ってたら、「瑠奈の頭が働いてないのはいつもの事でしょ」なんて颯姫に言われた。
え、エスパー?颯姫、実は超能力者なの?
なんて思ってたら、
「なわけないでしょ。瑠奈は考えてることがすぐ顔に出るからね」
と言われた。
……むむむ……まあいいか。
「とりあえず食べよー!お腹すいたし!」
そう言いながら私はカバンからお弁当箱を取り出した。中身はサンドイッチだけどね。
すると、颯姫と実莉が手近な机を引き寄せ、私の机にくっつけてくれた。
おお!懐かしの班の形だ!小学校の時やったよね〜。
そんな懐かしさに浸りながら、私たちは四人でご飯を食べ始めた。花蓮ちゃんにシェアしたりして、どうでもいい話からハイドラ関連の話まで色々して。
なんだかもう、めちゃくちゃ仲良いチームじゃない?
これから先、順風満帆に行く気しかしなくない?
そう思いながら、私たちはお昼ご飯を楽しんだのだった。
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