第6話 顧問はまさかの!?
「とりま職員室行こ」
とあたしは言いながら、拗ねる瑠奈を引っ張っていた。
「ううー、そんなに絵下手かなぁ」
まだ拗ねてんのか……てかいいじゃん。あたしだって下手くそって言われたんだから、下手なのは1人じゃないんだし。
ごにょごにょ言い続ける瑠奈を引っ張りつつなんとか職員室に着いたあたしたちは、トントン、と扉をノックしたあと開き、大きな声で言った。
「失礼します。3年3組の雨宮と野沢です。ちょっと用事があってきました」
「ちょっと用事があってきましたって……」
ちょっと瑠奈、聞こえてんぞ?小声で言ったつもりかもしれないけど、思いっきり聞こえてるし。
だって、どの先生がOKしてくれるかわかんないから、とりあえず手当り次第声かけようと思ったんだもん。それだったら、なんとか先生にーとかって限定するより、アバウトに言った方がいいと思ったんだよ。
でも、瑠奈に馬鹿にされるのはなんか癪なので、とりあえず瑠奈の頭をぺしん、と叩いておいた。
うー、と唸りながら頭を押さえる瑠奈の隣に立っていると……
「おー、どした?」
3年生の学年主任の高田先生が声をかけてきた。おっと、ナイスタイミング。
「あのですねー、あたしたち……あたしと瑠奈と実莉とまあその他の人と……ていうか瑠奈が言い出しっぺなんですけど、ハイドラに出ようと思ってるんですよー。で、誰か顧問になっていただけないかなって」
しっかり、発案は瑠奈ですよ、文句があるなら瑠奈にどうぞという雰囲気を醸し出しながら言うと。
先生が真顔で言ってきた。
「でも、野沢たちは今年受験生だろ?確か、野沢は内部進学だけど、雨宮と吹雪は外部行きたいんだろ?それに吹雪に至っては公立狙ってなかったか?そんな時にアイドルなんかしてていいのか?」
うーむ、ごもっともな意見。ぐうの音もでないよね。
「あー、まあ、そこは、うん、なんていうか……」
もごもご言うあたしに対し、元気いっぱいに瑠奈が答えた。
「えへへー、だって、やりたいんですもん!先生はこんな時って言うけど、よく考えたら私たち今年しか出られないんですよー」
瑠奈の言葉に頷くも、先生は言う。
「でもなぁ、野沢は内部進学だから確かにいいかもしれん。けど、他の二人はどうなんだ?発案は野沢なんだろ?もし二人が志望校に落ちた時、責任取れんのか?」
かっちーん。イラッ。
「先生、それ、あたしたちが落ちるって言いたいの?別にアイドル活動しながらでも勉強するし、なんなら絶対受かってやるし!あと、あたし成績いいんだから指定校くださいね」
ちゃっかり指定校推薦をねだりつつも、先生に文句を言う。
ていうか、埒が明かないよ!
「ってことで、先生たちの中で誰か、顧問してくれる人いません?」
しーん。
誰も何も言わない。
え、なにさ、そんなにやりたくないの?
なんて思ってたら。
「あー、俺がやるよ」
と言ったのは……
「「教頭先生!?」」
マジで!?え、マジ!?ガチなの!?
びっくりしすぎて瑠奈とハモったし!
「え……いいんですか!?」
瑠奈の驚いた声に、教頭先生は頷く。
「高校生活は3年しかないからな、今しか出来ないことをやればいい。学業も忘れなかったら俺からはなんも言わん。ただし、誰かひとりでもテストで赤点をとったら部停にするからな」
マジですか……
「「ありがとうございます!!」」
あたしたちは頭を下げた。
いやー、ありがたいね!教頭先生が顧問ってなんかすごいし!
ポスター作りを頑張ってくれてる実莉と花蓮にいい知らせを持って行けるぞー!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます