第142話 創造神様とのんびりトーク:⑫
〚歴代帝王の執念とか怨念が玉座に座る者に心理的な影響を与えているということだね〛
『玉座自体に呪いのようなモノがかかっているということでしょうか?』
〚玉座は帝王に即位し『王の威厳・威圧』が使える者が座ることで意味を持つ。帝王に即位していない者が座ってもアレはただの椅子でしかない〛
〚帝王もしょせん人の子だ。アランの使った広域殲滅魔法を見れば恐れを抱くし、
〚ガーシェ大帝国の全戦力をもってしてもアランにはかなわないだろう〛
〚だが玉座に染みついた歴代帝王の執念や怨念が、ガーシェ大帝国の帝王こそが最強・最高の権力者であり、見た目は
〚だがそれは誤解だから、アランに
『しかし、帝王は状態異常無効の魔導具を身に着けていたので、混乱とか錯乱状態にはならないはずではないのでしょうか』
〚『王族の遺伝子』がそこで関係してくるんだよ〛
〚王族の子に生まれついた者は『王族の遺伝子』を持つが、特に金色の髪に銀色の瞳を持つ者は『帝王の因子』を強く持つ者なんだ〛
あー、確かに帝王も王子や王女たちも金髪で銀の瞳だったなぁ。
〚その者たちの誰かが帝王に即位すれば『王の威厳・威圧』が使えるようになる。つまり遺伝子の中にあるスイッチが入るということだね〛
『なんか…、不思議な話ですね。遺伝子の中にある『帝王の因子』が目覚めるという感じですかね。それがあるがために状態異常無効の魔導具では防げない影響を受けるということでしょうか』
〚アランの暮らすガーシェ大帝国の帝王というのは、羨望の的であり憎悪や悪意・殺意の標的でもある。帝王の象徴としての玉座には歴代帝王の執念や怨念、あるいは彼らに
虐げられてきた者たちの執念や怨念か…、神眼で見た帝王は骸骨たちにまとわりつかれていたな。
歴代帝王や虐げられてきた者たちの執念や怨念が、オレに膝を屈することを許さなかったのかな。
ヌカ喜びさせてスカしたオレも悪いけど、謁見の間でも控えの間でも、帝王は自分の孫たちが創造神様を
土下座して
孫の不始末を祖父が
まぁ帝王にしても王族にしても、今後は極力接触しないことにしよう。
『正直なところ、帝王についてはあまり深く関わりたくないので、この話はおしまいにします』
〚そうだね、帝王や王族には関わり合いにならないのがいいね〛
オレは、ひと息入れようと神威でアップルパイと熱いカフェオレを造って食べ始めた。
サクサクのパイ生地と甘いリンゴが美味しいねー。
サクサク音を立ててアップルパイを食べていると、サリーエス様の鉄立像から熱い視線を感じる…。
〚アランは美味しそうに食べるねぇ〜。それはアップルパイかな?〛
んっ?、さっきお出しした和菓子はもう食べ終わっちゃったの?。
まったく健啖家にもほどがあるよ…。しかたないなぁ。
オレはアップルパイ・チョコパイ・ピーチパイ・ストロベリーパイに生クリーム・カスタードクリーム・チョコクリーム・ストロベリークリームが入ったシュークリームを熱いコーヒーと紅茶を添えて造った。
それはテーブルに並べた瞬間に、光に包まれて消えていった……。
もうノーコメントでオレとサリーエス様は美味しいパイをモグモグサクサクと食べた。
やがて満足そうな声でサリーエス様が言った。
〚アランは神威で食べ物を造るのが上手だね。地上では料理は作らないのかな?〛
『屋敷には料理人がいますので、作ったことはありません』
〚これも
〚もうすでに地上にある料理もあれば、まだ無い料理もあるだろうからね〛
〚ゆっくりでいいから、アランが覚えている前世で
『それは、この世界を発展させるキッカケとしてということでしょうか?』
〚そうだね。少しずつ文化や文明を発展させる知識を広めてほしいね〛
〚ただ、いきなり前世でアランが仕事で使っていた機械や自動車を持ち込んでも、使いこなせる者がいないだろうから、手近な料理から始めるのがいいかな〛
『そうですね、私が前世で扱っていた自動車やバイクをこの世界で作れたとしても、使いこなせる者や法律・運用ルールを整備しないといけませんからね。簡単な料理から始めてみます』
〚
『わかりました』
〚では、また話したいことがあれば呼びかけてきなさい〛
鉄立像からサリーエス様の気配が消えたので、柔らか結界で包んでポーチにしまった。
今度サリーエス様を呼び出すときは、最初から食べ物を出しておかないとダメだな。
オレは苦笑いしながらそう思った。
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