第81話 創造神様とのんびりトーク:⑥

 静かに寝ている家族を見守ったあと、新しく授かった魔法の練習をしようと思い、風魔法からやるかと寝椅子から立ち上がり少し離れた場所に立った。


 創造神様はオレが何をやるのか興味しんしんで見ている。


 オレは右手を上げて白いモヤに向かって風を吹かせてみた。フワーとした風が白いモヤをかき分けていった。


 少しずつ威力を上げて自動車工場で使っていたブロワーをイメージして強めに風を流したら、白いモヤにトンネル状の穴があいた。右手を左右に降ると白いモヤを切るような感じになったので、コレの威力をもっと上げて絞り込めば風のビームになるんじゃないかな。


 指先から細く絞り込んだ風を強く吹かせるイメージで出してみると、白いモヤを切り裂くことができているようだ。これを使って太い木を切れるかな?。前世でもカマイタチってあったなぁ。あれを実現できれば、強い魔物を切り裂けるかな。


 強い風といえば台風だから、天気予報でよく見た台風の気象衛星画像をイメージして風魔法を使ってみた。近くだと飛ばされちゃうので、はるか上空に出してみたら、白いモヤが綺麗に渦巻いている。


 あれを地上したで再現したら大災害が起きるな。


 風魔法で作った台風を見ながら、あの中に火礫ファイヤーバレット土礫アースバレットを混ぜると魔物が大量に襲ってきてもミンチにできそうだな。


 上空に作った台風を解除して、右手にファイヤーバレット、左手にアースバレットを同時に作れるかなと思った瞬間に…できちゃったよ。


 右手は熱くないし左手は汚れてない…いやぁ~魔法って不思議ですねぇ。


 前方に螺旋状に渦巻く風を出してその中にファイヤーバレットとアースバレットを放り込んでみた。万が一オレに向かって飛んでくるのはイヤなのでカチカチの結界の壁も張ってみた。


 渦巻く旋風の中でファイヤーバレットとアースバレットがかき混ぜられていくのを見て…コレは…うん見なかったことにしようかな…。


 あんなのぶつけられたらミンチじゃなくてペーストになってこんがり焼けちゃうよ…。結界の壁にもビシバシ飛んできてるし…。




 しかし鑑定魔法は別にして火・風・土・結界の四属性を同時に発動できるのか…オレどうなってるの?。


 〚なかなかいい魔法を使うね〛創造神様はニッコリ笑って言った。


『四属性の魔法を同時に発動できるものなんですね』


〚アランは私の加護があるしこの世界は神威に満ちているからだね。地上したで同じことができるかは試してみないとわからないね〛


『それは地上したには神威が無いからですか?』


〚そうだね、地上したでは魔力にたよることになるからね〛


『魔力が足りなければこの複合魔法は使えないということですね』


〚その通り、だからいきなり地上したで大きな威力のある魔法を使うと魔力切れで意識を失うか…死んでしまうね〛


 魔力切れはたしかにマズイな。でも魔力を増やすにも限界があるよな。やはり身体の成長を待つしかないか…。


 創造神様から新たに授かった火・風・土・鑑定魔法はなんとなく使い方が頭の中に浮かんできて発動できるけれど、ジックリ魔法書を読み込んで知識を身につける必要があるなと思ったオレはリチャードからもらった魔法大辞典で勉強しようと思ったけれどここには無い。


 さてどうしようかと思案していると創造神様が言った。


〚アラン、魔法書を読みたいのなら頭の中でその魔法書を思い浮かべてごらん〛


 オレは魔法大辞典のカバーを思い浮かべた。するとスクリーンが展開されて魔法大辞典が映し出された。


〚アラン、この世界にある魔法書はなんでも見れるよ。しっかり勉強しなさい〛


 そう言うと創造神様は姿を消した。


 オレは自分の部屋に置いてある勉強机と椅子を神威で作り、スクリーンに映し出された魔法大辞典の初級火魔法のページを開くイメージで読み進めることができたので、座学をすることにした。


 


 


 

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