第78話 創造神様とのんびりトーク:③

 地上したにいた時の習慣で、夜になったら寝るものと寝椅子で横になって目を閉じたが、ゴロゴロ寝返りをうつだけで一向に眠れない。


 やっぱり創造神様のお力:神威カムイで作られている精神体のオレには眠りは必要ないようだ。


 あたりを見回してみると、創造神様は大きなスクリーンに細かく分割された画面をさかんにスクロールしながら見ている。


 創造神様って真面目だなぁ。


 オレは白いモヤで包まれた創造神様の世界がどれくらい大きいのか確かめようと、結界板を作って空を飛んでみることにした。


 ベースになる結界板の上に一人用のソファを作り、膝から二十センチくらい離して結界板を立ち上げて胸の前で『くの字』に曲げて端からハンドルに見立てた棒を伸ばすと『なんちゃって空飛ぶ結界板』の完成〜〜!。


 ゆっくり結界板を浮かせて、創造神様が『神罰』で三バカ兄弟から取り上げた風魔法で軽く前に進んでみた。


 『創造神様の加護』と神威のおかげで、頭の中でどう動きたいかイメージすると、そのとおりに動き回ることができた。


 全体を流線形の結界で包みこんで、さあ冒険の始まりだ!。


 オレはスピードを上げてまっすぐ進んだ。時速五㌔→十㌔→二十㌔→五十㌔→百㌔→二百㌔…どんどんスピードを上げて新幹線をイメージしたがまだまだ白いモヤは続いている。


 そのままのスピードでハンドルを軽く手前に引いて上昇してみる。白いモヤの中を猛スピードで上昇したけど、やっぱり白いモヤは続いている。


 これはキリが無いなぁと大きさを確かめるのは諦めて、下降しながら、体重移動でキリモミ飛行に切り替えて遊んでみた。


 気分はトップガ◯だぜー!。


 レ◯バンのサングラスが欲しいところだな。


 トッ◯ガンのテーマを頭の中で流しながら急上昇・急旋回・急下降・キリモミ飛行を繰り返し、もう限界かな?と思われる高度まで上昇して、風魔法を解除して自由落下している時に、横から声が聴こえた。


〚アラン、ずいぶん楽しそうじゃないか〛


『ハハハハハハ、いやぁ~創造神様の世界がどれくらい広いのかと思いまして、結界板で飛んでみたのですが果てしないので、いろいろな飛び方で遊んでいました』


〚そうだよ、私の世界はアランが進むにつれて広がるからね。果ては無いのだよ〛


『えーーー、そうなんですか。それは知らなかったです』


〚だって言ってなかったからね〛


〚コレに私も乗せてくれないか〛


『はい、どうぞ』


 オレは空中に静止させた結界板のソファをバイクのタンデムシートに作り変えて、後ろに座った。


『どうぞ、前にお座りになってください』


〚いいのかね、じゃあ乗せてもらうよ〛


『その棒状のモノを掴んで上下左右に降るといろんな動きができますよ。創造神様に戴いた風魔法を使ってどう動きたいかイメージするとやりやすいです』


〚ふむふむ、結界魔法と風魔法を組み合わせたのか。アランはもう風魔法を上手く使えているんだね。いいことだよ〛


 創造神様はゆっくり結界板を前に進めると、スピードを上げた。新幹線やリニアなんてメじゃない、ジェット戦闘機並で音速超えてんじゃね?と思うくらいでぶっ飛んでる。


 創造神様…スピード狂かよ…いや大いなるお力の持ち主だから『スピード凶』だな。


〚アラン…、今なにか失礼なことを思い浮かべたね…〛


『あー、いやそのぉ…』


〚ハハハハハハハハ、そうか私はスピード凶…空飛ぶ凶器か…、まぁあながち間違いではないな〛


地上したで『神罰』を下すときにはコレを真似してみようかな…〛


 えー!、それはホントに怖いから…ヤメテェ…。


 創造神様は笑いながらキリモミ飛行を繰り返した。オレは精神体でよかったと思った。肉体だったら、口から虹を吐いてたよ。


 キレイな虹…にはならんよな…。

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