第72話 創造神様とのんびりトーク:②
〚やっぱり教会はアランを手に入れるつもりだな〛
マローン大司教の様子を見ていた創造神様は言った。
『手に入れる…無理やり身柄を拘束したり…奴隷にするつもりなんですかね』オレがきくと〚いやそれは無いだろう。そんなことをされたら私が黙っていないからね。教会のヤツラは神罰の恐ろしさをよく知っているだろうから、無理やりではなくて
搦め手か…オレとヴィヴィアンをまとめて手に入れるつもりだろうが、そううまくいくかな…。
ワインを一本飲み干したマローン大司教はそのままソファで寝てしまった。ニヤニヤ笑う寝顔をライブビューイングで見ながら、創造神様は言った。
〚コヤツは他の聖職者とは違って物欲が少なく、華美な装飾や
〚いわゆる七つの
〚しかし残りの
〚このまま
『つまり聖職者としては今のところ優秀であるということですか?』
〚そうだね。この者が勤勉実直に大司教としての職務に励んでいるから、私も助かってはいるのだが…〛
『助かっているとはどういうことでしょうか?』
〚この者だけでは無いのだが、聖職者として信仰を捧げ、多くの者たちにも信仰を勧めることにより、
〚つまり人々が私に寄せる信仰心が神威の元なんだよ。それは教会に行って礼拝をしてもいいし、昇る朝日に手を合わせてもいい、眠りにつく前に一日何事も無く過せたことに感謝してもいい。創造神と意識しなくても、何者か大いなる存在に敬意を払い感謝する気持ちが大切なんだ〛
『なんか…、申し訳ないです』
〚申し訳ないとは…?〛
『私のこの身体は神威で作られているとおっしゃったので…、たくさんの人たちの信仰心をタダで使わせてもらっているので…』
〚ハハハハハハ、そうか。そういう意味か。まぁそれはいずれ地上に戻って肉体と精神が一つになってから、その人たちに何かお返しができたらいいんじゃないかな〛
『そうですか…、そうですね。ここで思い悩んでも何かできるわけでは無いですね』
〚今は、たくさんの人たちの信仰心で生かされていることを忘れずにいればいいと思うよ〛
〚それにアランには百年ぶりに私が加護を与えたのだから、いずれその役目を果たせざるおえない時が来るよ〛
『たしか百年前に誰かが加護を授かって、その前は二百年前に加護を授かったんじゃないかと思われる人物がいたと聴きましたが…』
〚二百年前…、ああアイツか。そうだよ、百年ごとに加護は与えているね〛
『二百年前のさらに前にも加護を授かった人がいたのですか?』
〚いたね…いたよ…。うーん、いるよって答えるのが妥当かな〛
『何人くらいですか?』
〚うーん、何人と言ってもいいが…、何頭…何匹…何羽…、数え方はちょっと難しいかな〛
『それは人の形をしていないモノということですか?』
〚ああ、そうだね。それに人の形では無くなったものもいるね〛
『『いる』とおっしゃっいましたが、数百年前に加護を授かったモノがまだ生きているということですか?』
〚そうだねぇ…、あまり他のモノについては考えなくてもいいよ。そのモノたちはそのモノたちでうまくやっているからね〛
〚それにいずれ出会うモノもいそうだし〛
創造神様はニヤリと笑った。
『もう一つだけお教えください。どうして百年ごとなのですか?』
〚加護を与えたモノにこの世界をより良きものにしていって欲しいのだが、毎年とか五年・十年置きだと『創造神の加護』の乱発になり、ありがたみが無くなり信仰心が薄くなり、神威が弱まる。つまりある程度年数を空ける必要があると思ったんだよ。だから百年ごとにしたのだよ〛
〚百年ごとに一つの魂を選ぶんだ、つまりアランはいいタイミングでこの世界に来たんだね〛
オレの脳裏には大型スーパーや遊園地でよくやってる【 祝! ご来場者○○○万人目 】とかのタスキをかけて垂れ幕の下でくす玉を割っているイメージが浮かんだ。
【 祝! 百年ぶりの加護授与 】ってタスキ…、
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