第14話 最強の盾と最強の剣
母親との濃厚ハグを楽しんでいると、クラークとヴィヴィアンがやってきた。
ヴィヴィアンは
姉よ、手加減してくれないと肋骨が刺さって死んじゃう。まだ五歳児の薄い胸で抱きしめられると痛いのよね。
まぁ事情は母親から聞いたから、ここは我慢のしどころだな。
オレはヴィヴィアンの頭をポンポン叩きながら言った。
「ヴィー・おーべん・きゅぉ・は・おわた・の?」
ヴィヴィアンはオレの顔をジッと見ながら言った。
「終わったわよ」
なんかふてくされてるけど、知らんがな……。
「ヴィヴィアンが全然勉強に集中できなくて…、もう今日は止めにしたんだ。ボクもだけどね………。」
クラークがポツリとつぶやいた
「二人とも、キチンと決められたことはやらなくてはダメでしょう。アランのことが心配なのはわかっているけれど、だからといって自分たちのお勉強をしないのは違うわよ。明日はちゃんとしなくちゃね。わかったわね」
「「はーい」」
不満げに返事をしたが、ヴィヴィアンはオレを離してくれない。そろそろマジで痛くなってきたんだけど。どうしようかなー、そうだ!、アレだ、アレだなと思いついたオレはヴィヴィアンに言ってみた。
「ヴィー・ひきゃり・の・まほー・みしぇて・ね・きにょう・ぴゅー・て・ぴゅー・て・やっちゃの・みしぇてー」
ヴィヴィアンはオレの顔をジッと見ながら頷いた。
「いいよ、見せてあげる」
ヴィヴィアンが
「ヴィヴィアン、こちらにおいでなさい」
オードリーはヴィヴィアンからオレを受け取ると、ベランダの窓を大きく開けた。
「お部屋の中でやると何かを壊してしまうかもしれないから、ここから外に向かってやってみなさい」
オードリーの隣に立ったヴィヴィアンは言った。
「アラン、よく見ていてね」
クラークも母親の横に立って興味津々でヴィヴィアンを見つめた。
「創造神様の奇跡の
昨日リチャードにもらった魔法書で覚えたのであろう呪文を
キレイな光の矢が空に向かって飛んでいった。
「しゅごー・ヴィー・しゅごー・きりぇー・だぁにぇ・きりぇー」
オレはパチパチと手を叩いて喜んで見せた。これで少しは機嫌が良くなってくれるかな。
オードリーとクラークも拍手をして「「すごい!、すごい!」」と褒めたので、得意げにムフーッと息を荒くしたヴィヴィアンだが、やはりまだ気は晴れないようで「でも、私が光の矢を使えてもアランはここには居れないじゃない……」とポツリとつぶやいた。
オレはヴィヴィアンに言ってみた。
「ヴィー・ぼーく・けっきゃい・まほー・ぎゃんばりゅぃよ (頑張るよ)」
「ヴィー・にょ・ひきゃり・まほー・しゃいきゅよー・にょ・きぇん・しゃいきゅよーにょきぇん (ヴィーの光魔法最強の剣最強の剣)」
「ぼーく・の・けっきゃい・ぎゃ・しゃいきゅよー・にょ・てぃぁてぇ (ぼくの結界が最強の盾)」
「ふちゃり・しゃいきゅよー・にょ・きぇん・ちょ・てぃぁてぇ (二人最強の剣と盾)」
「いいにぇ!。いいにぇー!!」
オードリーはオレの頭を撫でながら微笑んだ。
「そうね、ヴィヴィアンが光魔法をしっかり練習して『最強の剣』を使えるようになって、アランが『最強の盾』を使えるようになればいいわね、あなたたち二人がいてくれれば私に怖いものはなくなるわ」
うーん、ちょっとその発言は深読みするとこの国を乗っ取れと言っているように受け取れるけど、まぁそういう意図ではないだろう。
クラークがオードリーを見上げて言った。
「お母様、私も火魔法の練習を頑張ります!」
「そうね、クラークはお父様と同じように、コーバン侯爵一族の男子が継承する火魔法を頑張らないと、他の者にしめしがつかないわ。新しい兄弟も産まれてくるんだから、一番上のお兄ちゃんとしてしっかりしなきゃね」
クラークは顔を少し赤くして胸を張った。
「はい、一番上の兄として恥ずかしくないように頑張ります」
オレはそれを聞いてちょっとイヤな気分になった。クラークがこの家の長男に生まれたのは事実だが、それはそれとして、過度の期待は重荷になって、クラークが押しつぶされるかもしれないし、どの程度まで火魔法が使えるようになるかは神様にきいてみないとわからんのじゃないか?。まぁ魔力を増やして呪文をたくさん覚えていくしかないが……、そこらへんは
しかし『お兄ちゃんだから……、お姉ちゃんだから……』って言うのは母親が使う最強の呪いだな。自然に刷り込まれた呪いの言葉にクラークもヴィヴィアンもしばりつけられて
オレは密かに兄姉が気楽に生きれる方法を
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