第2話 オカルトオタク

 魔法のある世界に転生した赤ん坊の一日は、お腹が空いて泣く→OPPAI飲んでゲップして→寝る→オムツが濡れて泣く→交代で面倒を見てくれているメイドたちの誰かがサッと近づいてきて『生活魔法:クリーン』でナニとタマ○ンまわり(菊の門含むw)を爽やかにキレイにする→清潔な肌着やオムツに替えてもらう→寝る→お腹が空いて泣く……のネバーエ○ディングス○ーリーで、泣いてOPPAI飲んで出して泣いて寝てのお気楽な毎日のはずなのだが、オレは眠たいのを我慢して魔法の練習をしなきゃならないのだ。


 身体を触られるのは大キライだから、肌着やオムツを替えられるたびにあちこちイジられて、イライラして「ホギャーグギャー」と泣き叫ぶのはやめられないが、世話してくれるメイドたちも仕事だからと割り切ってクソまみれのオムツを替えてくれているのはわかってる。


 精神的にはもう赤ん坊じゃないしw。


〚割り切ったオトナの関係〛ってやつですかね……女性との(男性ともw)交際経験の無いオレには縁のない話だけど。



 とにかく、このイライラした気持ちで眠気を吹き飛ばして魔法の練習をすることにした。


 魔法とか魔力をどうやって練習するかをジックリと考えていたら、たしか四国の自動車整備工場にいた時によく組んで仕事をしていたオカルトオタクのおじさんが言っていたことを思い出した。


 昼休憩時にピンク色が眼に痛い粉石鹸で手と顔を洗い、油まみれのツナギを着たままで工場のすみっこでモソモソと三百五十円の宅配弁当を食べながらそのおじさんが熱く語るオカルト話をよく聞かされていたものだ。


 おじさんは昔々とても流行った世界終末の予言に中学生の時にどハマリした。


 オカルト専門誌を読みあさったおじさんは、その予言が必ず当たると信じ込んで、その日が来るまでやりたいように生きると決めて、あちこちフラフラしたらしい。


 修行するんだぁーー!とか言って、日本でバイトで稼いだカネを握りしめてインドに行ってヨガの修行をしたけれど、身体が固くてツライから修行はサッサとやめて、持っていったカネが無くなるまで外国人旅行者がたまり場にしている安宿でハ○○をスパスパやって脳内トリップして、チープな覚醒者気分を楽しんでたらしい。


 そこで出会ったいろいろな国のオンナと一緒にキメてから、ヤルのがたまらなくてクセになるよと笑ってたけど、たしか世界的に性交渉で感染するウイルス性の病気が蔓延してたはずなのに、このおじさんは大丈夫だったんだ。シブトイなぁ…。


 それはさておき、そのおじさんが言ってたけど、人間の身体の中には『チャクラ』というパワースポットが七ヶ所あるんだとさ。


〚恥骨のあたり・ヘソの下・ヘソとみぞおちのあいだ・胸の真ん中・喉・ひたい・頭の真ん中〛にあるという七ヶ所のパワースポットは扉のイメージで、普通は閉じているんだけど修行を重ねて身体の中を『神秘のパワー』がめぐりはじめると、下から順番にその扉が開いていって、高い次元とつながって覚醒するんだってさ。


 すべての扉が開いた人は覚醒者なんだぞ!、世界を動かせる凄い人なんだ!!と力説していたけれど、興味が無いオレはフーンって感じで聞いてたから、おじさんの話をちゃんと覚えている自信はないが、魔法があるこの世界なら、その『チャクラ』とか『パワースポット』とか『神秘のパワー』とかってのが身体の中にあるのかもしれないなぁ。


『神秘のパワー』って魔力のことなのかな?。


 とりあえずは一番下の『チャクラ』を探すことから始めるか。


 恥骨のあたりを探ってみると、ションベンが出そうになる。だって赤ん坊なんだものw。


 なんか違うみたいなので、その上のヘソの下を探ってみると、んーっと、なんかモヤッとした違和感がかすかにあるな。


 そのままヘソの下からヘソの上を探ってみると、モヤッとした違和感が増してモヤモヤっとしてきた。


 キター!?と思ったけど、慌てず騒がずそのまま胸の真ん中→喉→ひたい→頭の真ん中まで探ってみた。


 ヘソの上下の『チャクラ』に比べると上の四ヶ所はサッパリした感じだけど、ひたいのあたりは身体の中にグイッグイッと沈み込むような感じがした。


 たしか第三の眼とかがあるのがココだよなぁ…。第六感とか霊感とか感じる場所だったっけ…?。


 そこを探るのは後にして、モヤモヤしたものがある感じがするヘソの上下をジックリと探ってみることにするか。


 オカルトオタクのおじさんが言ってた「扉のイメージ」を頭に浮かべて見たけど、なんか違う。


 モヤモヤっとしたワタアメのような感じなので、頭の中でワタアメを触ったり、揉んだり、軽く握ってみるイメージで探ってみた。


 モヤモヤっとしたワタアメみたいなやつが、ギュンギュン動いたり、大きくふくらんだりして楽しくなってきたので、手足をバタバタさせてたら、お約束の赤ん坊の電池切れタイムに突入。


 オレはいつの間にかスヤスヤと寝落ちしていましたとさw。


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