第654話 与太話と野球について

 先日の家庭内の危機は、相手が山崎の奥さんという事を説明して、平和裏に乗り切った。

 結衣が何かを言う前に、先手を打って言い訳をまくし立てたのが功を奏したのかもしれない。

 普段の行いにより、信頼を得ているというのも、その一因だろう。

 

 梅雨があけると、いよいよ夏が来る。

 シーズンも早いもので半分を超えた。

 あと少しでオールスターブレイクだ。

 今シーズンは外野手に転向したため、ファン投票で選ばれることは無いだろう。

 オールスター休みは何して過ごそう。

 温泉か、沖縄か、ネズミーリゾートか。ワクワク。

 

 だが中間発表を見て、驚いた。

 何と外野手部門の3位に入っているのだ。

 もし選ばれたらどうしよう。

 外野手としての守備は、まだ未熟であり、何とかこなしているというのが正直なところだ。

 錚々たる面子を差し置いて、外野手一年生の僕がオールスターに出るのは気が引ける。


 もっともバッティングでは今シーズンは開幕当初は不振に苦しんだものの、その後は調子を上げ、打率三割も目前まで持ってきた。

 やっぱり僕は凄い。我ながらそう思わざるを得ない。

 数字的には、ここまで73試合に出場して、275打数82安打の打率.298とリーグ4位に付けている。


 ホームランも早くも自己最多の9本に並び、打点も43。

 過去最高の打点が46だったから、こちらも自己最多を大幅に更新するペースである。

 今シーズンは打順が3番が多く、得点圏のチャンスにバッターボックスに入ることが多いため、数字も伸びている。


 もっとも盗塁はここまで18個とあまり伸びていない。

 というのも打順が1番だと、塁に出たら好きに走れたのが、3番だとそうはいかない。

 4番、5番には外国人選手のテイラー・デビットソン選手やブランドン選手が入ることが多いので、盗塁のアシストも期待できないし、二人ともどちらかというと早打ちなので、なかなか盗塁のチャンスが巡ってこない。

 2番打者のアシストが大きかったことを今になって実感している。

 

 僕は今シーズンオフの大リーグ挑戦のノルマとして、打率3割と盗塁王獲得を自分自身に課したが、盗塁は現在一位の川崎ライツの高野選手の31個と13個差であり、かなり厳しくなっている。

 今シーズンは期待されている役割が変更になったので、ノルマを打率3割、ホームラン15本、打点70、盗塁30個に変更したいと思うが、良いでしょうか?

 もし苦情がある方は、札幌ホワイトベアーズ球団事務所または青海啓輔の自宅までお寄せください。


 さて、今日からはホームでの岡山ハイパーズ三連戦、そして1日おいて同じくホームでの京阪ジャガーズ戦。

 つまり約1週間、自宅から通うことが可能である。

 シーズン中はあまりこういう時が無いし、真ん中の1日は基本的に休み(主力選手のみ)なので、床屋にでも行こうかと思っている。


 プロ野球選手には奇抜な髪型をしている人も多い。

 練習でも試合でも基本的に帽子やヘルメットを被っているので、茶髪にしようが金髪にしようが、ロン毛にしようが、スキンヘッドにしようがあまり目立たない。

 一般の会社の場合、金髪にして出社したら、執務室に入る前に別室に連れて行かれると聞く。

 そういう意味ではプロ野球選手は自由である。


 もっとも奇抜な髪型が許されるのは、成績を残している選手に限られる。

 そうでないと、首脳陣からもファンからも冷たい目で見られるのだ。


 さて最近、野球以外の話が多くなってしまっているので、たまには野球の話をしたいと思う。

 野球とは英語でベースボールと言い、コルクに糸を巻いて革で包んだボールを、バットという細い棒で打ち返すスポーツだ。

 その起源は古く…。

 え?、早く話を進めろ?

 はい、そうですよね。作者に言っておきます。

 

 最近、作者は僕が活躍すればするほど、ネタがなくなるとボヤいている。

 これっておかしな事ではないだろうか?

 毎試合、毎試合、真剣勝負をしているし、一つとして同じ試合はない。

 つまりレギュラーで出ていれば、全試合、何らかの見せ場はあるものであり、それこそ豊富にネタがあるものではないだろうか?


 最近は、山崎の奥さんの話で3話、結衣の話では何と6話も使いやがった。

 僕の活躍を余す所なく、描くように作者には厳重に抗議しておく。


 前述のように今日からは4位の岡山ハイパーズ戦であるが、2位の札幌ホワイトベアーズとはわずか1ゲーム差である。

 今シーズンは1位から4位まで熾烈な争いとなっており、日々順位が入れ替わっている。

 今日の試合は大事だ。

(大事でない試合なんてありませんね。語弊がありました…)

 

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