第8話:大成功、そして帰還
特殊部隊の突入から30分。
重装備の敵兵たちを沈黙のうちに排除し、彼らは最奥部の“封印階”たどり着いた。
天皇陛下が、背筋を伸ばし、静かに立っていた。
「……よう来てくれた、日本の護り人たちよ」
柳島達は、即座にひざまずき、右拳を左胸に当てて礼をとる。
「陛下、ただいまより脱出を行います! ご同行願います」
陛下は頷いた。
だが……
「もう一つ、頼みがある」
陛下の指が、奥の奥にある「封印階下層」を指した。
「そこに、我が皇族の血を引く者たちが……鎖に繋がれ、未だ光を知らぬ」
一瞬、柳島は動きを止めた。
この場からの離脱は秒単位で危険だ。
最低限、“陛下”さえ救えば作戦は成功だと思ったが……
隊長は背後を見た。
部下たちは、誰一人言葉を発さず、ただ頷いた。
「……了解致しました! 全員、階下突入準備! 生きてこの海から“すべての皇族方”を連れ出す」
封印階・下層
コールドスリープに似た冷却区画。
透明な強化ガラスの中、眠るように横たわる十数名の人影。
「確認、皇太后様、皇族継承候補者、旧宮家筋数名、全員生命反応確認!」
「外殻シールド破壊まであと12秒!」
「急げ! 敵兵、階上に集結しつつある!!」
バァァン!!
重爆音と共に装置が開かれ、冷気が霧のように漂う。
中からゆっくりと目を開けた女性が、呟く。
「……この世は、まだ……終わっていなかったのですね……」
「はい、皇后陛下! 帰還の時です。陛下が、お待ちです」
――脱出――
柳島部隊は、陛下と皇族たちを中央コンパートメントに保護し、待機していた小型艇へ誘導。
その間にも、要塞は騒然としていた。
警報が鳴り響き、全セクターの敵兵が制圧のために動き出している。
が……
「全員乗艦! 離脱準備!」
「脱出ルート確保! 伊400、迎撃支援用砲撃ライン、確保済み!」
小型艇が浮上し、爆音と共に管制エリアを突破する。
直後、深海に閃光が走った。
伊400の必殺兵器“武御雷神の矛”の砲撃開始!
続いて、上方から――
「雪風! 全弾発射で援護する!!」
海が爆ぜ、要塞が揺れると共に“武御雷神の矛”の連続攻撃により木っ端みじんに破壊されていく。
その混乱の中、特殊部隊と護送艇は伊400へと滑り込んだ。
伊400司令塔
柳島を始めとする日下達は、濡れた装備のまま、床に膝をついた。
彼らの前に立つ、“天皇陛下と、皇族たち”。
陛下は、静かに、深く頭を垂れた。
「よくぞ……ここまで……。そなたらこそ、真の護り人である」
その瞬間、艦内にいたすべての者が、心からの敬礼を捧げた。
富嶽艦長も、遠く雪風の艦橋から通信を通して成功を知る。
「日下艦長、おめでとうございます! この瞬間こそが、日本がまだ死んでいないと証明する、歴史の転換点です」
日下艦長は、静かに頷いた。
「まだだ……! ここから、我々の日本を“取り戻す”戦いが始まる」
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