第10話 運命の選択

ケイに淡い恋心を告白し、サラは自分の心が少し軽くなったのを感じた。しかし、彼女の未来にはまだ多くの不確定な要素があった。サラは自分の道を見つけるため、音楽の世界に深く踏み込む決意を固めるが、その過程で新たな試練に直面することになる。


サラは学校の授業が終わると、いつものようにカフェ「午後の光」に向かった。ケイはすでにギターを抱えており、彼女が到着するのを待っていた。サラはケイの顔を見るだけで、心が温かくなるのを感じた。


「サラ、今日は君に特別なことを提案したいんだ」とケイが切り出した。


「特別なこと?」サラは興味津々に尋ねた。


「音楽学校で開催されるオープンマイクイベントがあるんだ。君の歌声をもっと多くの人に聴いてもらうチャンスだと思う」とケイは微笑んだ。


サラは驚きと興奮で胸が高鳴った。「本当に私が出てもいいの?」


「もちろんだよ、サラ。君ならきっと素晴らしいパフォーマンスができるはずだ」とケイは優しく励ました。


その日の夜、サラは自分の部屋でオープンマイクイベントのことを考えていた。彼女の心には期待と不安が入り混じっていた。これまで自分の歌声を人前で披露する機会は少なかったが、ケイの言葉が彼女に勇気を与えてくれた。


「私は挑戦してみよう」とサラは心の中で決意した。


翌日、サラは学校でアカリにオープンマイクイベントの話をした。アカリは大いに喜び、「サラ、絶対に見に行くからね!君ならきっと素晴らしいステージを見せてくれるよ」と励ましてくれた。


オープンマイクイベントの日がやってきた。サラは音楽学校のステージに立つ準備をしていた。緊張で手が震えていたが、ケイとアカリの応援が彼女の心を支えていた。


ステージのスポットライトがサラを照らし、彼女は深呼吸をしてからマイクの前に立った。観客の静けさの中、彼女の心には一つの思いが溢れていた。それは、自分の歌声を通じて人々の心に触れたいという願いだった。


サラはケイのギターに合わせて歌い始めた。彼女の声は、まるで秋の風が木々を揺らすように、優しくも力強く響いた。


「心の奥に眠る

小さな光を信じて

未来を照らすその光

あなたと共に見つけたい」


彼女の歌声は観客の心に深く染み渡り、会場は静まり返った。サラは自分の中で感じた不安や迷いが、歌によって解き放たれるのを感じた。


歌い終わった後、観客からは温かい拍手が沸き起こった。サラは涙を浮かべながら、深く頭を下げた。ケイとアカリの笑顔が、彼女の心にさらに強い勇気を与えてくれた。


ステージを降りた後、ケイはサラに「本当に素晴らしいパフォーマンスだったよ。君の歌声がみんなの心に響いた」と褒めた。アカリも「サラ、本当に感動したよ!」と抱きしめてくれた。


サラはその言葉に胸がいっぱいになり、「ありがとう、二人とも。あなたたちの応援がなければ、ここまで来ることはできなかった」と感謝の気持ちを伝えた。


その夜、サラは自分の部屋で未来について考えた。彼女の心には、新たな希望と確信が芽生えていた。音楽を通じて人々の心に触れることが、自分の道だと確信したのだ。


「私はこれからも歌い続ける。自分の声を信じて、もっと多くの人に届けるんだ」とサラは心に誓った。


こうして、サラの物語は新たな章へと進んでいく。午後0時の魔法が、彼女に新たな強さと希望をもたらし続けることを信じながら。


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シンデレラの午後 @minatomachi @minatomachi

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