第47話 さあ、私のロイヤルリア充学園ライフが始まるわ!
クラスカースト。それは学生ライフを左右する絶対的な指標。部活のエース、その彼女、クラスのお調子者。そういった地位を誇示し優位に立つ。しかしオリクトの住む世界にはそんなもので地位を築けない。
ならばどうすれば良いか。それは前世でもあった称号の一つ。実家だ。
家が金持ち、親が著名人。そんな子は有利だ。そして今の世界は貴族社会。家の爵位が直結しているのだ。
そしてオリクトはどうか? 彼女は
「おはようございます皆さん」
朝、教室に入った第一声。満面のプリンセススマイルを振りまく。最大級の顔面筋肉痛になりそうな笑顔。それに応える下々。令嬢達の黄色い歓声、令息の見惚れる様。正に学園のアイドルと言っても差し支えない。
「おはようございます殿下」
「ああ、オリクト様。今日もお美しい」
皆の声にオリクトの心臓は高鳴る。
(ふっふっふっ。今日も完璧ね。うーん、これぞリア充生活! お姫様パワーも合わさって、ロイヤルリア充ライフってね)
第二の人生。お姫様生活の満喫。可愛くてスタイル抜群な友人、頼もしいイケメンの護衛、仔犬のような愛らしい恋人兼婚約者。
完璧な勝ち組人生。彼女を阻害する者は…………一人だけいた。
「おはようオリクト。今日も君は美しいな」
「……おはようございますカルノタス殿下」
引き攣った笑顔で応える。オリクト一番の頭痛の種、カルノタス・オーラムだ
世の女性を魅了するような甘い笑みと声色。それを証明するように令嬢達から一層大きな黄色い声が響く。
この寵愛が自分に向けられている。それはとても……嫌だった。
「相変わらずそっけないな。それと……おはよう
「おはようございます殿下。ではお席へどうぞ。オリクト様の隣はフリーシア様ですので」
「ふふふ。この俺に意見するとは。相変わらずだな。っと、そうだ」
何かを思い出したように指を鳴らす。
「オリクト。今日のランチだが一緒にどうだ? ああ、残念ながら二人きりではないよ」
一瞬で嫌そうな顔をするも、カルノタスは苦笑しながら嗜める。二人きりではない。その事に少しだけホッとする。
「学園に通っているオーラムの公爵家の者と顔合わせをしたくてな。ほら、俺の側近。ドロマエオとも正式に挨拶していないだろ」
「そういえばそうですね。確か宰相閣下の御子息だとか」
カルノタスの側近であるドロマエオ。眼鏡にチャラい雰囲気の男だと記憶している。何度かカルノタスの後にくっついていたのは覚えているが、きちんと会話した事は無かった。
「そうだ。それと公爵令嬢と俺の従姉妹も留学している。今後、双国の
国交に関わる。そう言われては頭ごなしに断る訳にはいかない。
カルノタスの言い分ももっともだ。それに下心も感じられない。
「そういった理由なら喜んで。勿論、こちらも公爵家の者を同席させても? ああ、勿論私の
「歓迎しよう。ブラーク姉弟も来てくれるかな?」
フリーシアとノルマンは一瞬だけ目配せをし頷く。阿吽の呼吸。双子ならではの無言の意思疎通だ。
「殿下となら是非とも」
「喜んで、ご一緒させていただきますわ」
表向きは笑顔で答えるも、内心冷や汗ものだ。何かしらトラブルに巻き込まれると第六感が囁いている。が、カルノタスの言い分も正しいし、オリクトを一人にする訳にもいかないのだ。
「さてドルドン。お前も歓迎しよう。クド族の事はドロマエオも気になっていてな」
「……それは光栄ですね」
ため息混じりに一礼。じっとカルノタスを睨む目には敵意がこもっている。断り難い。はっきり言って外堀通りを埋めにきたのかと邪推してしまう。
これ以上は話すのは億劫だ。周りの野次馬の視線も痛い。他人の恋路なんて恰好の玩具。それも王族絡みとなれば尚更だ。
ドルドンをこんな玩具にさせてしまった。それが申し訳なく胸に刺さる。
「では殿下、ランチの時間にお会いしましょう」
席に行け。そう促そうとするもカルノタスは動かない。
「ふふふ。俺はいつも令嬢の話しをせずあしらっていたが。自分がされる側になるとはな。相変わらず面白い女だ」
面白い。その言葉にオリクトの顔が変貌する。
ドルドンは知っている。オリクトが怒った時の顔、姉であるシルビラと同じ顔。眉根を寄せた般若面だ。
オリクトは面白い女と呼ばれるのを毛嫌いしている。前世の女性向けロマンスストーリーにはよくある面白い女呼び。これが珍獣扱いされているようで嫌いだった。
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