第9話 

日曜日はいつも優花の家に入り浸る美羽だったが・・・

〚ひなゆう〛に優花が問い詰められていると知った以上、

あまり行くことも出来ない状態。

LINEでやり取りするくらいしか無くなり、美羽は苦痛にだった。


秋も深まりを見せている。


優花の姉、彩花からLINEが来ていた。

【駅の改札で待ってるよ!】


いつものお嬢様スタイルで出ていくと。

大人かわいい彩花が待っていた。


「彩花さん、お待たせしました」

「やっぱお嬢さまね、可愛いね美羽ちゃん」


ショッピングモールを歩いている。


屋上庭園へ上がる。

「何か飲む?」


彩花が飲み物を買いに行った。


「少し疲れたね、座ろっか」

木製のベンチに座る。


彩花がすぐ横にぴったりと身体を寄せてくる。

だけど、それが嫌味にならないほど、自然な形で美羽は気付かなかった。


「美羽ちゃん」

「はい?あっ・・・う・・・・・ん・・・・・・あやかさ・・・ん」

美羽の美しい唇に、自分の唇を重ねる彩花。


「こういうのはキラい?」

「え・・・あ・・・・・・いや・・・・・えーっと」

「ふふふ」


冬も近いのに

ホットパンツにニーハイブーツ、ジャージの彩花に、

今日はセーラー服に濃紺のセーターを着た美羽。


美羽と肩を組み、身体を密着させている彩花


「彩花さん?」

「ん?なぁに?」

「・・・・あったかい・・・・」


冬の屋外ベンチなのに、不思議と寒さを感じなかった。

しだいに彩花へ身体をもたれ掛からせる美羽。


ぱっと見なら男女カップルのようだが。



彩花は金髪のショートボブだから、なおさらそう見えるのかもしれない。

だんだん彩花の大人としての魅力に溺れそうになる。



空が黒みがかった青から濃紺に変化するころ

「そろそろ帰ろう美羽」

「はい彩花さん」



「帰ったよ、優花いる?」

「っす、美羽はどうだった?」

「可愛いね、あの子。頂きそうになったけどな」

「なにそれ、どういうこと・・・まぁ姉貴のことだから、解らんでもないが」


「じゃあ、今度は私の番だな」

「なら、3人で行こうか」

「ああ、いいね」



彩花に "襲われた” 美羽だが、意外と嫌な感情は無かった。

むしろ新鮮なものとしてとらえていた。


(彩花さん・・・)


友だちの姉でしかない彼女。

だけど・・・


それ以上の存在に感じていた。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「GLって知ってる?」

「ガールズラブってやつだよね。何か羨ましいというか、あこがれちゃうな」

「美羽さまは、ご存知でしたか?」

(彩花さんとのことか・・・知ってると言っていいのかなぁ)

「残念ながら私、存じ上げませんでしたわ」

「女性同士の恋愛というものです」

「それはありかもしれません。愛情は友情と同じものと思いますから」

「さすがは美羽さま」




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


12月に入り、クリスマスの装飾が街を彩るころ。


「きれいね」

「ホントきれいだね」


優花と美羽。

正真正銘のギャルと、偽ギャルが腕を組んで歩いている。


いつものショッピングモールもクリスマス一色。


「今日は私がプレゼントしたいんだけど」

「ウチに?」

「そう、ねぇおそろいの何かにしたいな。リングも、ネックレスも色違いであるし、

 ピアス?」

「いいんじゃね?」


いつものアクセサリーショップで、あれやこれやと選んでいる二人。


「これ可愛くね?」

「いいね、じゃあこれにしよ!」


つけなれている優花は自分で「洗面所行ってくる」と。

美羽は、ショップ店員にやってもらっていた。


「カワイイ・・・」



「いいね、これ」

「だな」


そして再び、腕を組んで歩きだす優花と美羽


「そろそろ出ようか?」

「もう帰るの?」

「い・・や、そういうわけではないけど」




優花は今日絶対しておきたいと思っていることがあった。



第9話 完






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る