第7話 

いよいよ夏休み

「ねぇ優花」

「なに?」

「夏休みはどう過ごすの?」

と、いつものように優花の家でファッションチェックに余念がない美羽。


ソファに寝そべり、気だるそうに答えを返す優花。


「そうだなぁ、海へでも行きたいな」

「海か。ねぇ!いっしょに行こうよ」

「いいけど、ギャル仲間といっしょ。それでよければ。って言うかバレね?」

「そうかなぁ、変装していくからさ、バレないように」

「うーん、まぁいっか!」



駅で待ち合わせ

「お!優花、お待たせ。この子誰?」

優花と一緒に待っていたのは、変装した美羽だ。

ホワイトのキャップ、白いTシャツにホットパンツ。黒いサンダルのヒールは高い。

黒いグラサンで顔はさらしていない。

「あ、ああ、えーっとウチの親戚だよ、みほちゃん」

「みほで~~~す、ヨロ~~~~」



海の家

「さて着替えるかね」

優花もギャル仲間も、みんなビキニ。そのうちの一人玲実はマイクロビキニ。

(うわっ!あの子ほとんど裸じゃない!)


その前の週にビキニを買いに行った美羽

水着自体を持っていなかったし、海へ行くとなれば買っておかないと・・・


「どれがいい?」

「こんなのどう?」

「こっちがいいな」

「あーそれ、いいんじゃね」


美羽が選んだのは、ピンクのバンドゥビキニ。



「あらぁ、これまたカワイイ、水着ね」と玲実


ビキニ姿の美羽は、恥ずかしそうにしていたが、次第に大胆になっていく。


ギャル仲間といっしょに海に入りはしゃいでいるけど、サングラスは外さない。

「少し休みたい」

大きめなビーチパラソルの下で、肌を焼かないように、日焼け止めをしっかり塗っている。対策はバッチリだ・・・


だが


仲間の一人が、「美羽さまじゃね?」

ドキッとする美羽「え、あ、ああ」

「んなわけないよな、あの美羽さまがウチらみたいなギャルと一緒なわけねーし」

ホッとする美羽

「でもマジで美羽さまに似てるよな」

「そ、っそう?」


「なぁ優花さぁ、あの子美羽さまだよな?」

「えっ?そう?違うよ」

「でもあんなに似ている子は、そういないと思うんだけど」


(ヤバい?バレてる?わたし・・・もうバラしちゃおう!)


「うん、私、二宮美羽だよ」

「やっぱ、そうじゃん!なんでまた?」

「まぁそれは後で話すよ」


吹っ切れた美羽は、また海に入り泳いだり、ギャル仲間と戯れている。


パラソルの下で仲間と楽し気に遊んでいる美羽をみて優花は思っていた。

(これでいいんじゃね?隠さなくても)



「そろそろ帰ろうか?」


シャワーを浴びて着替え。

帰りの電車に乗る。


近所の駅で降り、近くのファミレスで。


「美羽さま、どうしてウチらといっしょにいるのさ」

仲間の玲実が聞く。

優花に話していたことをすべて話す美羽。

「あーなるほどねぇ。お嬢様にはお嬢様の悩みが有るってことか」

「そう、私お嬢様じゃないんだよね、そう思われているだけでさ」

「いいじゃん!またウチらと遊ぼうよ」

「いいの?」

「いいに決まってんじゃんよ、ねえ優花」

「まぁ美羽もみんなも、それでいいのなら」

「じゃあ、決まり!また来週も海行こう!」


でもその前に。

「美羽のことは学校では内緒な。頼むよ」

「解った解った!美羽さまは別格だしな。安心していいよ。

 ウチら、アホでバカだけど、そういうところはしっかりしてるからさ」

「ありがとう」



優花の家で着替える美羽。

「あれでよかった?」

「いいと思うよ、美羽がそうしたんだし」

「まぁね」


「じゃあ!」

「また明日」


吹っ切れた美羽はさらに大胆な行動に出るのだった。



第7話 完








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