第18話 魔眼



神とは、人族が創り上げた偶像である。

そしてその神と対をなす存在が


魔神だ。これもまた魔族が創り上げた

偶像だった。











賢次

【ノア!?おい!!!ノア!!!

なんだよこれ。。。最後の試練って....】


【たかとしさん!?どこですか!?

なんでノアがこんなことに!!】


そこに、たかとしの姿はもうなかった。


【俺が....俺がノアを....殺した.....?】


【うそ.....だろ.......うっ...うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ】


ノアの身体が消滅する。

刹那、一粒の光が賢次の身体へと入る


《ありがとう》


..........

......

....


賢次

【もう死んでもいいや。俺は独りだ。

目的もない。ノアのいない世界なんて

滅んでしまえばいいのに】


ドクンッ


ドクンッ


賢次の脳内に知らない記憶が

流れ込む


【なん....だっ....これ....】





それは、人族から虐げられてきた

魔族の始祖の記憶だった。


その昔、世界が平和だった頃

人族と魔族は共存していた。

人族は知恵を、魔族は力を、互いに

不足している部分を補い合い

助け合い暮らしていたのだった。


たがその平和は長く続かなかった。

魔族は代々短命で人族の1/3程度しか

生きられなかった。


人族は魔族の力を欲しがったのだ。

魔族の女を捕らえ子を孕ませ

出産が終われば殺す。


魔族はいつしか人族との子を産ませるだけの

為だけの道具となっていた。

人族と魔族の間に生まれた子は

人族の知恵と魔族の力を持っていた。

人族はそれを保有し、管理下に置くことで

世界を支配するようになった。


次第に魔族は人族の奴隷となっていた。

魔族の男は生まれてる子が男だと殺された。

そうして魔族は人族の支配下に置かれ

酷い扱いを長きに渡り受け続けたのだ。


そんな魔族は当然のように人族を怨んだ。

やがてその怨念が






魔神を生み出したのだ






..........

.......

...


賢次

【ひどい。酷すぎる。この島の人間もそうだ。

人間はいつだって自分たちに不都合なことは

揉み消し迫害して追い込むんだな。】



【俺、わかったよ。俺が魔族を助けたら

いいんだ。この記憶もきっとそうだ。

俺に助けを求めてるんだな。】



《魔神 ザナと共鳴しますか?》



【あぁ。】


..........

........

....


賢次

【いたいた】


たかとし

【《もう最後の試練は終わったのかい?》】


賢次

【終わりました。ありがとうございました】


たかとし

【《それよりその気配、なんだい?

破壊の神ムルスの気配がしないよ?》】


凛墓

【ククク.......クックックっ】


【僕はね。神なんて下位互換の器じゃ

無かったみたい。妹が教えてくれたんだ。

僕は........魔神ザナ】


たかとし

【《お、おまえええええええええええ》】


賢次

【魔哭】


たかとし

【《やめろおおおおおああああああああああ》】


たかとしが消滅した。


賢次

【ノア....おまえは一体なんなんだ....

なぜあんなところに...この記憶は.....】



.........

......

..


魔神ザナ

《人って騙しやすくていいなぁ》



賢次

【ザナ?何か言ったか?】


ザナ

【なにも。行こう。我らが魔族の地へ】


《天移》


※天移は座標ごとに移動する転移とは

違い別世界へと移動できる魔法のこと



..........

......

....


魔族領 深域 89層 王の間


賢次

【これが魔族たちが。。。

いきなり統一しろと言われても

俺は人間だぞ?】


ザナ

《そうだ。魔族は力こそ正義だからな。

力で示すしかないぞ?なに。簡単だよ

私の力があるだろう》


《それに忘れたのか?人間たちが魔族を

苦しめてきたことを。お前と私で

人間に復讐するんだ。》


賢次

【わかったよ....】


この時、賢次はザナに洗脳されていた。

人間は魔族を迫害してなどいなかった。

賢次が真実を知るのはまだ先のこと。


賢次

【《魔眼》】


賢次の眼が赤く光る。

刹那、おぞましい程の覇気が

賢次の眼から解き放たれた。


総勢278万の魔族が一斉に跪く。


賢次

【俺がこの国を治めよう。

憎き人族をこの世界から消すまでは。】



オオオォォォォォォォォオオオオ


人種族による魔族領統一。

この知らせは世界中へと届いた。


...........

.......

....


魔神ザナ

《さて、賢次。次だ。

これからこの世界へ転生してくる者がいる。

その中に武闘王がいる。転生前に始末しろ》


《気力。あれは唯一◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎に届く》



賢次

【天移】


..........

.......

....



魔神ザナ

《賢次、代われ》


ズゥン




凛墓

【極気術 羅殺】


ズンッ


ピチャッ


ピチャッ


みぃの身体に風穴があく


みぃ

【ゴハッ........】


凛墓

【ルールに守られた格闘技しか知らない

君にしてはよくやったよ。じゃあね】


スゥゥウ


賢次

【終わったか?】


ザナ

《やられた。◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎め。転生された》


賢次

【天移】


............

........

....


3ヶ月後


賢次

【だいぶこっちの世界にも慣れたな。

魔剣も5本手に入った。ザナ、あと1つは?】


ザナ

【王立魔法学院。そこに最後の魔剣アクタの

所有者が居るみたいだ。】


賢次

【魔法学院?この世界の人間は魔法を使うのに

学校へ通わなきゃいけないのか?】


ザナ

【あぁ。まぁそう言うな。6本の魔剣が

揃えば.....だが賢次気を付けろ。

目立たないようにしろ。魔法学院の奴らは

一筋縄ではいかん。】


賢次

【皆殺しにしちゃダメなのか?】


ザナ

【今のお前じゃ多分無理だよ。】


賢次は少し苛立ちを覚えた。





賢次


(騙されてやってんのになぁこいつ..)




..........

.......

....


神の食卓



ぶ、ぶひぃー

も、もうたべれないよぉむにゃむにゃ


孝一郎

【はっ!?太りすぎた!?】


【ん?どこだここは.....】


赤城孝一郎は辺りを見渡した。

そこは見渡す限りの雲。

それ以外何も無かった。


【そうだ。僕確か....天龍さんのとこで

殺されて...そのまま...いきてる...?】


???

《おい》


孝一郎

【だれ!?】


???

《だれ。。。勝手に人の敷地へ

入っておいて失礼な奴だな》


孝一郎

【ち、違うんです!!僕は殺されて、、

それで目が覚めたらここに、、、】


???

《ふむ。わけアリのようだな。

俺は錬金術の神 プロルトだ。》


孝一郎

【僕は赤城孝一郎です!!料理人です!!】


プロルト

《アッハッハハハ それはおもしろい。

周りをよく見てみろ》


言われた通りに辺りを見渡す孝一郎


そこには6人の【誰か】がいた。が

顔が暗くてよく見えなかった。


プロルト

《ここは神の食卓。天界にある。

お前がなぜここに来たのかは知らんが

我ら神は年に2回ここで集まって食事を

しておる。どうだ。振舞ってみないか?》


孝一郎

【か、かみさま!?そんな突然

言われても無理ですよ、、、、】


ゾクッ


寒気がした。


プロルト

《やるか、死ぬか選べ。》


孝一郎

【や、やります.....でも食材も道具も...】


プロルト

《ヒントをやろう。イメージするんだよ頭で。

お前はもう資格は持ってる》


孝一郎

【そ、そりゃ調理師免許はありますよww】


ゾクッ


死にたくない孝一郎は集中した。



イメージ......イメージ.......


ん?.......これは.....ぴざ.....?


孝一郎はピザ生地を具現化した


プロルト

《ほう。できるではないか。

して、それはなんだ?》


孝一郎

【黙っててください!!!!】


プロルト

《なっ!!》


ズゥゥゥゥゥウン


孝一郎がとてつもない圧力を放つ


プロルト

《こいつ.....》


孝一郎

【集中.........集中.......】


《錬成魔法 神の調理具》


ピザ生地が眩い光に包まれる



《神のマルゲリータが完成した》


孝一郎

【はぁ...はぁ.....できた.....】


【食べてください】


神々が孝一郎のピザを口へと運ぶ









プロルト

《まずい。》





孝一郎

【へ?】




プロルト

《落ちろ》





孝一郎の足元の雲が消える









孝一郎

【えっはっ、!?あっええっああ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ】


天界から地上までの落下時間はおよそ12分


5分を過ぎた頃

孝一郎は落ち着いていた。


【うーん?確実に死ぬよなぁこれ。

でもさっきの力が使えれば...】


【錬成魔法 パラシュート!!!!】


【でねぇwww】


【これからどうするか。。。

とりあえず何か食べよう】


【あ、ピザ生地残ってたww

粉っぽいなぁゴホッゴホッ】



落下まであと1分



【あぁ....一回死んでからまた死ぬまで

早すぎるだろww】




???

【ハク!】




それは一瞬の出来事だった。

白銀に輝く体毛、鋭い牙

幻獣種白虎 又の名を神獣 ハク


孝一郎

【うお!?】


白虎は孝一郎を咥え地上へと降りた


孝一郎

【助かったああああああ】


【どなたが存じ上げませんが

ありがとうございました!!】


???

【危ないところでしたね。助かってよかった】


孝一郎

【本当にありがとうございました!

僕は赤城孝一郎です!貴方は??】


???

【ふふ。名乗るほどでもありませんよ。

またご縁があればどこかで。】


そう言って???は去っていった。





孝一郎

【かっこいい人だったなぁ....ん?

王立魔法学院厨房アルバイト募集?】


【お金もないしとりあえず行ってみるか!!】


こうして孝一郎は王立魔法学院の

厨房アルバイトを目指して旅をした。


本人は気付いて居なかったが

目に見えないほどの薄さの鎧を

自動で錬成していた。


落ちても恐らく無傷だっただろう。












白虎

【なぜ名乗らなかったんですか ハオ様】


ハオ

【彼とはまたいずれ会うからね。

今はまだいいんだよ。それよりハク

急ごう。死の匂いがする】




18話 完


-------------------------


次回19話 不滅の冠

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る