第8話 8th 凛墓 賢次


支那羽島殺戮事件


人口700人ほどの離島 支那羽島(しなばじま)

で起きた大量殺戮事件は島民700人のうち

698人が死亡、2名が行方不明となった


と、されている。



凛墓 賢次は支那羽島で生まれた。


その島は自然豊かな島で作物はよく

育ち、綺麗な海では魚もよく獲れた。


そんな島で育った賢次は明るく元気で

心優しい少年だった。優しい賢次は

困っている島民を見つけると直ぐに助けた。

賢次は外でよく遊んでいたため日焼けした

茶色い髪にキリッとした眉毛で

整った顔立ちをしていた。


賢次には双子の妹がいた。

名を乃蒼(ノア)という。


ノアは賢次とは真逆の性格をしていた。

暗く内気で人と話すのが苦手で

いつも賢次の背に隠れていた。

ノアはあまり外に出ないせいか、真っ黒で

長い髪の毛、目は前髪で隠れており

島民は誰もノアの素顔を知らなかった。


賢次とノアは幼い頃に両親を海で

亡くしこの島へ流れ着いた。


島民も災難だったね。と2人を迎えいれて

くれた。


そんな2人は11歳になった。

どんどん島に馴染んでいく

賢次とどんどん島民と距離が離れていくノア


島民はそんな内気なノアを次第に

気味悪がっていった。


ノアを大事にしていた賢次は島民に

気味悪がるのはやめてほしいと訴えかけた。

島民は髪を切って明るく振る舞うように

してほしいと賢次に伝えた。

賢次は少し時間をもらうと伝えた。



数日後、島民の1人が遺体で発見された。

遺体は首から上が無く、身体には無数の

切り傷があった。


その遺体の第一発見者はノアだった。

ノアは島民へ一生懸命説明した。


ノア

【あ、あのっ、あ、あっちに、ああ】


島民

【な、なに?ちゃんと喋ってよ】


ノア

【あのっ!!あ、あっちに!!

ひと、がっあっ、たおれ、てて】


島民

【なんだって!?】


遺体の元へと駆けつける島民


島民

【きゃああああああああああああ】


島民の叫び声に人が集まってくる。


島民

【呪いだ。呪いだ!!!!!!!

この子がやったんだ。】


【そうに違いない!!】


【大体いつも顔は見えないし声も出さないし】


【何考えてるかわからないんだよ】


【この島からでていけ!!!】


【呪いの子だ!!!!】


島民の1人がノアを突き飛ばす


ノア

【うぅ、、、】



賢次

【ノア!!!!大丈夫か!?】


ノア

【けんちゃん、、痛い、、、うぅ、、】


賢次

【ノアになんてことするんだ!!!】


島民

【その子が、人を殺したのよ!!!!】


賢次

【そんなわけないだろ!!!

ノアは女の子だぞ!?そんなこと

できるはずない!!!】


島民

【元々気味が悪かったのよ!!!!

もうその子はこの島から出して!!

3日あげるわ!】


賢次

【そんな、、俺たちまだ11歳ですよ!

どうやって生きていけって言うんですか】


島民

【俺たち?賢次は残ればいいじゃない。

その妹だけ出ていって頂戴。

もし3日を過ぎれば島民全員で岬から

投げ飛ばすから。】


賢次

【あんまりだ。。。】


ノア

【けんちゃん、私なら大丈夫だから。

私なんとかしてここを出るから】


賢次

【ごめんなノア。俺が絶対なんとかするから

だから家で少し待っててくれ】


ノアは黙って頷いた。



.........

.....

..


ノア

【けんちゃん遅いなぁ......】


【もう暗くなっちゃった。大丈夫かな

ちょっと様子見に行こうかな......

でも怖いし、どうしよう。うぅ】


ガラガラガラ ドサッ


ノア

【けんちゃん??帰ったの?】


・・・


【けん...ちゃん.....?】


賢次

【ノ...ア....うっ....ダメだ。逃げろ】


ノア

【え!その傷どうしたの!!】


賢次

【説得しようとして、、、ダメだった、、

ごめんな、、、アイツら、本気で、、、

ノアを追い出す気だ、、俺ももう、、、】


賢次は全身の骨を骨折していた。

パンパンに膨れ上がった顔、無数のアザ

動けるような状態ではなかった。


ノア

【......せない.........許せない..........】


賢次

【........ノア.....?】


ノア

【けんちゃん。ありがとう。ごめんね。

ずっと一緒がよかったけどお別れだね。

私の分まで幸せに生きてね。】


賢次

【ど、どういうことだ?ノア?】


そこにはもうノアの姿はなかった。

そこで賢次の意識は途絶えた。


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翌朝、賢次が目を覚ますとそこに

ノアはいなかった。


賢次

【ノア!?ってぇ、、探しに行かないと】


【ノアーーー!どこだー?ノアー?】


おかしい。人の気配を感じない。

いつもなら島民が農作業をしている

時間にも関わらずだ。

どの店のシャッターも閉まっている


賢次は悪寒がした。


【誰もいない。。。どこに行ったんだ】


賢次は山の麓にある支那羽神社へ向かった

石段を登ろうとしたとき、視線感じ

振り返ったが誰もいなかった。


【うっ、、何だこの臭い】


異臭がした。と、同時に嫌な予感がした。


急いで石段を上がる。


神社の鳥居を潜る


賢次

【なっ、、、おぇっ、、、うあああああ】


そこには島民の死体が山のように

積み上げられていた。


【うっ、、、なんだこれ、、、、誰が、、】





ノア

【けんちゃん。起きたんだね。】


賢次

【ノア?なにしてるんだ、、、】


ノア

【この人たちでしょ?けんちゃんのこと

虐めたの。この世界にそんな人要らないよ】


賢次

【そ、そうだけど、、人を殺すのは

だめだろ、、でもどうやって、、、】


ノア

【けんちゃんも私を否定するんだ。

けんちゃんのために頑張ったのに

褒めてくれないんだね】


賢次

【い、いや、褒めるっておまえ、、】


ノア

【もういいよ。私行かなきゃ

さよならけんちゃん。】


賢次

【行かなきゃってどこに?】


ノア

【◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎】


それは賢次には聞き覚えのない言語だった


ノア

【楽しかったよ。生きてね、けんちゃん】


ノアが泣いているように見えた


次の瞬間、ノアの身体が光に包まれる

そして姿を消した。


賢次

【ノア、、、なんなんだよ、、、、

俺、1人でどうすればいいんだ、、、】


ガサッ


賢次

【誰だ!?】


???

【君が賢次君か。はじめまして

僕はたかとし。】


賢次

【たかとし?この島の人間じゃないだろ。

お前なんて見たことないぞ!】


たかとし

【よくわかったね。まだ11歳だって?

すごい記憶力だ。少し話せるかい?】


賢次

【・・・】


たかとし

【そう警戒しないでほしい。

僕は敵じゃないよ】


【君にとっても大事な話し。

ノアちゃんのことも。】


賢次

【わかった。話しを聞きたい】


賢次はたかとしから色んな話しを聞いた。


ノアが内気で家から出なかったのは

島民に脅されていたからということ。

賢次が遊びに出ている間、ノアはずっと

島民に殴られ身体中アザだらけだったこと。

ノアはそんな素振りも見せず兄に迷惑を

かけないようにと黙っていたこと。


賢次とノア、両親が海で亡くなったのは

島民の仕業だということ。

支那羽島は地図に乗っておらず、若い迷い人を

受け入れるフリをし育った頃に殺し、神への生贄

として祭壇に捧げるしきたりがあるということ。


賢次は怒りを覚えたが、既にノアが

島民を全員殺したため、やり場のない

怒りに戸惑っていた。


たかとし

【ノアちゃんに会いたいかい?】


賢次

【会いたい。会って謝りたい。】



たかとし

【でもその道は大変な道だよ。

真実を知る覚悟が君にはあるのかな】


賢次

【あるよ。もう、迷わない。

俺がノアを正しい方へ導かなきゃ。】


たかとし

【わかった。ところでどうやって698人もの

島民を11歳の女の子が殺せたのか

気にならない?】


賢次

【そうだ。すっかりノアのことで頭が

いっぱいだった。普通に考えておかしい】


たかとし

【ノアちゃんはね、特別な力を持ってる。

でもまだ今の君には言えない。

そしてノアちゃんはこことは別の世界にいる

会うためには君もノアちゃんみたいに

強くならないといけないんだ。どうする?】


賢次

【俺を強くしてくれ。ノアに会うためなら

なんだってする。】


ニヤッ


たかとしが不敵な笑みを浮かべる


たかとし

【わかった。時間がないから早速。

服を脱いで目を瞑ってて。】


賢次は言われた通りにする


たかとし

【七神が1人 破壊の神 ムルス

賢次の器へ】


空が割れ、イカヅチが賢次へと降り注ぐ


賢次

【があああああああああああああああ

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

痛い痛い苦しい苦しい苦しい苦しい】


【はぁ.....はぁ...........】


たかとし

【よく耐えたね。合わなかったらほんとは

死ぬんだけど、君は成功してよかった】


賢次

【な、なにをしたんだ....はぁ.....はぁ...】


たかとし

【君の器に七神の精神を入れた

力の使い方は体が覚えてるよ

でも力に身体が耐えられないだろうから

少し鍛えようか。】


その後、賢次は10年間もの間、ひたすら

肉体と精神を鍛え続けた。


21歳になった賢次は人間としては

完璧なまでの肉体を手に入れていた。


たかとし

【今日までよく頑張ったね。

今日が最後の修行だよ。】


賢次

【たかとし先生。ありがとうございました。

最後の修行はなにをするんでしょうか?

こんな島の奥まで来て、、ん、?祭壇?】


ニヤッ


たかとし

【神殺し】


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


祭壇が割れ、人が現れる。

顔はお面をつけており見えない。


賢次

【誰です?あれは。】


たかとし

【この島最後の生き残り 神とされるもの

島民が生贄を捧げていた神ですよ。

アレを殺しなさい。それが最後の修行】


賢次

【分かりました。多分一瞬で終わりますよ】


【・・・】


刹那、賢次の身体が消える


神の眼前へと賢次が瞬間移動する


賢次

【破壊魔法 刃魔】


賢次の手に1本の魔剣が出現する


ザシュッ


魔剣が神の身体を貫く


【ゴフッ.........】


魔剣を賢次が引き抜く


賢次

【たかとし先生。終わりましたよ。

あれ?たかとし先生?】


そこにたかとしの姿はなかった。


神は息絶え、横たわる。


賢次

【先生どこいったんだ?っと、どんな顔

してんだろ。】


そっとお面を取る賢次



【え?】




























【ノア?】









第8話 完


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次回 第9話 9th 赤城 孝一郎

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