第7話 7th 覇王


東京都

とあるビルの屋上


覇王(はお)

【ここは星がよく見える】



.........

......

....


西のレオン 東のハオ


日本のホスト界を牛耳る2人がいた。

同世代にその2人がいることが奇跡

活気のなかったホスト業界が

息を吹き返した。


身長188cm 鍛え上げられた肉体

小さな顔に漆黒の髪

その美しいルックスは

すれ違う多くの人々を魅了した。


ハオは裕福な家庭で生まれ育った。

幼い頃より英才教育を受け、常に両親の

求める100%の成果を出した。


常にトップでいることが当たり前の

世界で生きてきたハオは敗北を知らなかった。

8ヶ国語を話し、陸上、水泳、テニス等々

どの種目に置いてもトップをとった。


高校3年生になったハオは退屈していた。


ライバルがいない


本来、学生と言えば学力やスポーツにおいて

ライバルと切磋琢磨し経験を積み

成長していくものだがハオにライバルはいなかった。


ハオは特殊な能力を持っていた。

脳が異常に発達しており、その場で

全ての最適解を瞬時に判断することができた。


また、記憶力がとてつもなく高く

他の人とは脳の容量が違った。


ライバルのいなかったハオは、この先も

つまらない人生を歩むんだろうな、と。

そう思って生きていた。


ある日、コンビニである雑誌がハオの

目に止まった。


【帝王 神楽 麗】


当時のホスト業界を牽引する

トッププレイヤーだ。


ハオ

【すごい。引き込まれる】


ハオは麗の写真を見ただけで気持ちが

引き込まれた。


【なんだろう。この感覚。

この人に会いたい】


誰かに興味を抱いたのは初めてだった。

高校を卒業し大学に進学したハオは

20歳になり、時間も余裕ができたため

神楽麗に会うため大阪へと向かった。


ハオ

【えっと、北新地?だっけ。

どうやって行こうかな。というか

アポ無しで会えるんだろうか】


誰かとすれ違った


キィィィィィィィィィン


耳鳴りがする


ハオ

【うっ.....ってぇ..なんだよ】


???

【いてぇ....なんだ】


振り返る2人 目が合う


ハオは感じとった。こいつは同種だ。

自分と同じだと。


???

【えっと、すみません。

なんか耳鳴りしました?笑】


ハオ

【あ、やっぱりそうですよね?笑

僕も耳鳴りしました。笑】


???

【不思議な感覚ですね。

俺はレオン。貴方は?】


ハオ

【僕はハオっていいます。

東京から大阪に遊びに来てる大学生です!】


レオン

【ハオくんですね。

俺はここでホストやってます!】


ハオ

【ホストですか!実は神楽麗さんって

人に会いたくて大阪に来たんです】


レオン

【麗さんなら、うちの店のトップですが

よかったら紹介しましょうか?】


ハオ

【え、いいんですか!?あ、あと

ハオで大丈夫ですよ。歳は20歳です】


レオン

【あ、じゃあハオで!同い年だね!

俺もレオンでいいよ!】


この2人の出会いは運命だった。

後に時代を牽引する2人になるとは

知る由もなかった。


.............

......

..


ガチャ


レオン

【麗さん!なんか麗さんに会いたいって

人が来てます!】


ハオ

【は、はじめまして!ハオっていいます

雑誌で麗さんのことみかけて、こう、

なんて言ったらいいかわかんないんですけど

すごく引き込まれて、、、会いたいなって】


【こんにちはハオ。俺は麗。宜しく】


手を差し出す麗


すかさず握手を返すハオ


キィィィィィィィィィン


ハオ

【うっ、、、】


【どうしたの?ハオ。大丈夫?】


ハオ

【す、すみません、大丈夫です】


(なんだったんだ、、、)


【君、ホストやってみる?楽しいよ

あと顔に敗北を知りたいって書いてる

今まで全部上手くいって人生に退屈。

そんなところかな?】


ハオ

【そんなことまでわかるんですか!!】


【俺、ホストだから】


ニッコリ微笑む麗にハオも緊張が和らぐ


ハオ

【かっこいい....あっ、ちが、、、

心の声が、すみません】


【いいよいいよ。正直なのはいい事だ。

レオンに色々教えてもらいな。

こいつは逸材だよ。君に勝てるかな】


ハオ

【がんばります!!!!

レオンさん、宜しくお願いします!】


レオン

【だからレオンでいいって。笑

俺上下関係嫌いなの。気楽きやろう】


ハオ

【わかった。ありがとう!!宜しく!】


........

......

...


それからハオは親の元を離れ大学を

中退、ホストの世界へと飛び込んだ。


同い年のレオンの快進撃は凄まじく

数ヵ月後には麗を抜きトップに立っていた。


それを機に、麗はプレイヤーを引退

もう教えることはない。と業界を去った


そしてハオはNo.2にまで登りつめていた。


ハオ

【かー、また今月もレオンに負けた】


レオン

【ばーか。100年はえーんだよ笑】


ハオ

【いいよなぁ。レオンは

俺より早くに麗さんに出会ってさ

俺ももっと早く会いたかったなぁ】


レオン

【運も実力のうちだから!】


ハオ

【来月こそは負けないからな!!!】


..

.


同種は合わない


二人の関係に亀裂が入るのも早かった



トップに君臨するレオン

敗北を知らなかったハオは初めて

自分が勝てないのではないかと

負の感情を抱いた。

そこから壊れるのは早かった。

【嫉妬】

初めて抱く感情に耐性がなく

イライラはつのる一方だった。


そして遂にハオは店を出ることにした。


レオンにはすまない。と

一言告げ東京へ帰った。


............

.......

...


その後もレオンは大阪で名を挙げ

西のレオンと呼ばれるようになった


ハオも東京 歌舞伎町で名を挙げ

東のハオと呼ばれるようになった


ハオ

【レオン。ついに僕も君に並んだよ】


【トップに立って、あの時の君の気持ちが

わかった。僕は幼稚だった。

こんなにも沢山のものを背負ってたんだ。

ナンバーワンで在り続けることは自己満

じゃなくて、皆のためなんだね。】


【今度、ちゃんと謝りに行くよ。あの時のこと】


ハオはレオンに会いに行こうと決めた矢先



レオンが死んだ


ハオは理解が追いつかなかった


【レオンが、死、、?えっ?】


訳が分からなかった。


死因は自宅マンションからの

飛び降りだった。


最愛の人を、家族を殺されたことが

原因で自殺をしたとのことだった。





ハオはビルの屋上にいた


ハオ

【ここは星がよく見える】


【僕の退屈だった人生に、君が現れた。

刺激的な毎日で初めて敗北を知ったよ。

でもまた元の日常に戻ってしまった。】


【星は街じゃ輝かないんだよ】


【もう、僕に敗北を教えてくれる人は

いないんだね。いっその事....僕も.....】



???

【死ぬの?】


ハオ

【だれ!?】


???

【私はノア。貴方に興味があって。】


ハオ

【ノアちゃんね。こんなとこに来たら

危ないよ。僕はもう生きる勇気がない】


ノア

【レオンに会わせてあげようか】


ハオ

【? なにをわけのわからないこと。

レオンは死んだんだよ。】


ノア

【死んだけど別の世界で生きてるよ。

会いたいなら別の世界に行けばいい。

お代はもらうけどね】


ハオ

【そんなことがほんとうにできるなら

是非やってくれ。店の後輩も育ってるし

僕はもう未練なんてないんだ。】


ノア

【ふうん。じゃあ一つだけ。

七神(シチガミ)の1人として戦える?

貴方にはその素質がある】


ハオ

【戦う?なんのことかわからないが

願いを叶えてくれるならなんだってするよ】


ノア

【じゃあ契約完了だね。早速行こう。

ほら、空を見てて】


ハオ

【空?】


突如、空に魔法陣が現れ

七人の影のようなものが浮かぶ


ハオ

【な、なんだこれ】


ノア

【そのうちわかるよ。少し待ってて】


【七神が1人 ■■■の神 フォーナよ

ハオと1つとなれ】


七人の影の1人がハオの身体へと入る


ハオ

【なんだ?異常はないようだが、、、】


ノア

【よかった。適合したみたいだね。

あとは時の示すままに。じゃあね】


【転生】




その日 ハオの存在がその世界から消えた。



ノア

【彼、これから耐えられるかしら。

器は大きいもの。大丈夫よね。

まぁ死んだら新しい人探せばいっか】


【あと7人かぁ

辛いなぁ。みんな....元気かなぁ】



第7話 完


--------------


次回 8話 凛墓 賢次

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