第6話 6th 万鹿


万鹿(ばんび)


(ふ、ふぁー あーよく寝た)


(ん?身体が重い。てか、ここどこ?)


【う、あうああ、ううあ】


(!?)


(言葉が出ない!!どういうこと!?)


自分の手を見つめるばんび


(え!?ちっさ 私赤ちゃんになってる!?)


【チッ またうるせぇのが起きたか

お前泣いたらぶん殴るからな

静かにしとけよ!!!】


万鹿

【うう、ああうあいああ】

(な、なんなのよこいつ、、、)


(とにかく状況を把握しなきゃ。

口ぶりからするにこいつは危険ね

今は大人しくしておきましょう)


(ていうか、ここどこよ!!!

エルクリア大森林に居たはずよ私!!)





万鹿はエルフの王女として別世界にある

エルクリア大森林をおさめていた。

エルクリア大森林には世界樹があり

その世界樹を護る民としてエルフ族は存在した。


遡ること数刻前


エルクリア大森林にて


万鹿

【今、世界樹の樹液を求めて魔族が進行

しているわ。しかも第1部隊。

どうやったって勝ち目はない、、、

どうすればいいの、、、】


世界樹の樹液は万能薬としてどんな傷も

癒すとされており多くの種族が求めたが

世界のバランスが崩れるため、エルフが

管理し必要な時にのみ女王の承諾を得て

配布される伝説の秘薬だった。


その秘薬を求め、様々な種族がこの

エルクリア大森林へとやってくるが

簡単には手に入らない。


人種族と魔族の争いは長きに渡り続いており

均衡を崩すべく魔族は秘薬を求めた。

当然、エルフは魔族に加担するわけもなく

門前払いだったがついに、魔王の命で

エルクリア大森林へと侵略するのだった


エルフの王

【万鹿。ここはもうもたないだろう。

民と共に逃げよ。】


万鹿

【お父様。いけません。私もこの地を治める

女王として魔族を迎え撃ちます!!】


エルフの王

【戦力差がわからぬお前でもないだろう。

お前の精霊魔法は強力だがあの数が

相手では無駄死にするだけだ】


万鹿

【くっ、、、ではどうすれば、、、】


エルフの王

【七王(しちおう)の話しは覚えているか?】


万鹿

【はい。伝説の勇者として活躍し魔族から

国を守りきった七人の英雄ですよね。】


エルフの王

【そうだ。そして我が地を守って下さったのが

暗殺王 クルル様だ。】


万鹿

【暗殺王!?そんな、物騒な、、、】


エルフの王

【これ。失礼なことを言うでない。

まぁ暗殺と聞くとそう感じるのも

仕方がないかも知れぬが

クルル様は悪しか殺さんかったそうだ。】


万鹿

【そうなの?】


エルフの王

【あぁ。暗殺家業を生業としていたが

困っている人を助け、瞬時に悪を滅する。

そして暗殺した形跡すらも残さない

まさに伝説の暗殺者だったそうだ】


万鹿

【す、すごい。それで、その話しが

なにか関係あるの?】


エルフの王

【その暗殺王の末裔が別の世界にいると

言われている。万鹿はその人を連れて

きてほしい。】


万鹿

【別の世界!?でもどうやって!?

そんな時間ないよ!!魔族が来ちゃう!】


エルフの王

【大丈夫だ。私に秘策がある。少しの時間は

稼げるはずだ。さぁ、時間が無い。

お前なら大丈夫だ。また会おう。】


..........

......

..



万鹿

(思い出した!!暗殺王よ!!私は

暗殺王を連れ帰るためにこの世界に

来たんだ!!でもここどこだろう....)


(とりあえず大人しく状況把握だね。)


.......

...

..


ふーん


何となく分かってきたわね。


私には2つ上の兄、倍丸がいる


父親は無職でずっと家にいる


なにかわからないけど飲み物?

エールのようなものかしら?

それを飲むと気持ちが昂り暴力を振るう


母親は働き詰めといっているが外で

別の男の人と会ってるのね。


兄は面倒見もよくて妹思いの優しい子ね。



ん?



ふむ。心の中にナニカいるわね。


すんごい殺気。私を挑発してるし

こっちの気配に気付いてるんだ

すごいなこの子


《おい。お前》


!? 念話できるの!?


《聞こえていたら返事をしろ》


聞こえてるわ。なにかしら。


《目的はなんだ?正直に言え。嘘はわかる》


えらく高圧的じゃない?第一

得体の知らない貴方に話すとでも?


《俺は暗殺王クルル。

わけあってこいつの中にいる》


なっ!?クルルってあの!?


《どのクルルか知らんが暗殺王は俺だけだ》


そして万鹿は事情を説明した。


《なるほどな。状況はわかった。お前が

今のエルフの女王なのだな。となると

時間が無いな。だが倍丸はまだ小さい

覚醒していないんだよ》


いえ、そんなこと言ってる時間は、、、


《今はまだ詳しく言えないが向こう世界と

こちらの世界では時間軸が違う。

だから急がなくても大丈夫だ。

倍丸を覚醒させてからそっちへ飛ばす》


わかったわ。じゃあ今後は念話で

話しましょう。これからのことを




そして月日が流れた。


万鹿

【そう。もうそれしかないのね。】


《あぁ。覚醒は本来成人したときに

起こる現象だ。それを無理やり引き起こすと

なると手荒な方法しかない。》


【私は恨まれてもいいわ。倍丸が

こっちの世界へ来たら殺されてもいい。】


《覚悟は本物だな。じゃあそれで進めよう》








【精神操作魔法】



【ん、なんだ、、これ、は、、、、】


万鹿

【私を殺したことにして倍丸の殺意を

引き出しなさい】


【はい。畏まりました。】


.........

.....

..


そしてあの事件へと繋がる




万鹿

(おにぃちゃんは?)



《今は疲れてぐっすり寝てるよ

殺意を引き出してくれたこと、礼を言う。》


(貸しは返してもらうからね)


《あぁ。必ずそちらの世界で力になろう》


(ありがとう。私は先に戻るはね。)


《わかった。これから倍丸を鍛える。

まだ数年かかるがそちらの世界では

数刻程だろう。ではまた。》


(ありがとう。 【転移魔法】)


.........

.....

..


万鹿

【やっと元の身体に戻れた】


【なんか今回の転移長いわね。】


【来る時は一瞬だったのに】


【ずっと白く包まれた転移空間の中ね】


???

【こんにちは】


万鹿

【なっ、あなた誰?なんで転移空間に

別の人間が干渉できるの!?】


ノア

【私はノア。貴方が万鹿さんね。】


万鹿

【なんで知ってるの!?】


ノア

【私はなんでも知ってるよ。ふふ。

七王の末裔を探してるんだってね】


万鹿

【そんなことまで。。。貴方目的はなに?】


ノア

【私は 七神が1人 セリアの末裔


目的は言えないけど、七王の末裔が


揃うと困るのよ。倍丸は殺す】


万鹿

【なっ、やめなさい!!

今エルフの国が大変なのよ!?】


ノア

【そう。なくなったらまた創ればいいよ

じゃあね。さよなら】


ノアは姿を消した


万鹿

【くっ、、、なんなのよ

あいつ。感じたことの無い魔力だった】


【戻ったらお父様に報告しなきゃ。

おにぃちゃんならきっと大丈夫なはず】


........

......

..


万鹿

【やっとつい......え?】


エルクリア大森林は焼け野原だった


15万にも及ぶ魔族の大群が森を襲う


【間に合わなかった。。。】


【うぅ、、、なん、、、でっ、、、】


【うう、ううあああああああああああ】


【召喚魔法 精霊王 光宙】





第6話 完


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第7話 7th 覇王

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