第2話 2nd 天龍


-東京都新宿区-


新宿は渋谷や池袋とならび東京を

代表する人気の繁華街だ。


そんな中、ひっそりと地元民に愛される

町中華がある。【中華飯店 赤城】


店主の赤城孝一郎が作る町中華は

多くの人から愛されていた。


赤城

【いらっしゃい!!!お!!

天龍さん!カウンターどうぞ!!!!】


カウンターへ案内されたのは

裏社会の番人【天龍 源次郎】だ。


天龍

【今日も相変わらず繁盛してんな】


赤城

【おかげさまで(笑) なにします?】


天龍

【せやなぁ、ほなレバニラにしよか!】


赤城

【はいよぉ!!!天津飯通りましたァ!】


天龍

【ちゃうて。まぁええか。】


プルルルルルル


天龍

【はいはい。あ?なんやワレェ

また返済日守らへんのかい。ええ加減に

せんといてこますぞ】


赤城

【天龍さん、店で大声出しちゃ困りますよ】


天龍

【チッ、またかけ直すわ。すぐ出ぇよぉ!!】


赤城

【お待たせしました!中華そばです】


天龍

【おう!さんきゅう!!

頂きます】


ズルズルズル


天龍

【うまい。赤城さんの作る中華そば

最高やで。ごちそうさん】


バン!勢いよく1000円を置いて

店を後にする天龍


赤城

【1300円なんですけどねぇ.....】


..........

......

....

..


天龍

【いやぁ、よぉさん食うたわ。

仕事頑張ろけぇ。あ!!!!!

俺頼んだのレバニラやで!!!

しかも天津飯言うてたのに出てきたの

中華そばやないかい。まぁええわ】


ガチャ


天龍

【戻ったでぇ。】


天龍さんお帰りなさい!!!

従業員たちが挨拶する。





天龍 源次郎は闇の住人だった。


幼い頃、貧しい家庭で育った天龍。

兄弟が5人おり両親は幼い頃に離婚

父親によるDVが原因だったため

母親ひとりが5人を育てた。


当然、普通に働き女手一つで5人を養える

わけもなく母親は日勤、夜勤を繰り返し

睡眠時間は毎日2~3時間程度。

身体が壊れるのは時間の問題だった。


天龍が中学校に上がった頃、母親が

病気で倒れた。長男だった天龍は熱中

していた部活動も辞めお金の稼がなければ

と決意するのだった。


母親の病院に通い母親を励ましながら

弟たちの面倒をみてはお金の稼ぎ方を

必死で模索していた。ただ中学生が

お金を稼げるわけもなく途方にくれていた。


いつものように母親の病院へと足を運ぶ


天龍

【かぁちゃん。心配せんと今はゆっくり

休んでなぁ。俺がなんとかするから】


【ごめんなぁ。かぁちゃんが身体弱いせいで

あんたにはほんま苦労かけてなぁ

ほんま、ごめんなぁ】


心まで弱りきった母親はいつも涙を流して

謝っていた


天龍

【大丈夫やって。すぐ良くなるから

こっちは心配せんとき!!】


いつものように励まし、自宅へと帰る。

帰ると4男が傷だらけで泣いていた。


天龍

【なっ、どないした?なにがあったんや?】


4男

【うぅ、、、グスン】


他の兄弟たちが事情を説明する。


次男

【こいつがお前ん家貧乏やぁ!ゆうて

いじめられてるねん。。。俺も助けな

あかんおもてんけど、相手に高校生も

おっておれ、逃げてしもて、、、グスン】


天龍

【俺にまかしとき。そいつどこにおるねん】


次男

【三丁目の公園にいるとおもう....】


........

....

..


天龍

【お前か!?俺ん弟しばいたやつは】


高校生

【だったらなんやねん?小遣いもっとった

からちょっともろただけやろがい!!!

なんや、ガキが俺に喧嘩売っとんけ?】


天龍

【そうか。もうええわ。】


天龍は高校生をボコボコにした。

高校生は両足を骨折し、顔はパンパンに腫れ

血を流し地面に横たわる。


天龍

【年の差あるからて舐めんなや。ペッ

金返してもらうで。】


財布からお金を抜きとる天龍。


天龍

【そうか。金持ってるやつしばいってたら

なんとかなるやん。俺は家族の為に必要な

ことするだけや。】


この日、1人の怪物が生まれた。

腕っ節の強い天龍はその後も近隣の不良を

ボコボコにし生活費を稼いでいった。


その日もいつものようにカツアゲをし

自宅へ帰る途中


天龍

【なんや、やけに消防車多いな今日

どっかで火事でもあったんか?】


天龍

【なっ、、、俺の家が!!!!!】


天龍の自宅は放火により、全焼していた。

消防車が5台消化に入るも遅かった。


天龍

【おい!!おまえら!!どこや!!!!】


弟たちへ必死に声をかける天龍。

もちろん反応はない。


天龍

【なんでや!!!!誰がこんなこと

したんや!!!おい!!でてこい!!

だれやああああああああああ】


ザクッ


天龍

【え】


腰が熱い。さするとヌメっとした

液体が手につく。


天龍

【刺されたんか。俺。。。】

天龍は気を失った。


意識が戻った頃、病院のベットにいた。


天龍

【痛っ、、俺何日寝てたんや。

刺されたから覚えてへん、、】


医者

【天龍さん。お目覚めになりましたか。

幸い命に別状はありませんでしたが

傷は深いので安静してて下さい。

それから、警察の方が事情聴取に

来ますので明日対応してください。

弟さんの件は残念でしたが、、、】


天龍

【先生ありがとうございます。すんません。】


天龍

【そういえば、かぁちゃんとおんなじ

病院やな、、、弟のこともあるし

話ししてこんと】


コンコン


天龍

【かぁちゃん?入るで】


ガラガラ


天龍

【かぁちゃん!!なにしとんねん!!!】


母親は窓から飛び降りようとしていた。

病室は8階。落ちたらひとたまりもない


【あんた無事やったんやな。】


天龍

【そんなんええからはよこっちきい!!】


【もうええねん。かぁちゃん辛いわ

お前だけは道を踏み外さんとおもてた

けど、かぁちゃんの育て方が

悪かったんやぁ。ごめんなぁほんま、、、

あとは好きに生きて。賢い子に

産んで上げれへんくてごめんなぁ】




サッ













ゴパァン




天龍

【あああああああああああああああああああ】


泣き崩れる天龍。

病室の床には不自然に箱が1つ置かれていた。


天龍

【うぅ、、、なんだよ、、、これ】


箱を空けると札束と手紙が入っていた。


手紙

《源次郎へ

お前が家族のために、悪いことしよったんは

知っとったよ。でも、かぁちゃんがこんな

状態やからなんも言えへん。弱いなぁ私。

なんかあった時のために、あんたらの将来の

ために貯めとったお金渡すから、あんただけ

でもなんとか生きてなぁ。


かぁちゃん弱いから耐えられへんかった。

言うか迷ったけど遅かれ早かれやから言うわ

あんたが悪いことした相手のうち1人が

放火したんやって。弟らは全員焼死したって

警察の人が教えてくれたわ。でもな復讐とか

絶対考えたらあかんから。これは覚えとき

やったら、やられるんや。ほな先に逝くわ。

愛してるよ、源次郎、最愛の息子。


かぁちゃんより》


パサッ


もう1枚紙が落ちる


《これはまだ序章だよ

お前は一生幸せになんて生きれない

大事なものができる度に全部奪うから


Aka*i》


天龍

【こいつか。こいつが全部やったんか。

でももう生きる気力ないわ】


天龍

【いや、かぁちゃんが大事なもん残して

くれて。弟たちのためにも生きてかな

あかんな。俺は一生俺を許されへんし

弟にも許して貰われへんけど。】


その後、天龍は施設へ入り高校を卒業し

闇の世界へと足を踏み入れる。

母親が残してくれた1000万円の資金を元に

裏取引、汚れ仕事、密売仕事を選ばず

なんでもこなした。23歳になる頃には

裏社会でもトップクラスの権力者へと

のし上がっていた。


----------------


天龍

【いやぁ、なんか懐かしいこと

思い出したなぁ。今の俺みたら

かぁちゃん泣くやろなぁ。でもな

集まった金はちゃんと寄付しとるでな。】


【そういえば、Aka*i?

町中華の赤城さんやったり?

そんなわけないか。あん人はええ人や】


パンッ パンッ ガチャ パンッ


赤城

【天龍さん、よく気づきましたね

でももう遅いんですわ。】


天龍

【ガハッ、、あ、あんたは、、、】


赤城

【3発もらってその出血量。さすがに

生きられませんわ。これでお別れですわ】


パンッ パンッ


天龍

【・・・】



ほんま、酷い人生やったで。

まぁ俺のしてきたことのツケが

まわってきたんやろなぁ。


かぁちゃんや弟たちと会いたいけど

間違いなく地獄やろなぁ

こんなことになるなら残った金全部

寄付でもしとくんやったなぁ


神様とかおったら、また違ったんかなぁ


《地獄の門を開門しますか?》



ん?なんやこれ。地獄の門?

どうせ地獄やしそれででええわ。開けてくれ


《転◆』◎▲■¶す》



第2話 完


----------------


次回 第3話 『3rd 巫女 花音』
















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