第13話 なぜかリルアと結婚することになっている。
「え、お、おい? 大丈夫か! ちょ、顔赤いし……熱っ! 熱出てきてるじゃないか」
倒れるラルカをそっと受け止めた。
え、なに、この流れ……まさか、またキス……とか言わないだろうな。まあ、言ったところでこんなちっこい人形サイズ、キスしたうちに入らないが……
心配している間にも、シュルルルルとどんどんラルカが小さくなっていく。
するとそばにいたリルアが慌て始めた。
「待って、ラルカ! そのサイズから小さくなったら、消えちゃう!! ……ええっと、ピコットのダイヤル……回して、っと、えいっ!」
急いでリルアはピコットのダイヤルを回してラルカに撃った。
するとラルカの身体はリルアの時のように人間のサイズにまで大きくなった。
けれど具合が悪そうなことには変わらなくて。
「よし! ……後はラルカ、リルア薬持ってるから、飲んで!!」
リルアは大きくなったラルカに小瓶に入った液体を飲ませた。
「はぁ、助かったわ、ありがとう、リルア」
「うんうん。よかった」
あっという間に回復したラルカに安堵しつつ、その光景を見ていた俺はあっけに取られてしまう。
「え……?? リルア、お前……、薬持ってたのか? だったらなんでリルアの時はそれ飲まなかったんだよ」
思わず聞いた俺の言葉にリルアは涼しい顔で答えた。
「え? クウガとちゅーしたかったから」
まさかの言葉に。
「え、それ、どういう意味……」
言いかけたところにラルカが割って入ってきた。
「え、なになに、リルア、この地球人とキスしたの!?」
「うん。……気持ちよくて、ついしすぎちゃった」
少し頬を赤らめながら答えるリルアに、『きゃー』と言いながらラルカは両頬を両手で押さえて驚いている。
ラルカのこの反応……宇宙人にとってもキスは特別なものということなのだろうか。
「そう、……それって、リルアのファーストキスよね」
「うん」
……ファーストキス? そんなの『キスは特別』どころか『キスの中でも特別』じゃないのか。
いや、キス自体の価値が低いとすれば、初めてというのもさほど価値がないこともありえる。
「えーリルアって、前に『結婚したいくらい好きな人とじゃないと、したくないー』とか言ってなかったっけ」
「うん。言ってた」
ラルカの言葉にやっぱり飄々と答えるリルア。
……え? つまりリルアは結婚したいくらい俺の事が好き??
いやいやまさか。今日知り合ってまだ数時間ほどしか経ってないのに。つまりリルアたちにとっては結婚というのもまた価値がないもの??
……一夫多妻ならぬ、一妻多夫みたいな??
「……そう、おめでとう。リルアもついに結婚かあ……式はどこでする? 銀河1122なんていいんじゃない? “いい夫婦” になれそうじゃない」
「そうだな。そうする」
黙って聞いていれば、あっという間に結婚式を挙げる話になっている。
「おいおい、何言ってんだよ」
たまらずさすがに俺も話に割って入った。
「え? クウガとリルアの結婚式は銀河1122でしようって話をしている」
「いや、そうじゃなくて! なんで俺とリルアが結婚式挙げることになってるんだよ」
「えー? リルアがクウガのこと好きだから。クウガはリルアのこと、きらいか?」
……好きとか嫌いの前に。俺とリルアはまだ出会ったばかりだろう。結婚なんてそんなの考えられるはずもない。
「俺の事好きだからって……いやいや、そんなの本気じゃないだろう?」
「クウガは本気じゃないのに結婚したいと思うと思うのか?」
「いや、思わないけど……」
「そういうことだ」
「……そうか」
なぜだろう。うまく話をまとめられてしまった。
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