第10話 俺、死す。そして生き返る。
なに、これ、リルアの唇、めちゃめちゃ、柔らかい……ただのキスとは思えないくらい気持ちいい……それになんか甘くていい匂いがする。けど、え、おい、長い、……長いな、なんか……頭がふわふわしてきたぞ。……あ、だめだ、俺の意識……飛び……そ……
「ぷはーっ!! リルア、ふっかーつ!!!! ……って、あれ?? クウガ?? きゃー!! ごめん!! 吸いすぎた!! クウガのエネルギー美味しすぎて、ついっ! 待って、死なないでっ返すからっっ!!」
薄れていく意識の中、元のサイズに戻って元気になったリルアの声がうっすらと聞こえる……
と、思ったら。あ、あれ? じいちゃんだ。川の向こうで死んだじいちゃんが俺を呼んでいるのが見える。俺は……死んだのか?
そう思った時。また唇に柔らかい感触がした。
——ちゅぅぅぅぅ———————————!!!!
「……はっ!! じいちゃん!! ……あれ??」
「よかったー!! クウガ戻ってきたあ!!」
目を覚ますと、俺はリルアに抱き締められて頬擦りされていた。
どうやら俺は、リルアのキスでエネルギーを大量に吸われて死の淵まで追いやられ、そして再びキスで少し返却され、死の淵から生き返ったらしい。
「え? ……ああ、びっくりした。川の向こうで死んだじいちゃんが俺のこと呼んでたから、俺、死んだのかと思った」
「やだやだ。クウガ死んじゃったらリルア誰にご飯もらったらいいの。ちゃんと生きて!」
「誰のせいで死にかけたと思ってんだよ……まぁ、リルアが復活したならよかったけど……」
「ふふふ、リルア復活して、クウガ嬉しい? リルアはクウガが復活して、嬉しいぞ?」
なぜリルアがドヤ顔をしているのか、俺には理解が出来ないと思いつつ。
「なぁ、リルア。蚊に刺されたくらいであんなに具合悪くなるなら、肌の露出控えたりしないの? ノースリーブにショートパンツってあまりにも刺してくださいと言ってるようなものじゃん……」
少し死後の世界を見た後でぼーっとしつつ、リルアに疑問を投げかけた。
「……だってそんな恰好したら暑いではないか! 暑さで溶けてしまう! 第一そんな恰好じゃ、かわいくないだろう!」
するとリルアは相変わらずの口調で返事をした。
「……かわいくないはまぁ置いといて、暑いって……宇宙人て暑さに弱いのか? いろいろ大変なんだな。……だったら、虫よけでも買いに行くか?」
そんなリルアに俺はそう提案した。それなら今の服装のままでもリルアが刺されずに済むかもしれない。
「ムシヨケ?? なんだそれは」
けれどリルアは“虫よけ” というものを知らない様子で、頭にハテナを浮かべたように首を傾げて聞いてきた。
「さっきのは蚊をやっつけるやつで、虫よけは蚊が寄って来ないようにするやつだ」
だから俺は簡単に説明をしたのだけど。
「なんだと!? チキューにはそんなものまであるのか!? リルア、ムシヨケとかいうやつが欲しい。クウガのポケットマネーで買ってくれ」
今度はそんな事を言ってきた。
「まぁ、いいけど……その前に。ちょっと腹ごしらえだけさせてくれ。せっかくコンビニ行ったのに食べないまま出かけたんじゃ、なんのために買いに行ったんだかわからなくなる」
さっき、俺は腹が減ったからリルアが寝ている隙にコンビニに行ったのに、結局まだ何も食べていないのでそう言ってみれば。
「ハラゴシラエ? クウガの腹は増殖できるのか?」
またまたリルアは首を傾げて聞いてきた。
「……違う。腹ごしらえは、腹をこしらえるって意味じゃなくて。……とにかく俺も腹減ったからめし食いたいって話」
なんで“こしらえる” なんて言葉を知ってるのに“腹ごしらえ” は知らないんだよと思いつつ説明してみれば。
「おお、そうか! よい、許可してやろう!」
またまたリルアにドヤ顔をされてしまった。
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ここまで読んでくださりありがとうございます。
リルア可愛いなーって思ってもらえてたらいいな。
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