第333話 日本一の臭いが漂う!

大河を出てまた大陸の端の海を通って走る俺達、船外機付きのボートに乗り換えている。


「今度の船は、広いけど遅いな?」

「これはボートって言うんだよ、それも動かすのに船外機と言って風も無くても動く物なんだよ!」

「ふーん、漕がなくても進むなけど、船も進歩しているんだな、時代は進んだ少し寝過ぎたようだ」

まあ本人の記憶は無く御伽噺の中で綴られた事だからな、エルフでも無理だろうね。


そしてプレスケーク王国の海沿いを快適に走り、日の暮れる頃に桟橋を見つけて上陸

オート三輪で近くの村に行く、今回は順調に着いた。


門番に挨拶して。

「すいません、さっき桟橋に着いたんですけど国境の検閲てあるんですか?」

「いやもう少し先の村だ、ウチは普通の漁村でまあのんびりしていけ」

そこで俺は情報収拾。


「此処って食堂や泊まれる所ありますか?」

「あゝ真ん中の集会所で、雑魚寝で泊まれる、飯はその奥の村長の家で食べられる。

ただ奥さんと娘さんの実験台だな」

何だ実験台って?


「あのー飯を出す所はやはりないんですね!」

そんな危ない所に行けるはずないよー。


「いやアソコは、村長の奥さんと娘さんが料理好きで新作を出すんだ!村民は一度はその洗礼に合う、まあ村長は早死にして、奥さんが今の村長になったからな、止める人がいないんだ。久しぶりの実験台が来たなら喜ぶだろう!」

俺とボタンはガッチリと肩を掴まれ、村長宅に連れて行かれる。


「村長旅の人だ、一晩お世話になりたいってさ!食事もよろしくだって」

そして扉が開き、女の人が出て来る。


「珍しい人族……もしかして日本人?」

そんな事を聞いて来る、目に隈のある獣人?狸人族。


「お母さん、日本人かも知れない人族よ!お母さん!」

娘が呼ぶと、また1人奥から出て来る。


「何を言っているの、此処に日本人が……居たわよ」

2人は驚いていたけど、俺は獣人に転生した人を見つけてしまったみたいだ。


「まあまあとりあえずお入り下さい、お茶の準備よ!」

「なら俺はまた門に行くからよろしく村長」

挨拶して門番さんは帰って行く、そして俺達は家の中に入れて貰う。


そして入った瞬間に、有る臭いが立ち込めている。

言ってはいけないあの言葉を言いそうになる。


「ボタン逃げるぞ!」

俺はボタンの手を引いて一目散で村から出て、すぐにオート三輪を出して村から離れる。


「どうかしたのか焦って出て来たけど?」

「あの臭いに気づかなかったの? 漂う香りなんだと思った?」

「あゝあの厠の臭いか、確かに漂っていたな、風で流せば良いだろうに」

それを言ってはダメだよ、作る方達は一生懸命なんだから。


地球で5本指に入る臭さ、日本なら1番か!


ともかく、あれはダメだよ特に日本人は鼻が敏感だからね!


※作者注※

正体はくさやの焼き物でした。焼くほどに臭いが増して漂う臭いはあれの匂いと間違われる物です。

焼く前でも10位以内に入ります。

まだまだ世界には上がいて、シュールストレミング缶詰よりはマシでしょう。

私は飲み屋で隣の人がお土産にもらった物の匂いを嗅ぎましたがその通りだと思ってます。

その隣の人はビニール袋二枚重ねでしたよ!








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