第226話 閑話(蕎麦屋で試食!)
そして暖簾を潜って調理場を説明する。
朝あげたカツも天ぷらも出来立て状態、そしてご飯も炊き立てですぐ食べられる状態。
「ええと包丁握って良いですか?」
何をするかと言うと、少し切って腐っているかの確認をしたい! なんせ此処は異世界だ、何が有るか分からない。
「許可するが、何をするんだ?」
「少し切って味見です、腐って無いかと思って!」
許可をもらって、トンカツを切り分けて、海老天も切ってみる。
そして匂いを嗅いで、一口摘んでみる。
(よし大丈夫だ、このままでは無くてもう一度冷蔵庫に入れて置こう、電気はどうなんだろう)
冷蔵庫を開けると、中の電気がつく、なら大丈夫ね。
そして後ろを見ると、4人が不思議そうな顔をしている。
「何か?」
「その食べ物は、食べられるのか?少し味見をしたい」
騎士団長が言って来るので、更に細かく分け、楊枝を差して上げる。
「こちらはトンカツ、ええとさっきの猪の仲間を揚げたものです、もう一つは、エビと言う海の物を揚げた物です」
説明すると、2人の兵士が先に味見をする。
「・・・」
「・・・」
「どうした2人とも、報告してくれ!」
騎士団長の言葉に2人は。
「美味い、何だこれは!」
「あゝ、海の物も臭みが全く無い、凄く美味しいです」
2人の言葉を聞いた殿下が、楊枝を取ろうとするけど、騎士団長が止める。
「何をしてます殿下、我々が先に毒味をして差し上げますから、お待ちください」
騎士団長が食べてまた、兵士が食べる、そして騎士団長も。
結局は殿下が食べる味見分は無くなった。
「貴様らそこに直れ、その口を斬ってやる」
食い物の恨みは怖いけど、此処で血を流さないでほしい、明日から此処でもし暮らすなら、血生臭い展開は勘弁してほしいけど。
「ならば、私が食事を作ります、あちらのテーブルで待っていてください」
「そちが料理を作ると?」
「こんな子供に出来ませんよ、それに作る道具が有りません」
そんな事を言われたので、仕方無しに調理用のテーブルの下の扉を開ける。
「此処に鍋もフライパンも入っています」
今度は食器棚を開ける。
「ほら皿も、丼もありますよね」
そして今度は、奥の扉を開けて、中を見せる。
「この中は倉庫です、奥の冷凍庫には海の物や、その他の冷凍してある物が入ってます」
ビールや焼酎の酒類もある、親父の大切なワインなども入っている。
「こちらの倉庫も、人影は無いですね」
残るは裏の勝手口、私は開けると、外の兵士とご対面。
騎士団長が、外に出て兵士に尋ねる。
「誰か出てきたか?」
「誰も出てきません、魔物も今の所は現れていません!」
「なら引き続き警戒しておけ」
そう言って、2人で中に戻って行く。
殿下は倉庫でなにかをして居る。
「殿下何をしてます?」
「あゝ、この酒を売ってもらおうと思ってな、どれを飲むか迷っている」
ならばと私は提案する。
「お食事とお酒を出しましょうか? 先程はお食事を出すと言いましたけど、そのビールならお出ししますよ」
親父のワインを出したら怒られる、ビールなら結構有るから大丈夫だろうと。
そして4人をテーブルに座らせて、カツ丼と天丼を作ってテーブルに持っていく、騎士団長は席を立って私の作る所を見ている。
まぁ毒の混入を阻止する為だと分かるので、邪魔をしない限り無視しておく。
「お待たせしました、こちらカツ丼、天ぷらの方が天丼です!毒を疑いなら、どこでも指定して下さい、私が味見して証明いたします」
その後は何箇所か指定した所をスプーンで取って目の前で食べる。
安心したのか、まず全員が天丼を食べる、その後はカツ丼だ。
「美味い、おかわりを貰いたいな」
「殿下またそのような事を言って、ダメですよ」
騎士団長に言われて殿下は諦める。
そしてビールを出す、おつまみは蒲鉾だ!
コップに注いで毒味、流石に私は子供の格好なので出来ない。
兵士さんが、一口呑んでくれる。
「美味い、これは毒です私が全部呑んでしまいましょう」
オイオイ君ね、美味いと言って毒はないんじゃ無いの!
「よし安全確認終わり、お前は後で訓練場10週な!」
騎士団長が先程の兵士に言う。
「騎士団長、そんなただのジョークですよ」
みんな笑ったが、彼のグラスにビールは2度と注がれなかった。
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