第170話 街に着く。

先頭を馬で歩く女騎士は思う。

(私のギフト、集団戦闘!個々の力を集めて一つの技として相手を葬る一撃を放つ!亜人さえこの力なら負ける事は無い。

人が周りに入ればいるほどその威力は上がる、ただこの発動には時間がかかる。

だから相手の近くでは返り討ちに合う為に少し後方から戦いを挑むはずが今回は油断して近づきすぎた。

あんなに早い魔法が撃てる者がいるなんて世間は広い)


皆んなで街に歩いていく、途中で出会う魔物や魔獣は騎士達が、退治してくれるので俺達は楽ちん! 奴隷も手枷が外されてないので、剣は所持が許されている。


「旦那様はこちらの乗り物の方が、よろしいのでは無いですか?」

俺が乗るのはママチャリ、副団長はマウンテンバイクだけれども、今の所は魔力を注がない、それは相手の出方が分からず、逃げる時にスピード制限の有るマウンテンバイクよりも、体力勝負のママチャリのがスピードが出る為だ。


「気にするな、この乗り物は俺が此処に来た時の愛車だ、副団長・・・そう言えば名前はなんて言うんだ?」

「私の名前ですか、一度も言ってませんでしたか? マリーチエですよろしくお願いします」

「マリーチエさんね、よろしく」


和気藹々と進む俺たち、そして石垣の塀が見えてくる。


「ここは我がホールズ領のサイファの街だ、中で少し休んで話し合いをしましょうかね」

「奴隷達はどうする?」

「人族で有るので街には入ることが出来るが身分証が無いので、中には無理だ!逃げなければ、外にいる事は問題ない」

俺の店が有れば問題ないけど、とりあえずはアイテムBOXから魔力水入りのペットボトルを出す。


「オイオイおいちゃん、こっちに来てくれる」

途中の会話したおじさんを呼ぶ。


「何でしょう救世主様、何なりと言いつけて下さい」

何故か俺は奴隷達の救世主になっている。


「中であの女騎士と話し合ってくる、ただ君達は身分証が無いよね」

俺の問いにみんなが頷く。


「よし、ではまず魔物避けにこの中の魔法水を地面に撒いておいてくれ!

それで魔物の類は来なくなる。

後食料は、交渉でどうにかするから、待っていてくれ!」


「魔力水ですか、これは貴重な物ですね」

「貴重でも、撒いといてくれる、命の方が大事だ!」

「分かりました、それと食料は先程の魔物を捌いて食べますのでお気になさらずにお願いします」

そうなんだならと塩を出す。


「これは塩だけど、透明な袋は返してくれるか、貴重な物なのでね!」

「塩、塩を貰って良いんですか?」

「良いぞ、少ないけど今日の分だ、明日は交渉次第でまた配布するから、なるべく使ってくれ」


俺は塩を渡して、街の中に入る。


途中の市場でパンの代金を払って外の奴隷達に渡す様注文! 何軒かで受けてくれたので、どうにかなりそう。



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