第165話 皇太子の演説!
俺はお礼に金貨1枚を置いて行く、そしてまた闇夜に紛れて移動(逃走)する。
「街の近くで待てば、副団長は送られて来るよね、そしたら攫って逃げよう」
街の近くに行くと、騎士や冒険者達がウロウロしている。
「あれアイツらは、確か俺を殺そうとした奴らだ」
木の影から見ていると知っている顔、これは副団長が此処に来る事は間違いがないと確信した。
「さてもう少し様子を見ているか!」
お昼頃には、何台かの馬車が街に入っていく、一台の背中にマウンテンバイクが括り付けてある。
(マウンテンバイクが有る!あの馬車の中に副団長は居るのか? まぁどのみち出て来たら後を付けないとね)
そして翌日、夜明けと共に動きが有った!
外に、手枷や足枷を付けて縄で結ばれた人達が門の外に出て来る。
城壁の上にも人影が見える。
「アイツらがいるなら、副団長もいるかな?」
俺は目を凝らして上の人物達を見ている、そして何かの演説が始まった!
「良いか聞けお前たち、これからのお前達の行動だ!」
偉そうな人が喋って、さらに偉そうな人がまた出て来る。
「お前達も奴隷には飽きたであろう、そこでお前達を奴隷から解放してやろう」
「本当か」「やったー自由だ」「故郷に帰れる」
奴隷達が騒ぐが。
「鎮まれ鎮まれ、まだ皇太子から話の続きがある」
2番目に出てきた奴が皇太子か。
「此処から出て行き、ブルームス王国を通って帝国の国境の城壁と城門を壊せ!
その後は自由だ」
その言葉を聞いて、一瞬は静寂するけど奴隷達から声が上がる。
「何故帝国と戦わなければいけないんだ!」
「そうだよ、人族の国だぞ」
「俺達に同胞を殺せと言うのか!」
「私人殺しなんて出来ない」
奴隷達が口々に言っているけど、城門の上の皇太子は笑って居る。
「お前達には、休む間も無く後ろから魔物に追いかけさせる、まあ捕まったら食われるけどな!」
その言葉に奴隷達はみんな黙ってしまう、行って同胞を殺すか、行かないで魔物に食われるかだからだ!
「さてどうする君達、進むなら武器を渡そう、そして足枷も外すし連行の縄も取ってやる、さあ選べ!」
最初の偉そうな人が言うと、奴隷達は又ざわつき始める。
そして俺を襲った男達の後ろから副団長が出て来る。
「こちらを見ろお前達」
また皇太子が、城壁の上から声をかける。
「こちらが今回お前達を勝利に導く、勇者だ!先程召喚でこちらに来ていただいた。
では勇者様、奴隷兵士達に一言お願いします」
少し振ら付きながら前に出る副団長。
(昨日教えた言葉を言え)
隣で皇太子が耳打ちして来る。
「皆の者我はこの度の戦いの勝利の為に、この地に導かれた勇者である!
我が居るからには負ける事は無い!
皆の勝利の先にある開放を目指して我と共に進もう!」
静寂の後、歓喜の雄叫びが上がる。
「勇者様がいるんだ負ける事は無い!」
「そうだそうだ、勝って奴隷から開放だ」
「ついて行けば勝てるのね」
「あゝ勇者様だぞ、それに女の人だ勝利の女神様のはず!」
「おお女神さまの勇者様なんだ」
「なら絶対に俺達は解放されるだろう」
「そうだよ、生き残れば良いんだ!武器を持とう」
「よし俺も戦う、武器を寄越せ!」
奴隷達は全員が武器を持ち戦いに行く事を承認していく。
(プププ本当に奴隷は馬鹿しか居ないな)
(皇太子笑っては行けません、彼らが気がついたらどうするんですか)
(すまんすまん奴らの喜びが可笑しくてな、なら出発してもらおう、王に報告は3日後にする、少なくとも帝国の国境近くまで行っておけよ隊長!)
(はい、あの抜け道で行けば5日で帝国に届くと思います、ブルームスの貴族も上手く仲間になっていますからね)
(あゝあそこも亜人の国家にしよう、帝国さえ居なくなればこの大陸は俺たち亜人の物だ!)
城壁の上で声は聞こえないけど、何か企んでいる事はわかる。
何処で副団長を取り返すかだな!
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