第162話 飛ばされた!
「ようこそ勇者様!」
声をする方を見ると、亜人の格好をした人々。
「ウオホン、お目覚めかな勇者様」
俺が勇者なの?
「ううーん」
副団長も意識を取り戻して、目を開ける。
「おお、今回は女の勇者様だ、皆膝をついて挨拶しろ!」
副団長が勇者なの、なら俺は?
「そこの下男を何処かに連れて行け、勇者様は応接室に案内して」
フラフラの副団長はメイド達に肩を担がれながら部屋を出ていく。
「こっちに来い貴様は、あっちだ」
俺は首に紐を付けられて、黒装束の男に引きずり出される。
「ちょっとちょっと、苦しい歩くから立たせてくれ!」
「何を言っている、とっとと来るんだ」
立てば歩くってよ! 引きずるお前が止めるよ!
しかし相手は俺の事を聞かない、そのまま外の庭に連れて行かれる。
「勇者様に付いてきたゴミ人間よ、チャンスをやる、その門を抜けて走り出せ我等は10分後に追いかける、もし俺達から逃げれたら見逃してやろう」
偉そうに俺に命令する黒装束、俺は質問する。
「待て彼女はどうなる」
「死に行く者に教える事は無い、では逃げろ10分したら殺しに行く」
仕方ないな、とりあえず逃げるかね。
「そうだ聞くけど、何人で俺を殺しに来るんだ?」
「まあ冥土の見上げに、教えてやる100人だ」
「なんだよ俺はそんなに恐ろしいのか、腰抜けの亜人なんかには殺される事は無いな」
黒装束の上からでもわかるけど、頭にツノや耳がお尻にも尻尾が見える。
「貴様今すぐ「まあまてあと8分だぞ小僧! 逃げないのか?」
「ゴールを聞いていなかったなと思ってさ」
周りを見るけど本当に100人いるのかな?
「ゴールか、その下の方に街があるその中に入れれば逃げ切りだ」
「俺は身分証が無いんだけど、街に入れるのか?」
「あと7分、そうだな頑張れ」
やはり街には身分証が無いと入れないのか、混んでいれば追いつかれるし、うーん・・・
「よし、お前達に言っておく、親しい者がいる奴は別れを伝えてから俺の事を追いかけろよ、後で恨まれたく無いからな、じゃあ」
俺は門から出て、ママチャリを出す。
さあ鬼ごっこ、体力勝負だ、亜人さん達頑張れよ!
そして始まった逃走、今回は自分で出るのでは無く、出されての逃げだ!
それに副団長も助けないとね!
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「して首尾の方はどうなった?」
「教えられた女の人相には似ています、少し転移魔法陣酔いですかね、ふらふらとしてますので、ベットに運んでおきました」
「なら名前を上手く聞き出して、本人なら上手く洗脳して大将に仕立て上げて戦場だな」
「あゝ親から売られたとは思ってもいないだろう、ただ男が付いてきた。
今、隠密達のオモチャとなっているがな」
「人間などいらん、その女も最後は人間の奴隷どもと戦場で死んで貰う、人間などこの大陸には要らない存在だからな、彼の方以外は!」
「それでは、お話が出来る時にお呼びします」
「あゝよろしく、後は彼の方にはバレん様にな、下手をすると止められるから、内密で!」
何処かの部屋で、密談があったみたいだ!
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