第157話 閑話(帝城)

夜が訪れた帝国、そして此処は女帝の部屋!


「あれは間違いなくカオリよね、前世での方の妹だったカオリのはず」


「帝女様、お風呂の用意が出来ました」

「えぇありがとう、ではよろしく」


今年70歳の帝女様は子供も無く、次の皇帝は甥っ子に譲る事になっている。


そしてある噂を確かめる為に、王国の側の街まで行ってきた帰りだ。

お風呂に入って、メイド達に体をお湯で流して貰う。


「しかし絶対にあれはカオリよね、侍女長!近衛たちに言っておいて、もし族がこの城に入ったら、上手くこの部屋に誘導してねって、物陰に何人か潜んでもらいましょう、朝までね!」


そんな指令が有るとも知らずにカオリは帝城に潜入する。


「全く夜も厳重な城ね、ウチなら直ぐに暗殺出来てしまう」

それでも人がいない所を通り最上階に着いて、奥の扉を見つける。


(全く何て厳格な作りなの、こんなの作らないで農業に投資しなさいよ!)


そして少し扉を開けて中に。


(いたいた、どう殴って逃げましょうかね?)

その時入って来た扉が閉まって鍵がかかる。

その雰囲気にカオリは、鞘から短刀を抜く。


「いらっしゃい、暗殺者さん、もう囲まれて居るし逃げ道は此処には無いわよ、こちらにいらっしゃい、早々その危ないものは鞘に戻してね」

女帝はベットから出てテーブルの椅子に座る。


「どうぞ、今お茶を淹れさすわね」

パンパンと手を叩くと物陰からメイドが、お茶を持ってくる。

「どうぞ、座って」

仕方無しに椅子に座るカオリ。


「まあ用心深いのね、でも私を殺すのは諦めて顔を見せてくれない」

カオリは思う、周りに人が隠れているのは分かるが、私は殺しでは無く、頭を一度殴りたいだけ、その後は逃げる事に徹するはずだった。


「もういいでしょう、いつからこちらの世界に来たのカオリさん!」

女帝の口から出てきた言葉に、一瞬ビクつくカオリ。


「フフフ、そんなに時間が流れて無いんでしょう貴女は、なぜ此処にきたのかしら、私の事は知らないはずなのに!」

カオリは名前を言われた事で多少は動揺を隠せない、自分のこの姿を知っているのは、あの子達とお兄ちゃんだけのはずよねスパイ? 益々混乱のカオリ。


「ねえもしかして、共通言語が使えないの転移者のくせに、私なんて記憶が戻った時に転生からのものだったから大変だったわよ!」

何何女帝は転生者なの、そして私を知っているなんて、もしかしてお母さん!

カオリは重大な間違いを犯してしまった。


「お母さんなのお母さん」

その言葉に、女帝は。


「馬鹿じゃないの!貴女のお母さんのわけないじゃないの!いくら年上だって」

「なら誰なんですか、私のこの姿を知っていて母以外の女の人って」


やはり分かっていないカオリだった。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る