第156話 閑話(カオリの行く所)

ママチャリ盗んで、道を駆けて行く。

目標は帝国、あのババアの居るお城!


「隣だけど、運動不足のこの前まで老婆だった蘇りの体に、このママチャリは漕ぐのが辛い!エッチらオッチらどけどけ魔物達!」

マサシのママチャリを一台拝借して、資金は蘭達を脅して銀貨をかなりせしめて来た。

(大体銀行がないから、両替え出来ないなんて不便な世界よね!)


カオリは知らない、各ギルドのお金預かりシステムを!


「市民カードも冒険者じゃ無くて商人て何よ、何を売って来るのよ」

途中休息中に、アイテムBOXを漁るカオリ。


「干し肉?ビーフジャーキーじゃないの!塩は岩塩?普通にお兄ちゃんの所から一袋ガメってくれば良かった」

それでも漁るが大した物はない。


「アルコール位入れておけよアイツら!気の利かない」

そこでカオリはふっと思った。


「銀貨はあるから、仕入れに来た事にしようと!」

そしてまたママチャリを走らせる。


何だかんだと村や街を抜けて、やってきました帝都の城壁。


「やっぱり金が有るね帝国は!門なんて鉄製だよ、ウチの木の門と大違いだね」

そして入場の番を待つカオリ。


「ここも相変わらず長い列だね、ウチなんか100人並べば御の字だよ」

何でも帝国VS王国にするカオリ、独り言は周りが引くから止めろよ!


そして自分の番がやって来る。


「次お前、何処の身分証でもいいから出して、この石に手を置いてくれ」

カオリはカードを出して、石に手を置いて少し待つ。

「光らないOKだ、ようこそ帝国に」

光らなければ、犯罪者や叛逆者では無いので、各国に入れる。


ただ、この石に登録して無いと光らないと言う裏技がある。

生まれたら教会で登録はこの世界の常識、ただ神は沢山いる。

(元々新たな体、登録してないから光るわけ無いよ、身分証も偽造だしね)

そして門の中に入ると、早馬が道を広げて走って行く。

「どけどけ道を開けろ、女帝様のお帰りだ!道の端によれ!」

騎士達が至る所から出て来て、市民を道の端に寄せる。

そこに何台かの馬車の行列が、カオリの前を通り過ぎる。


「全く金が有ると馬車まで大違いよね」

漆を塗ったのか黒びかりして、銀細工で飾られた馬車が前を過ぎて行く。

「あれ、あれは・・・まずい隠れないと」

カオリは馬車の窓越しの女帝を見つけたが、目が合った感じがして直ぐに物陰に移動する。


馬車の中の女帝も数居る市民の中の、それもフードを被ったカオリを見てしまった。


「まさか今になってこの世界に現れたの、でもあの子は私よりは長生きしたんじゃ無いの、あの時の姿だった!」


お互いが目が合ったことを、幻覚かと思っている。

特に女帝は、70年前の事だ、見間違いだと思っているが。


「この世界で、髪が黒い人間は居ないはず、そんな馬鹿な今頃転移者で現れるなんて!」


初のカオリの若い時の姿での接触、この後どうなるんだろう!







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る